The Japanese Journal of Antibiotics
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43 巻, 3 号
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  • Killing-curve method による成績
    西園寺 克, 設楽 政次, 小林 寅哲
    1990 年 43 巻 3 号 p. 379-387
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Methicillin耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) に対してKilling-curvemethodによりImipenem (IPM) とFosfomycin (FOM) の併用効果を調べた報告の見当らなv・こと, Methicillin感受性黄色ブドウ球菌 (MSSA) に対する報告とMRSAのCheckerboardmethodによる報告で確かめられていない点を補足するために, Killing-curvemethodにより併用効果を検討し, 形態変化を経時的に電子顕微鏡により観察を行った。
    MethicillinのMICとFOMのMIC≥50μg/ml (Agardilutionmethod) でIPMのBrothdilutionmethodのMIC≥12.5~50μg//mlのMRSA15株を用いた。
    併用効果はKilling-curvemethodで5種類の薬剤濃度の組み合せで (1.~5.) で検討した。
    1.FOM25μg/ml添加, 2.FOM25μg/ml+IPM1/2MIC添加, 3.IPMIMIC添加, 4.FOM25μg/ml+IPM1MIC添加, 5.FOM25μg/ml+IPM2MIC添加のそれぞれのMUELLER-HINTON brothに菌量として約105CFU/ml接種し, 37℃ で培養し, 0, 2, 4, 6, 8, 24時間の生菌数を測定した。
    1菌株について, 2.FOM25μg/ml+IPM1/2MIC添加と4.FOM25μg/ml+IPM1MIC添加時の各培養時間の菌の形態を, 走査型電子顕微鏡と透過型電子顕微鏡を用いて観察した。
    FOM25μg/ml単独では, 全15株とも増菌的であつた。FOM25μg/ml+IPM1MIC添加では15株中6株に相乗効果が認められた。FOM25μg/ml+IPM2MIC添加で15株中9株が完全殺菌的及び6株が殺菌的となつた。FOM25μg/ml+IPM25μg/ml添加で, 15株中6株が完全殺菌的となつた。拮抗作用は認められなかつた。
    走査型電子顕微鏡と透過型電子顕微鏡の観察により, FOMとIPMの相乗効果は溶菌的であることが示された。
  • 坂田 宏, 梯 仁志, 藤田 晃三, 室野 晃一, 帰山 雅人, 岡 敏明, 吉岡 一, 平元 東, 森 善樹, 丸山 静男, 印鑰 史衛
    1990 年 43 巻 3 号 p. 388-395
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aztreonam (AZT) を9例の新生児の感染症患者に投与し, その臨床効果と副作用を検討した。原因菌が不明の時にはAmpicillin (ABPC) と併用した。本剤単独で治療した3例はいずれも有効以上であつた。AZT単独での効果判定ができなかつたがABPCと併用した6例も全例有効以上であつた。副作用は9例中1例に軽度の下痢がみられた。
    薬物動態は9例で検討した。AZT20mg/kgをOne shotで静注した成熟児が5例, 未熟児が3例, 10mg/kgを投与した先天性水腎症が1例である。20mg/kg投与後30分の血清中濃度は成熟児で34.9~57.9μg/ml, 未熟児で39.2~39.7μg/ml, 血清中半減期は成熟児で1.57~3.72時間, 未熟児で3.63~4.86時間であつた。先天性水腎症の症例で血清中半減期は4.62時間であった。尿中回収率は0~6時間で成熟児が31.7~53.9%, 未熟児が9.5~41.6%であつた。
  • 柱 新太郎, 田島 剛, 目黒 英典, 阿部 敏明, 藤井 良知
    1990 年 43 巻 3 号 p. 396-404
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児におけるAztreonam (AZT) の臨床的及び薬物動態的検討を行つた。臨床検討の対象は成熟児5例, 低出生体重児1例の計6例である。
    投与方法はAZT1回20mg/kg, 1日2~3回, 1時間点滴静注を6~21日間行い, 1例にVamcomycin (VCM) 1回15mg/kg, 1日3回, 1時間点滴静注3日間, 3例にAmpicillin (ABPC) 1回20~50mg/kg, 1日3回, 30分点滴静注2~6日間併用した。細菌感染症6例 (敗血症・化膿性髄膜炎1例, 敗血症2例, 尿路感染症2例, 肛門周囲膿瘍1例) のうち, AZTによる治療効果の評価が可能であつたのは4例 (敗血症2例, 尿路感染症2例) で, 全例著効を示した。この4例の起因菌 (Escherichia coli3例, Enterobacter cloacae1例) はAZT使用により全例消失した。
    AZTによる臨床的副作用, 検査値異常は認められなかつた。新生児細菌感染症例から分離された細菌10株 (Staphylococcus aureus1株, E.coli4株, Klebsiella pneumoniae1株, E.cloacae1株, Haemophilus irfluenzae1株, Pseudomonas aeruginosa2株) に対するAZTのMICを測定した。その結果, E.coli, K.pneumoniae, E.cloacaeに対する抗菌力は極めて良好で, Cefoperazone, Cefotaxime, Latamoxefと同等又は優れていたが, P.aeruginosaに対してはImipenemよりも劣っていた。
    成熟児11例, 低出生体重児6例の計17例について, AZT単独投与又はABPC又はVCMを併用し, 血中濃度及び2例で髄液中濃度を測定した。最高血中濃度は点滴静注終了直後にあり, 20mg/kg投与群の成熟児では41.5μg/ml (12.6~60.3μg/ml), 低出生体重児では39.4μg/ml (16.5~77.6μg/ml) であった。又, 45mg/kg投与群は低出生体重児1例だけであるが, 最高血中濃度は点滴静注直後で129.5μg/mlであり, 50mg/kg投与群は成熟児1例だけであるが, 114.2μg/mlであった。
    血中濃度半減期は20mg/kg投与群の成熟児では2.03~8.73時間, 低出生体重児では1.62~5.51時間に分布し, 日齢の低いものほど延長する傾向にあった。又, 45mg/kg投与群では3.62時間, 50mg/kg投与群では5.04時間であった。
    AZTの髄液中濃度は50mg/kg投与で, 7時間後3.2μg/ml, 8時間後1.7μg/ml, 45mg/kg投与で6時間後に8.5μg/mlであった。
    以上の成績並びにAZTの極めて選択的なグラム陰性菌だけに抗菌スペクトルを持っ薬剤であることから, 迅速診断, 手技を駆使して菌検出を急ぐことにより, 菌判明後, 又はグラム陰性菌感染症の確率の高い時に単剤使用できる。しかし, 起因菌不明の段階における新生児重症感染症の初期治療では, ABPC等のグラム陽性菌や嫌気性菌に抗菌スペクトルを持っ抗生剤の併用療法が望まれる。
  • 阿座上 志郎, 磯畑 栄一, 老川 忠雄, 小佐 野満, 城 裕之
    1990 年 43 巻 3 号 p. 405-412
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aztreonam (AZT) の新生児期における基礎的検討を行い, 以下のような結論を得た。
    1.AZT10mg/kgを投与した際の血中濃度は30分値が22.1~32.2μg/ml, 20mg/kgを投与した際には30分値が22.5~75.9μg/mlであった。10mg/kg及び20mg/kg投与群の間で明らかなDoseresponseが認められた。
    2.半減期は日齢0~3日では3.5~6.6時間, 日齢4日以降では2.0~4.0時間であった。
    3.尿中回収率は投与開始6時間までで17.8~69.9%であった。
    4.AZT単独 (6例), 又はAmpicillinとの併用投与 (9例) で臨床的に副作用を認めた症例はなかった。1例で検査値異常として, AZT投与終了後に血小板増多を認めたが, 1週間以内に正常に復した。
    5.AZTは好気性グラム陰性菌に強い抗菌作用を持ち, β-Lactamaseを誘導し難く, 今回の検討でも副作用が少なかったことから, 新生児期においてもグラム陰性菌による尿路感染症や重症感染症の際に有用と考えられる。
  • 砂川 慶介, 石塚 祐吾, 斎藤 伸夫, 秋田 博伸, 岩田 敏, 佐藤 吉壮, 老川 忠雄
    1990 年 43 巻 3 号 p. 413-423
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aztreonam (AZT) を用いて新生児の体内動態, 臨床効果, 腸内細菌叢への影響について検討し, 以下に述べる結果を得た。
    1.本剤を20mg/kg静脈内投与した時の血中濃度推移は30分38.6μg/ml, 1時間30.6μg/ml, 6時間13.6μg/mlで半減期は3.73時間であった。同時にAmpicillin (以下ABPCと略す) を25mg/kg併用した2例でのAZTの30分値は40.3μg/ml, 36.9μg/ml, 1時間35.7μg/ml, 32.6μg/ml, 6時間13.1μg, /ml, 10.2μg/ml, 半減期3.32時間, 2.91時間で相互作用は認められなかった。
    2.生後0日~83日の新生児21例に本剤を投与し, うち18例にABPCを併用した。臨床効果の判定ができた14例では著効7例, 有効6例, 無効1例であった。投与された21例のうち1例に下痢が, 好酸球増多, 血小板数増加, 血小板数増加・GOT上昇, 血小板数減少が各1例に認められた。
    3.腸内細菌叢への影響を検討したところ, 本剤の単独投与の2例ではAZTの糞便内濃度は低く, 腸内細菌叢への影響は少なかつたが, ABPCを併用した4例では嫌気性菌に対する影響が認められた。
  • 豊永 義清, 杉田 守正, 中村 弘典, 河村 研一, 瀬尾 究
    1990 年 43 巻 3 号 p. 425-443
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aztreonam (AZT) で治療した各種細菌感染症の治癒近い時期の日齢4~26日までの成熟児, 未熟児7例について, 10mg/kg, 20mg/kg, 50mg/kgをOne shot静注し, その後の血清中, 尿中濃度 (尿中回収率) を検討した。
    臨床的検討は, AZT単独使用群19例, AZT+Ampicillin (ABPC) 併用群13例の計32例において検討した。前者においては, 0~43日齢の男児10例, 女児9例であり, 後者は6~41日齢の男児7例, 女児6例である。AZT単独使用群は感染予防5例を含めすべてAZTの効果判定が可能であつたが, ABPC併用群では13例中AZTの効果を判定できるのは, ABPC感性菌を除くと, 3例にすぎなかつた。
    1.血清中濃度推移及び尿中回収率
    成熟児5例 (10mg/kg2例, 20mg/kg3例) では, いずれも30分にピーク値 (初回採血時) を示し, 10mg/kgでは29.1μg/ml, 20mg/kgでは37.8μg/ml,(4~7日群) 55.5μg/ml (8日以上群) であり, 半減期は, それぞれ3.42, 3.05, 1.58時間であった。8日以降の群は1例であるが, 半減期は短縮していた。尿中回収率は10.4~52.6%が6時間までに回収されたが, 個体による差が認められた。
    未熟児は同一症例において11日齢, 19日齢で検討したが, 30分値 (初回採血時) にピークを示し, 106.8, 90.4μg/ml, 8時間では16.2, 9.6μg/mlであり, 半減期は2.62, 2.35時間であつた。尿中回収率は11日齢において4時間までであるが21.1%であつた。
    2.臨床成績
    AZTの臨床効果の判定基準を満たしたものはAZT単独使用群では全例であり, その疾患の内訳は, 化膿性髄膜炎1例, 菌血症, 敗血症 (疑いを含む) 5例, 肺炎2例, 尿路感染症6例, 感染予防5例の計19例であり, 全例に有効以上の成績を示した。細菌学的には, 感染予防の5例を除く14例中13例に起因菌が判明し (Escherichia coli7例, Klebsiella pneumoniae5例, Pseudomonas aeruginosa1例), すべて経過中に消失した。本剤の投与量は感染予防症例を除き36.9~152.7mg/kg/日にわたつていたが, 菌血症, 敗血症, 髄膜炎例では100mg/kg/日を上回る投与量を示したものが, 6例中3例に認めた。
    ABPC併用例では, AZTの臨床効果判定が可能であつたものは13例中3例であつたがいずれも尿路感染例であり, いずれも有効以上の成績を示した。起因菌はP.aemginosa, Morganellamorganii+Klebsiella oxyma, E.coli+Bacteroides fragilisであり, 3例とも経過中に消失した。投与量は60.5~66.1mg/kg/日であった。
    副作用としては, 自他覚的副作用は全例に認めず, 臨床検査値異常としては, AZT単独使用群で, 感染予防例の1例に好酸球増多が認められた。
  • 佐藤 肇, 成田 章, 鈴木 博之, 中澤 進一, 松本 貴美子, 中西 好子, 新納 憲司, 中澤 進
    1990 年 43 巻 3 号 p. 445-454
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aztreonamの1時間点滴静注により新生児における吸収, 排泄, 並びに10症例の臨床成績検討を行った。
    1.日齢11日以内の新生児7名の血清中濃度は小児に比較して低かった。
    2.20mg/kg投与群5名の平均血清中濃度のPeakは点滴静注終了時にあり, 平均45.8±10.41μg/mlで半減期は平均2.77±0.32時間であつた。
    3.25mg/kg投与群2名の血清中濃度のPeakは点滴静注終了時にあり, 各々31.1μg/ml, 33.4μg/mlと20mg/kg群と大差なく, 半減期は各々1.87時間, 3.23時間であった。
    4.日齢11日以内7名の6~8時間までの尿中排泄率は18.8~50.0%で平均31.7%で, 小児例より低かった。
    5.本剤使用により全例有効以上の治療成績を得ることができた。Escherichiacoli, Klebsiella Pneumoniaeによる尿路感染症の3例はいずれも著効であったが, 本剤投与中Enterococcusfaecalisに菌交代がみられた。
    6.連続投与中2例にGOT, GPTの一時的上昇がみられた。その他臨床的副作用はみられなかった。
    7.新生児グラム陰性菌感染症に対する本剤の使用量は40~60mg/kg/日, 2~3回の分割投与が標準と思われる。
  • 岩井 直一, 中村 はるひ, 種田 陽一, 牧 貴子, 尾崎 隆男, 松井 省治, 田内 宜生, 市川 孝之
    1990 年 43 巻 3 号 p. 455-478
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児領域におけるAztreonam (AZT) についての基礎的, 臨床的検討を行った。
    1.生後1~30目の新生児18例 (在胎週数36~40週, 生下時体重1,890~4,300g) にAZT10mg/kg (7例) あるいは20mg/kg (11例) を, 又, 生後54, 60日の乳児2例 (在胎週数36~40週, 生下時体重2,300~3,300g) に20mg/kgをOne shot静注した際の血清中濃度推移と尿中排泄について検討した。なお, 新生児の20mg/kg投与例のうちの5例はAZTと同時にAmpicillin (ABPC) を25mg/kgOne shot静注した際のもので, これらについてはABPCの血清中濃度推移についても検討を加えた。
    新生児におけるAZT10mg/kg投与後の血清中濃度は静注後0.5時間が11.5~27.6μg/ml (平均20.3±5.5μg/ml) で, その後は2.72~5.7時間 (平均3.81±1.28時間) の半減期をもつて推移し, 8時間では3.3~8.7μg/ml (平均5.8±2.5μg/ml) であった。又, 20mg/kg投与では, 0.5時間値が12.4~48.8μg/ml (平均35.9±11.6μg/ml) で, 半減期は1.69~4.14時間 (平均2.94±0.76時間), 8時間値は1.1~10.6μg/ml (平均5.6±3.6μg/ml) であった。更に, 静注後8時間までの尿中回収率については, 前者では15.5~61.9% (平均37.8±21.8%), 後者では16.3~62.2% (平均435±16.2%) であった。
    又, 乳児におけるAZT20mg/kg投与後の、血清中濃度については, 0.5時間値が33.0~35.6μg/ml (平均34.3±1.8μg/ml) で, 半減期は1.76~3.77時間 (平均2.77±1.42時間), 8時間値は1.4~5.8μg/ml (平均3.6±3.1μg/ml) であり, 尿中回収率は35.4~64.8% (平均50.1±20.8%) であった。
    これらの成績から, AZTは新生児期においても用量に依存した高い血清中濃度が得られ, しかも早期から良好な尿中排泄を示す薬剤であると考えられた。又, 血清中濃度ピーク値 (0.5時間値) 及び半減期については個体差がかなり大きかったのが, 前者は日齢と共に低くなり, しかも未熟児において若干高い傾向がみられ, 又, 後者については日齢と共に短縮し, しかも成熟児においてより速やかな傾向がうかがわれた。
    なお, AZT単独投与例と, AZTとABPCとの併用投与例においてAZTの血清中濃度推移, 尿中回収率を比較した結果では, ABPCの併用によってAZTの吸収, 排泄は大きく影響を受けることはないと考えられた。
    又, ABPC併用投与例においてAZTとABPCの血清中濃度推移を比較すると, ABPCはAZTに比べて低く推移し, しかも半減期がかなり短い傾向にあった。
    2.細菌感染の存在が推定されるか, もしくはその発症が予想された新生児56例にAZTを単独で, あるいは菌判明まではABPCを併用で投与し, AZTについての臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
    AZT単独投与の急性肺炎6例, 急性尿路感染症6例, 計12例に対する臨床効果はすべて著効であった。又, AZT, ABPC併用投与の18例については, 化膿性髄膜炎1例は有効, 急性肺炎7例及び急性上気道炎2例はすべて著効, 子宮内感染8例は著効3例, 有効5例で, 全例において有効以上の成績であった。なお, 併用投与例のうちの2例はABPC耐性のグラム陰性菌による症例であった。従つてAZTについての有効性を評価できた症例は, 単独投与例の12例に上記2例の併用投与例を加えた計14例となり, これらに対してはすべて有効以上の臨床効果が得られた。
    又, 細菌学的効果については, AZTについての臨床評価が可能であった14例の原因菌に限って行ったが, Escherichia coli5株, Klebsiella pneumoniae2株, Klebsiella oxytoca1株, Haemophilus inftuemae1株, Pseudomonas aeruginosa1株, Acinetobacter calcoaceticus1株についてはすべて消失と判定された。
    副作用については, 評価の対象となった56例において認められた症例はなかった。又, 臨床検査値異常については, 血小板増多が1例, GOTの上昇が3例, GOT及びGPTの上昇が1例, 好酸球増多が1例に認められたが, すべてABPC併用例で, AZTに起因するものとは断定できなかった。
    以上の成績から, AZTは新生児期においても有用であり, しかも安全性の高い薬剤であると考えられた。
  • 荒井 祥二朗, 曽野 玲子, 柴田 丈夫, 櫻井 實, 庵原 俊昭, 神谷 齊, 稲持 英樹, 野村 豊樹, 多喜 紀雄, 鈴木 正治, 井 ...
    1990 年 43 巻 3 号 p. 479-486
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児におけるAztreonam (AZT) の基礎的, 臨床的検討を行った。
    生後0~7日の新生児, 未熟児12例 (出生体重1,260~3,500g) にAZT20mg/kgを静注又は1時間点滴静注した際の血清中濃度と尿中排泄につき検討した。静注での1時間後の血清中濃度は54.0±12.5μg/ml, 血清中半減期は6.01±0.70時間であった。点滴静注での最高血清中濃度は42.1±17.6μg/ml (点滴静注終了直後) で, 血清中半減期は6.40±1.88時間であった。又, 12時間までの尿中回収率は静注群では28.5±6.4%, 点滴静注群では32.3±13.9%であった。
    新生児期の細菌感染症12例 (敗血症2例, 敗血症疑い2例, 肺炎3例, 尿路感染症2例, 感染予防3例) に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討を行った。感染予防を除いた9例に対する効果は著効1例, 有効5例, やや有効1例, 無効1例, 不明1例で有効率は75%であった。起炎菌のうちグラム陰性菌であるEnterobacter cloacae2株, Pseudomonasaeruginasa1株に対する細菌学的効果は2株が消失, 1株が不変で, 除菌率は66.7%であった。なお, 副作用としては臨床検査値異常として1例にGOT, GPTの上昇を認めたが, 重大なものではなかった。
    以上の成績から, 本剤は新生児期においても有効で安全性の高い薬剤であると考えられた。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄
    1990 年 43 巻 3 号 p. 487-492
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児におけるAztreonam (AZT) の体内動態及び臨床検討を行い, 以下の成績を得た。
    基礎的検討として, AZTの血清中濃度及び尿中排泄率を日齢3日2例, 日齢4日1例の計3例にっき測定した。
    AZT20mg/kg Oneshot静注時の最高血清中濃度は静注後1時間にみられ平均36.6±2.39μg/mlで, 静注後6時間で平均13.5±2.03μg/ml, 半減期は平均3.86±0.92時間であった。又, AZT20mg/kgOneshot静注時の6時間までの尿中排泄率は平均25.1±5.18%であった。
    臨床使用成績では4例に対し感染予防の目的で, Ampicillinと併用投与を行つたが, 病原を明確にできず, 又, 感染検査所見も著明でなく, AZTによる効果は判定できなかった。副作用として異常な臨床症状, 所見は認められなかったが, 検査所見に1例だけGOTの一過性上昇を認めた。
  • 大倉 完悦, 松田 直, 仁紙 宏之, 山川 勝, 黒木 茂一, 春田 恒和, 小林 裕
    1990 年 43 巻 3 号 p. 493-502
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児, 未熟児におけるAztreonamの血中濃度, 尿中排泄及び臨床使用成績を検討し, 以下の成績を得た。
    1.本剤静注後1時間後の血中濃度は約10mg/kg投与例で21.0μg/ml, 約20mg/kg投与の7例で平均44.2μg/mlと用量依存性が認められた。血中濃度半減期は成熟児3例の平均4.75時間, 未熟児4例の平均6.59時間と, 未熟児で延長していた。生後64日齢の半減期は3.80時間であつた。2例の尿中回収率は52.1, 51.9%であつた。
    2.10例の新生児, 未熟児に本剤1日39.9~63.3mg/kgを2回又は3回に分割静注したが, 5例は本剤単独投与, 5例はAmpicillin (ABPC) との併用投与であつた。治療に用いた8例中, 判定不能2例を除く3疾患 (敗血症1例, 敗血症疑い1例, 尿路感染症4例) ではすべてに有効以上で, 起炎菌 (Escherichia coli 2株, Klebsiella pneumoniae 1株, Enterobacter 2株) はすべて消失した。感染予防に使用した2例ではいずれも感染はおこらなかつたが, うち1例は52日間投与例で, 副作用及び検査値異常を認めなかつた。
    3.副作用は全くみられなかった。検査値異常として, 軽度の血小板数及びGOTの上昇を各1例認めた。GOT値は投与終了後も持続高値で, 原疾患である心不全のためと考えられた。
    4.以上の成績から, 本剤はグラム陰性菌による新生児期細菌感染症に有効, 安全な抗生剤であるが, 起炎菌判明前はABPCとの併用で開始し, 菌が判明した時点でいずれか一方の投与に変更する方法が安全であろう。投与方法は生後7日以内では1回20mg/kgを1日2回ないしは3回の投与で所期の効果をあげうるものと考えられた。
  • 本廣 孝, 織田 慶子, 荒巻 雅史, 川上 晃, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 富永 薫, 山下 文 ...
    1990 年 43 巻 3 号 p. 503-523
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    β-Lactam系抗生物質のMonobactam系薬剤に属するAztreonam (AZT) を新生児4例, 未熟児2例, 計6例に20mg/kg, One shot静注で投与し血漿中, 尿中濃度及び尿中回収率を測定, AZTを単独で0生日から43生日の新生児, 未熟児の細菌感染症6例と感染予防を目的として11例に本剤を1目量平均70.9mg/kg, 分2~4, いずれもOne shot静注で, 平均8日間投与, AZTとAmpicillin (ABPC) の併用では0生日から79生日の新生児, 未熟児の細菌感染症28例, 感染予防を目的として18例にAZTは1日量平均46.6mg/kg, 分2か分3, One shot静注か点滴静注で, 平均8日間投与, ABPCは1日量平均78.6mg/kg, 1日投与回数, 静注方法, 平均投与日数はAZTと同じで投与し, 臨床効果, 感染予防効果, 細菌学的効果をみると共に副作用と臨床検査値への影響について検討したところ, 次のような結果を得た。
    1.6生日と7生日の新生児各1例にAZTを20mg/kg One shot静注で投与しての血漿中濃度はいずれも投与後5分が最高濃度で, 各々62.9μg/ml, 72.7μg/ml, AUCはそれぞれ216.6μg・hr/ml, 231.6μg・hr/ml, 半減期は各々2.80時間, 2.97時間であった。5生日と6生日の未熟児に20mg/kgをOne shot静注しての血漿中濃度は前者では投与後15分, 後者では投与後5分が最も高い濃度で, それぞれ59.8μg/ml, 67.7μg/ml, AUCは各々356.6μg・hr/ml, 363.2μg・hr/mlで, 前述の新生児より大を示し, 半減期はそれぞれ5.74時間, 4.87時間で, 前述の新生児より延長した。8生日と13生日の新生児に20mg/kgをOne shot静注しての血漿中濃度は前者では投与後30分, 後者では投与後5分でピーク値を示し, 各々43.4μg/ml, 76.9μg/ml, AUCはそれぞれ202.9μg・hr/ml, 189.8μg・hr/mlで, 前述の新生児, 未熟児のAUCに比べ小を示し, 半減期は各々3.11時間, 2.00時間で前述の6生日と7生日の新生児の半減期に類似か延長した。
    2.血漿中濃度測定と同一の症例で尿中濃度を測定したところ, いずれの症例も投与後0~2時間か2~4時間が最高濃度で338~1,053μg/mlを示し, 6例中5例は投与後8時間まで, 1例は投与後6時間までに48.6~75.3%回収でき, 測定できた日齢内での回収率では著しく異なるとは言えなかった。
    3.AZTを単独で投与した細菌感染症の臨床効果は6例中著効2例, 有効3例, 無効1例で, 感染予防を目的とした11例ではすべてに予防効果が得られた。一方AZTとABPCを併用で投与した細菌感染症の臨床効果は28例中著効例はなく, 有効25例, やや有効2例, 無効1例で, 有効以上の有効率は89.3%を示し, 感染予防を目的とした18例ではすべてに予防効果が得られた。
    4.AZTを単独で投与した症例での細菌学的効果はEscherichia coli2株とE.coliKlebsiella pneumoniaeの混合感染例で判定でき, いずれも消失したが, E.coliの単独感染1例はEnterococcus faecalis, 混合感染例もE.faecalisへ菌交代した。AZTとABPCの併用例ではHaemophilus influenzaeとE.coliの各1株, Klebsiella oxytocaの2株で判定でき, いずれも消失した。
    5.副作用はAZTの単独投与例での出現はなかったが, AZTとABPC併用例で発疹が1例にみられ, いずれの薬剤によるかは不明であるが, 関連はあるかもしれないとされた。臨床検査値への影響ではAZTの単独投与例で10%以上への好酸球増多が2例, GOT, GPT, LDHの同時異常上昇が1例に出現し, 前者の2例は本剤との関連があるかもしれない, 後者の1例は本剤との関連は多分ありとされた。AZTとABPCを併用で投与した症例では10%以上への好酸球増多が7例, GOT単独, GOTとGPTの同時異常値が各1例に出現し, いずれの薬剤によるかは不明であるが, 関連があるかもしれないとされた。
  • 田中 博弥, 福田 雅文, 井口 俊二, 辻 芳郎
    1990 年 43 巻 3 号 p. 524-527
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児, 未熟児におけるAztreonam (AZT) の体内動態及び臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.日齢2~22日の新生児6例にAZT20mg/kgを60分で点滴静注した場合の血清中濃度は, 点滴静注終了直後が平均45.5±0.78μg/ml, 1時間後が37.8±1.62μg/ml, 2時間後が31.2±1.92μg/ml, 4時間後が19.7±2.36μg/mlであつた。血中半減期は平均3.61±0.53時間であつた。
    2.尿中排泄率は点滴静注終了後6時間で平均26.4±6.86%であつた。
    3.臨床検討は日齢7日目の敗血症1例に行つたが, 効果は有効であつた。臨床上, 検査所見上で副作用と思われる異常所見は認めなかつた。
  • 下村 洋, 宮野 武, 木村 紘一郎
    1990 年 43 巻 3 号 p. 528-533
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今回未熟児・新生児, 小児に対しAztreonamを投与し, 基礎的, 臨床的検討を行つた。
    1.胆道閉鎖症患児に対し, 本剤40mg/kgを1時間点滴静注し, 良好な血中濃度が得られ, T1/2は約1時間, 尿中回収率は35.2~61.3%であつた。胆汁中回収率は0.03~0.4%であつた。
    2.感染予防の目的で本剤が投与された5例のうち3例は有効, 1例はやや有効, 1例は無効であつた。
    3.本剤はグラム陰性菌に有効であり, 感染症の治療の目的で投与された4例中, 2例が著効, 1例が有効, 1例がやや有効であつた。
    4.本剤が投与された9例, 全例において副作用, 臨床検査値異常は認められなかった。
  • 由良 二郎, 鈴木 達也, 橋本 俊, 中村 司, 清水 保延, 南 宗人, 神谷 保廣, 成田 洋, 鶴賀 信篤
    1990 年 43 巻 3 号 p. 534-542
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児外科領域におけるAztreonam (AZT) の体内動態及び臨床的安全性, 有効性について検討を行った。
    1.20mg/kgの投与で点滴静注終了時に十分な血中濃度が得られ, その後漸減した。
    2.胆汁中移行は比較的良好で有効な濃度が得られた。
    3.術後感染予防投与症例では, 効果判定は不能であったが, 副作用, 検査値異常は認めなかつた。
    以上の成績から, 本剤は小児外科領域において有効且つ安全な抗生物質であると思われる。
  • 第1報Aztreonam単独投与による有効性及び安全性の検討
    藤井 良知, 柱 新太郎, 田島 剛, 目黒 英典, 阿部 敏明, 坂田 宏, 梯 仁志, 藤田 晃三, 室野 晃一, 帰山 雅人, 岡 敏 ...
    1990 年 43 巻 3 号 p. 543-562
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児, 未熟児におけるAztreonam (AZT) の体内動態及び臨床的検討を行つて以下の成績を得た。
    1.体内動態
    (1) 新生児, 未熟児にAZT10mg/kg又は20mg/kgをOne shot静注した際の投与30分後の血清中濃度は, それぞれ20.6~26.6μg/ml, 38.5~46.4μg/mlを示し, 以後漸減した。又, 10mg/kgと20mg/kg投与時の血清中濃度には用量依存性が認められた。
    (2) 血清中濃度半減期 (T1/2) は成熟児, 未熟児とも日齢の増加に伴い短縮する傾向がみられ, 未熟児では成熟児に比較して延長される傾向であつた。
    (3) AZT20mg/kgを1時間点滴静注した際の血清中濃度の推移は, One shot静注とほぼ同じ成績を示した。
    (4) AZT10mg/kg又は20mg/lkgをOne shot静注後6時間までの平均尿中排泄率は, 成熟児では日齢と共に増大する傾向であり, 26.2~54.3%を示し, 未熟児では一定の傾向が認められず, 17.5~45.1%であつた。点滴静注時の尿中排泄についてもOne shot静注時とほぼ同じ傾向であつた。
    2.臨床的検討
    (1) AZTの臨床評価可能対象症例は88例 (91疾患) で, 起炎菌 (グラム陰性桿菌) 検出例 (A群) は敗血症9例, 化膿性髄膜炎2例, 肺炎8例, 尿路感染症33例などを含む56例であり, 著効39例, 有効16例, やや有効1例, 有効率98.2%であつた。起炎菌不明例 (B群) は敗血症疑い4例, 肺炎3例及び子宮内感染4例の11例であり, 著効4例, 有効7例, 有効率100%と, 両群とも非常に優れた成績であった。なお, 感染予防の目的で投与された24例では, 全例において予防効果が認められた。
    (2) 起炎菌が検出された56例 (A群) のうち, 菌の消長が判明した53例の細菌学的効果は菌消失51例, 不変2例であり, 菌消失率は96.2%であった。
    (3) 副作用解析対象例80例中1例に軽度の軟便 (1.3%) がみられ, 臨床検査値異常は好酸球増多3例, GOT・GPT上昇2例, 血小板増多, GOT上昇, 及び血小板減少・GOT・GPT・LDH上昇が各1例にみられたが, いずれも軽度で一過性のものであつた。
    以上の体内動態及び臨床成績から, AZTの新生児, 未熟児における標準投与量は, 1回20mg/kgを生後0~3日齢は1日2回, 4日以降は1日2~3回静注, 又は点滴静注と設定した。
  • 第II報Aztreonam及びAmpicillin併用投与による有効性及び安全性の検討
    藤井 良知, 柱 新太郎, 田島 剛, 目黒 英典, 阿部 敏明, 坂田 宏, 梯仁 志, 藤田 晃三, 室野 晃一, 帰山 雅人, 岡 敏 ...
    1990 年 43 巻 3 号 p. 563-578
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児, 未熟児におけるAztreonam (AZT) 及びAmpicillin (ABPC) 併用投与時の体内動態及び臨床的検討を行つて, 以下の成績を得た
    1.体内動態
    (1) 新生児, 未熟児にAZT20mg/kg及びABPC25mg/kgをOneshot静注した際の投与30分後の平均血清中濃度は, 4~7日齢群でそれぞれ41.3, 30.5μg/mlを示し, 以後漸減し, 6時間後では14.7, 2.7μg/mlとAZTの血清中濃度が常にABPCのそれを上回つた。
    (2) 血清中濃度半減期 (T1/2) は4~7日齢群でAZT3.61時間, ABPC1.42時間とAZTの方が長かった。しかし, ABPCの併用によってもAZTのT1/2はほとんど影響を受けなかった。
    (3) 両剤を併用した時のAZTの尿中回収率は, 投与後8時間までは4~7日齢群で52.7%とAZT単独投与時と同じかやや高率であった。
    2.臨床的検討
    (1) AZT及びABPCが併用投与された160例のうち, 効果判定対象例は133例で, 起炎菌検出例 (A群) は29例で有効率86.2% (25例/29例) であり, 起炎菌不明例 (B群) は50例で有効率94.0% (47例/50例) と, いずれも優れた成績であった。なお, 感染予防の目的でAZT及びABPCが併用投与された54例では, 全例において所期の予防効果が得られた。
    (2) 起炎菌検出例29例のうち, 菌の消長を追跡した21例全例に菌消失がみられ, 菌消失率は100%であった。
    (3) 副作用は副作用解析対象例152例中下痢1例及び発疹1例の計2例 (1.3%) に, 臨床検査値異常は好酸球増多9例, 血小板増多, GOT上昇各4例, GOT・GPT上昇3例等, 計23例 (15.9%) に認められた。
    以上の体内動態及び臨床的検討成績から, AZT及びABPCの併用療法は新生児, 未熟児の感染症に対し, 起炎菌不明時のEmpiricな抗生剤療法の一つの有用な療法と考えられる。
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