The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるNorfloxacinの基礎的, 臨床的検討
佐藤 吉壮岩田 敏秋田 博伸砂川 慶介
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1990 年 43 巻 5 号 p. 826-836

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抄録

Norfloxacin (NFLX, AM-715) は杏林製薬で開発されたフルオロキノロン系薬剤である。
我々は今回, 小児科領域における本剤投与時の基礎的, 臨床的検討を行つて以下の結果を得た。
1.NFLXの抗菌力では, グラム陰性桿菌ではEscherichia coli, Salmonella sp., Klebsiellasp., Enterobacter sp., Pseudomonas aeruginosaに対して良好なMIC値が得られた。グラム陽性球菌ではグラム陰性桿菌に比べ若干MIC値は高くなるが, 従来のキノロン系薬剤よりはるかに抗菌力は増強していた。Campylobacter jejuniに対するMIC値も≤0.05-0.78μg/mlと良好な値であった。
2.血中濃度の検討では2例ではあるが, ピーク値は共に0.49μg/mlであった。
尿中回収率については, それぞれ13.7%, 21.5%であつた。
3.臨床的効果では, 検討し得た37例中著効25例, 有効9例であり, 有効率92%と高い値を示した。細菌学的効果では, 87%と高い起炎菌の消失率を示した。
4.副作用, 検査値異常では好酸球増加を1例に認めただけであつた。
以上, NFLXの基礎的, 臨床的検討から, 本剤は小児科領域の感染症に対して有効且つ安全な薬剤であると考えられた。

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