The Japanese Journal of Antibiotics
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BMY-28100及びセフェム系抗生物質の体液内濃度測定法
EVANS'blue処理による微生物学的定量法
中名生 宏平岡 聖樹城殿 正博
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1990 年 43 巻 9 号 p. 1538-1544

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抄録

セフェム系抗生物質の微生物学的な体液内濃度測定法として, 生体試料にジアゾ色素EVANS'blueを添加し, セルロース系蛋白分子分画膜を用いて試料を前処理することにより, 緩衝液の標準曲線を用いて定量する方法を考案した。
ヒト血清蛋白と高結合率を示すセフトリアキソン (CTRX), セファゾリン (CEZ), 中程度のBMY-28100及び低結合率のセファドロキシル (CDX) を用い, ヒトプール血清及びラット肝組織への添加試料を作成して検討した。CTRX, CEZ, BMY-28100, CDXの定量値は対照とした緩衝液の回収率で補正すると, 試料の種類及び添加濃度に関係なく, それぞれ理論値の98.4-101.6%, 97.6-102.0%, 99.8-101.4%及び97.5-98.2%と, ほぼ100%の回収率を示した。同一試料を高速液体クロマトグラフィー法で定量した結果も, 緩衝液の回収率で補正すると, 理論値に対し, それぞれCTRX97.6-100.8%, CEZ97.3-99.9%, BMY-2810097.5-98.7%, CDX97.6-102.3%と, ほぼ100%の回収率を示し, Bioassay法による値と差は認められなかった。
BMY-28100を健常人に投与した際の血清中濃度を, 本法及び標準曲線をヒトプール血清で作成する従来法とで測定した結果, 両法で差は認められなかった。
以上の結果から, 本法は従来のセフェム系抗生物質のBioassay法で要求されている, 血清による標準曲線の作成, 又は, 生体試料の影響がなくなるまで試料を希釈する操作を行わずに, 一律に緩衝液の標準曲線で簡便に測定できる方法として有用であると考えられた

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