The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
43 巻, 9 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • II. Acetylspiramycin 組成分の生物活性
    近藤 明, 佐藤 清, 周藤 勝一, 山下 錦也, 市川 俊司, 高橋 恵一, 北 克則, 西家 靖, 佐野 浩, 山口 和夫, 白幡 公勝 ...
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1521-1529
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小さい順に, すなわち疎水性の低い順にF1, F2-F7とし各Fractionについて, 1) 抗菌力 (MIC), 2) Bacillus subtilis ATCC 6633 による抗菌力価, 3) Streptococcus pneumoniae III, あるいはStaphylococcus aureus SMITH によるマウス感染治療効果, 4) マウス腹腔内投与による急性毒性 (LD50), 5) チャイニーズハムスター肺由来線維芽細胞 (CHL), ウシ肺動脈内皮細胞 (CPAE), ラット肝細胞に対する細胞毒性を検討した。その結果以下のことが明らかになった。
    1.F1及び4 ″-AcetylspiramycinであるF2の生物活性挙動が他のFractionと大きく異なっていた。F1は最も低い力価492μg (力価) /mg, F2は最も高い2,040μg (力価) /mgを示し, これのLD50値はこの高い力価に対応するように最も低い値692mg/kgを示した。一方, F2のマウス感染治療効果はF1に次いで低いことが分かった。なお, F1のLD50値は1,200mg/kgでASPMとほぼ同程度であった。
    2.F3, F4, F5, F6の抗菌力価は1,165μg (力価) /mg, 1,266μg (力価) /mg, 1,374μg (力価) /mg, 1,530μg (力価) /mgとRtが大きくなるに従つて, つまりこれら化合物の疎水性が増すに従って高くなるが, 最も疎水性の大きいF7がF1の次に低い力価1,085μg (力価) /mgを示し, 疎水性と力価の関係の連続性はF7, つまり3。Propionyl, 3″, 4 ″-diacetylspiramycinで途切れる。これは3位のOH基が未置換で4″ 位のOH基だけがAcetyl化されたF2が最も高い抗菌力を示すことと対照的であった。F3, F4, F5のLD50値は943-949mg/kgとほぼ同じ値を示し, F6, F7は1,430mg/kg以上の低い毒性を示した。
    3.細胞レベルでの毒性と各Fractionの疎水性との間に相関性があり, 疎水性が大きくなるに従って毒性が高くなる。一方, in vivoでの毒性 (LD50) との関連についてみるとin vitroの毒性とは逆の相関にあり薬動力学的解明が待たれる。
  • 猪狩 淳, 設楽 政次, 設楽 正登, 吉元 加代子, 林 康之
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1530-1537
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1980年から全国各地の病院から臨床分離株を収集し, 常用抗菌薬に対する感受性及びその年次推移を調査してきている。
    今回は, 1988年の1年間に収集した尿検体 (細菌数≥105/ml) から分離されたEscherichia coli, Klebsiella spp., Proteus mirabilis, Indole (+) Proteus group のAmpicillin (ABPC), Cefazolin (CEZ), Cefmetazole (CMZ), Gentamicin (GM) に対する感受性と1980年から1988年までの感受性年次推移を検討した。
    抗菌力測定は日本化学療法学会標準法 (再改訂法) によりMUELLER-HINTON agar (BBL) を用い, 接種菌量106cfu/mlにて実施した。
    1.1988年分離のE. coli, Klebsiella spp., P. mirabilis の約90%以上の株はCEZ, CMZの6.25μg/mlで, GMの1.56μg/mlで発育が阻止された。ABPCに対しては前記3抗菌薬に比べ, 若干感性株は少ないが, それでもE.coliは約70%, P.mirabilisは約88%の株が6.25μg/mlで発育が阻止された。Indole (+) Proteus groupは約80%の株がABPCとCEZに耐性, CMZとGMに感性であった。
    2.ABPC, CEZ, CMZではMIC≥12.5μg/mlの株, GMでは≥3.13μg/mlの株の分離率を年次別に比較した。被験4菌種とも, CMZとGMに対する耐性株の増加傾向はみられなかった。CEZに対するE.coli, Klebsiella spp.の耐性株の増加も認めなかった
  • EVANS'blue処理による微生物学的定量法
    中名生 宏, 平岡 聖樹, 城殿 正博
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1538-1544
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セフェム系抗生物質の微生物学的な体液内濃度測定法として, 生体試料にジアゾ色素EVANS'blueを添加し, セルロース系蛋白分子分画膜を用いて試料を前処理することにより, 緩衝液の標準曲線を用いて定量する方法を考案した。
    ヒト血清蛋白と高結合率を示すセフトリアキソン (CTRX), セファゾリン (CEZ), 中程度のBMY-28100及び低結合率のセファドロキシル (CDX) を用い, ヒトプール血清及びラット肝組織への添加試料を作成して検討した。CTRX, CEZ, BMY-28100, CDXの定量値は対照とした緩衝液の回収率で補正すると, 試料の種類及び添加濃度に関係なく, それぞれ理論値の98.4-101.6%, 97.6-102.0%, 99.8-101.4%及び97.5-98.2%と, ほぼ100%の回収率を示した。同一試料を高速液体クロマトグラフィー法で定量した結果も, 緩衝液の回収率で補正すると, 理論値に対し, それぞれCTRX97.6-100.8%, CEZ97.3-99.9%, BMY-2810097.5-98.7%, CDX97.6-102.3%と, ほぼ100%の回収率を示し, Bioassay法による値と差は認められなかった。
    BMY-28100を健常人に投与した際の血清中濃度を, 本法及び標準曲線をヒトプール血清で作成する従来法とで測定した結果, 両法で差は認められなかった。
    以上の結果から, 本法は従来のセフェム系抗生物質のBioassay法で要求されている, 血清による標準曲線の作成, 又は, 生体試料の影響がなくなるまで試料を希釈する操作を行わずに, 一律に緩衝液の標準曲線で簡便に測定できる方法として有用であると考えられた
  • ミノサイクリンディスク感受性テストの定量的評価, 特にディスクテストにおけるMIC break pointsの再検討と臨床的意義
    植手 玄洋, 松尾 清光, 植手 鉄男
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1545-1558
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    .ミノサイクリン (MINO) の適確な臨床利用を行うためにMINOディスク (200, 30, 5μg含有) テストの阻止円直径とMICとの関係を各種臨床分離菌 (1988年度) 270株について吟味し, ディスクテストにおけるin vitro MIC break point の設定, 精度の再評価を行った。
    2.MINOのStaphylococcus aureus, Staphylocuccus epidermidis, Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae などへのMIC80値は0.78μg/ml以下であった。又, 高度多剤耐性S.aureus (MRSA) 15株へのMINOの抗菌力は全株がディスクテストで帯, で, 良好であった.
    グラム陰性桿菌へのMINOのMIC80値はH. influenzae 0.39 μg/ml, Escherichia coli 6.25μg/ml, Klebsiella pneumoniae 3.13 μg/ml, Proteus mirabilis 25 μg/ml, Proteus vulgaris 50μg/ml, Pseudomonas aeruginosa 50 μg/ml, Serratia marcescens 100 μg/ml, Enterobacter spp.50, μg/ml, Citrobacter spp. 12.5 μg/ml であった。
    3.200μg又は30μg含有ディスクいずれにおいても阻止円直径とMIC実測値とはよき相関関係を示した (n=259, r=-0.67及びn=239, r=-0.65) 。
    200μg含有ディスク結果はメーカー指定のとおり, 30μg含有ディスクについては本研究で仮設定したとおり, 阻止円直径を4分類し,(+++) MIC≤2μg/ml,(++) MIC>2-10μg/ml,(+) MIC>10-50μg/ml,(-) >50μg/mlとして評価した場合, Falsepositiveはそれぞれ26.6%, 20.5%, Falsenegativeは5.8%, 23.6%認められた。しかし,(柵) MIC≤3μg/ml,(++) MIC>3-15μg/ml,(+) >15-50μg/ml,(-) >50μg/mlとして4分類評価した場合, Falsepositiveはそれぞれ12%, 6.2%, Falsenegativeは5.8%, 23.6%となった。
    MIC1μg/mlのBreak pointの設定はいずれのディスクにおいても阻止円直径上に90%以上の精度において可能であつた。
    4.MINO常用量投与時の血中濃度, 組織移行, 喀痰濃度, 尿中排泄などの薬動力学的知見, 本研究でみられた各種臨床分離細菌株に対するMIC値を併せ考慮した場合, in vitro MIC breakpointsをMIC 1μg/ml, 3μg/ml, 15μg/mlと設定し, ディスクテスト結果を4分類評価するのがより合理的である。精度の高いディスクテストが可能となり, 臨床上有用である。
  • ピペラシリンディスク感受性結果の定量的評価, 特にディスク感受性検査におけるMIC break pointsの再検討と臨床的意義
    松尾 清光, 植手 鉄男
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1559-1571
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1.ピペラシリン (PIPC) に対する各種臨床分離菌のin vitro ディスク感受性結果の信頼性について, 昭和ディスク (30μg含有), 自家製ディスク (30μg, 10μg含有) を用いて最小発育阻止濃度 (MIC) 実測値と比較した.更にディスク感受性検査値の臨床利用に際してのin vitro MIC breakpoints については, 昭和ディスク, NCCLS, British Society for Antimicrobial Chemotherapy 提案のMIC break points それぞれの臨床利用上の諸点を考慮し, 吟味, 検討した。
    2.北野病院 (大阪市) において1988年1-6月に至る間, 各種臨床材料から無作為に分離された各種細菌に対するMICを寒天平板希釈法で測定した。PIPC3.13,125, 50μg/mlの濃度で発育阻止されたStaphylococcus aureus は, それぞれ20, 43.3, 43.3%であった。同様にStaphylococcusepidermidis は41.4, 72.4, 82.8%, Enterococcus faecalis73.3, 93.3,100%, Escherichia coli64.5, 71, 90.3%, Klebsiella pneumoniae40, 90, 90%, Indole (-) Proteus spp.93.8,100,100%, Indole (+) Proteus spp.72.7,100,100%, Pseudomonas aeruginosa50, 70, 73.3%, Serratia spp.37.5, 81.3, 96.9%, Enterobacter spp.55.2, 65.5, 75.9%, Citrobacter spp.62.5, 68.8, 81.3%であった。
    3.30μg含有昭和及び自家製ディスクの4分類評価法を (惜) MIC≤3μg/ml,(++) MIC>3-15μg/ml,(+) MIC>15-60μg/ml,(-) MIC>60μg/mlとした場合, 両ディスクとも阻止円直径とMIC実測値との間に良い負の相関関係がみられた.両ディスク結果から, MIC値を推定することは可能である。False positive は9.2-ll.6%, False negative は1.8-2.8%であった。NCCLS, WHOの分類によると, PIPCのBreak points はMIC64,256μg/mlに設定されている。しかしながら, 30μg含有ディスク (昭和, 自家製) 共に, MIC64μg/mlのBreak point を設定することは可能であったが, MIC256μg/mlのBreak point を設定することは不可能であった。又, British Society for Antimicrobial Chemotherapy 提案のMIC break points 16μg/ml及び64μg/mlは昭和及び自家製30μgディスクの阻止円直径上へ設定が可能であり, False positiveは6.3-7.4%, False negative は1.1-1.4%であった。
    30μg及びそれ以下の含有量のディスク, 例えば10μgでは阻止円直径からMIC≤0.05μg/ml, MIC>0.5-3μg/ml, MIC>3-15μg/ml, MIC>15μg/mlの菌に分類し得たが, MIC>15μgに分布する菌の判別は不可能であった。
    4.PIPCの血中濃度, 各種組織移行等の薬動力学的知見及び各種臨床分離菌株に対するMICからみた効菌力を合せて考慮したところ, 通常の投与量でのin vitro MIC break points は3μg/ml又は, 15 (16) μg/ml以下を感受性, 60 (64) μg/ml以上を耐性と設定することが合理的と思われる。しかしながら, 尿, 胆汁のように高濃度に薬剤の排泄がみられる場合, MIC64μg/mlと256μg/mlの2点に, 又, 髄液等のように薬剤移行の少ない場合には, MICO.5-3μg/mlにBreak points を設定することも有意義である。
  • 植手 鉄男, 松尾 清光
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1572-1578
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1.Piperacillin (PIPC) とAmikacin (AMK) を併用した場合の抗菌力における相互干渉を緑膿菌, 大腸菌に対する最小発育阻止濃度 (MIC) のFICindex及びディスク感受性阻止円直径から吟味した。
    2.大腸菌に対する両薬剤の抗菌力の相互干渉は認あられなかったが, 緑膿菌の一部の菌株に対して, 両薬剤併用による相乗的抗菌力増強がFIcindexから認められた。緑膿菌に対する相乗的抗菌作用の増強はPIPCのMICが≥25μg/mlの菌株には認められなかったが, MIC≤12.5μg/mlの菌株については明白に認められた。従つてPIPC昭和ディスク感受性テスト (+++)(++) 域菌株に対して, PIPCとAMKの併用は相乗的臨床効果が得られることが推定し得る。
    3.FIC indexからPIPCとAMKの相乗的抗菌力の増強がみられた緑膿菌株において, PIPC/AMKコンビネーション・ディスク (30μg/30μgあるいは30μg/15μg含有) の阻止円直径はいずれか単剤ディスクの阻止円直径より約3mm以上増大していた。しかし, FICindexより相乗的抗菌力増強のみられなかつた菌株のPIPC/AMKディスク阻止円直径はいずれか単剤のディスク阻止円直径より増大しなかったか, 増大の傾向があっても≤2mm であった。
  • 熊谷 啓子, 大月 秀夫, 西渕 光昭, 竹田 美文
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1579-1587
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体系抗生物質であるIsepamicin (ISP) 及びβ-ラクタム系抗生物質であるセファロスポリン系のCefoperazone (CPZ), オキサセフェム系のLatamoxef (LMOX), カルバペネム系のImipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS) のPseudomonas aeruginosa, Serratia marcescens, 及びKlebsiella Pneumoniaeに対するin vitroにおける抗菌活生及び併用効果を調べた。ISP及びIPM/CSは, いずれの菌種に対しても単独で強い抗菌活性を示した。これらに比べ, CPZは, P.aeruginosa及びS.marcescensに対する, 又, LMOXはP.aeruginosaに対する抗菌活性がかなり劣つていた。Checker-board dilutiom法により, 併用効果を調べた結果, ISPとβ-ラクタム系の各薬剤との組み合せが試験に供した3菌種に対して著明な協力作用を示し, β-ラクタム系薬剤間の組み合せについても多くの菌株に対して協力作用を示した。3菌種の殺菌曲線に及ぼす影響を調べた結果, ISPとCPZをそれぞれ単独で静菌的な作用を示す濃度で併用すると, いずれの菌に対しても殺菌的に作用した。
  • 安永 幸二郎, 中川 雅夫, 垣下 榮三
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1588-1602
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セフミノクスナトリウム (CMNX) の止血・凝固系に及ぼす影響を検討した。昭和63年4月から平成元年3月までの期間に全国237施設, 310機関に入院した成人患者を対象に, 新たに設計した統一プロトコールを用いて追跡調査を行った。収集した調査表は判定委員会が点検し, プロトコールに従って解析対象例を固定したのち, 委員会が作成した評価基準を用いて客観的に止血・凝固系異常の有無の判定を行った。
    解析対象1,374例のうち, CMNXとの因果関係を否定できない症例で異常ありと判定された症例は10例であった。その内容はプロトロンビン時間延長4例 (0.29%), 活性化部分トロンボプラスチン時間延長4例 (0.29%), フィブリノーゲン減少2例 (0.15%) で, 血小板数の減少はみられず, これらの中に臨床的な出血症状の発現は認められなかった。これら10例の背景因子を層別解析した結果, 基礎疾患・合併症「有」群での止血・凝固系の異常発現は「無」群のそれよりも有意 (P〈0-01) に多かったが, 「有」群9例中5例が悪性新生物で占められていた。その他の因子では, 推計学的に有意な項目は認められなかった。
    以上の成績から, CMNX投与による止血・凝固系異常への影響は極めて少なく, 検査値異常の発現は主として患者側の状態に依存するところが大きいと考えられた。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 青木 繁幸, 高木 道生
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1603-1613
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefodizime (CDZM, THR-221) の小児科領域における基礎的並びに臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
    基礎的検討と育て, CDZMの血清中濃度及び尿中排泄率を測定した。30分間点滴静注時の血清中濃度推移はCDZM10mg/kg2例, 20mg/kg2例, 40mg/kg3例で検討育た。いずれの投与量においても, 濃度ピークは点滴静注終了時にあり, そのCDZMの濃度は投与量別に76.16±5.52μg/ml, 170.49±16.70μg/ml, 270.01±50.44μg/mlであり, 半減期は各々2.03±0.78時間, 2.03±0.38時間, 2.28±0.30時間であつた。又, 投与後8時間までの尿中排泄率は血清中濃度を測定した症例と同一症例にて検討し, CDZM10mg/kg投与時83.3±22.3%, 20mg/kg投与時73.1±13.9%, 40mg/kg投与時51.1±8.5%であった。
    臨床的検討は扁桃炎5例, 上顎洞炎1例, 咽頭炎1例, 気管支炎2例, 肺炎10例, 腸炎6例, 尿路感染症3例の計28例について行った。臨床効果は著効13例, 有効7例, やや有効2例, 無効6例であり, 有効以上は計20例で, 71.4%の有効率であった。又, 細菌学的効果は, Staphylococcusaureu31例, Strptoccccus pyogonesl例, Haemophilus influbnzae5例, Salmonba typimuium4例, 及びEscherichia coli1例の計12例について検討した。SaureusとS.tyhimuriumの各1例は不変, S.typhimuriumによる1例では菌減少がみられたが, 他の9例は全例本剤使用中に菌消失し有効であった。副作用は本剤投与前後の臨床症状・所見及び検査所見の異常について計34例で検討し, 検査値異常として血小板増多1例, GOT上昇2例, GOTとGPT上昇2例を認めたたしかし, いずれも本剤との関連は少なく, 又, 臨床症状・所見の異常は認めなかった。
  • 赤坂 清司, 那須 芳, 堀内 篤, 長谷川 廣文, 巽 典之, 任 太性, 木谷 照夫, 谷口 信博, 田川 進一, 正岡 徹, 柴田 弘 ...
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1614-1620
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    各種血液疾患に合併する重症感染症88例にAspoxicillin (ASPC) とCeftazidime (CAZ) の併用療法を行い, その臨床効果を検討した。投与法はASPC1日8g, CAZ1日4-6gを2-4回に分割して静脈内に投与し, 最低3日間は投与を行った。
    その結果, 著効20例, 有効31例, やや有効4例, 無効33例で有効率は58.0%であった。更に詳細なデータを得られた77例については, 63.6%の有効率であった。
    細菌が分離された9例から10菌株が検出され, その細菌学的検討を行った結果, 消失3株, 減少1株, 不変3株, 不明3株で, 菌消失率は42.9%であった。又, その中で, Pseudomonas aeruginosa3株が検出されたが, 2株が消失, 1株が減少した。
    ASPC, CAZ投与前後の好中球数と臨床効果の関係を検討した結果, 投与前好中球数が500/mm3以上, 又は投与後好中球数が増加するほど, 効果が高くなる傾向がみられた。
    副作用, 臨床検査値異常は94例中4例に認められ (4.3%), いずれも投与中止により回復した。
    ASPC, CAZの併用療法は血液疾患に合併する重症感染症に対して, 有用な組合せと考えられた。
  • 川浪 耐子, 柴田 明彦, 花輪 滋, 森嶋 隆文
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1621-1628
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefaclorの持続性製剤であるS6472について, 皮膚科領域での臨床的検討を行つた。
    対象は疾患群I (毛嚢炎, 膿庖性座瘡) 14例, 疾患群II (廊, 廊腫症, よう) 16例, その他疾患2例の合計32例で, S6472は1回375mg (1包), 又は750mg (2包) を1日2回食後経口投与した。
    臨床効果は疾患群Iでは, 著効6例, 有効8例, やや有効0例, 無効0例で有効率100%, 疾患群IIでは, 著効10例, 有効5例, やや有効1例, 無効0例で有効率93.8%であった。細菌学的効果はStaphylococcus epidermidis の1例で減少, Staphylococcus aureus の1例で菌交代していたが, 残りの24例はすべて陰性化していた。副作用は1例も認められなかつた。
    以上の結果から, S6472は1日2回投与で皮膚科領域感染症に対して有用性の高い薬剤と考えられた。
  • 岩井 直一, 中村 はるひ, 宮津 光伸, 片山 道弘, 笠井 啓子
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1629-1648
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    キノロンカルボン酸系キノロンカルボン酸系抗菌剤であるNorfloxacin (NFLX) についての小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行った。
    1.小児13例 (6-11歳) にNFLX2.2-5.6mg/kg (平均4.4±1.2mg/kg) を投与した際の血清中濃度推移と尿中排泄について検討した。平均血清中濃度推移は服用後2時間にピークがあり, その値は0.37±0.20μg/mlで, その後は2.8±0.4時間の半減期をもつて推移し, 8時間値は0.11±0.06μg/mlであった。又, 平均尿中濃度推移については0-2時間尿の125.2±166.2μg/mlがピークで, 8時間までの尿中回収率は平均22.1±6.0%であつた。なお, 体重kg当りの投与量と最高血清中濃度との間には明らかなDose responseが認められた。
    2.小児期感染症65例 (2歳10ヵ月-15歳7ヵ月) にNFLXを投与した際の臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
    臨床効果の判定対象となった急性化膿性偏桃腺炎9例, 急性肺炎3例, 慢性鼻炎1例, 尿路感染症15例, 急性腸炎34例, 計62例に対する臨床効果は著効48例, 有効13例, 無効1例で, 著効と有効をあわせた有効率は98.4%であった。又, これらの症例の原因菌と推定されたStaphylococcusaureus 1 株, Staphylococcus epidermidis 1 株, Escherichia coli 10 株, Salmonella sp. 5 株, Morganella morganii 1 株, Pseudomonas aeruginosa 3株, Haemophilus parainfluenzae 1 株, Campylobacter jejuni 12 株に対する細菌学的効果はC.jejuni3株が減少であつた以外は消失であった。副作用については, ふらっきと悪心が各々1例ずつ認あられたが, いずれも継続投与が可能な軽度なものであった。又, 臨床検査値異常は認められなかった。
    以上の成績から, NFLXは小児期においても有用であり, しかも慎重に投与されるなら安全に使用できる薬剤であると考えられた。
  • 鈴木 恵三, 堀場 優樹, 長田 恵弘
    1990 年 43 巻 9 号 p. 1649-1659
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Isepamicin (ISP) を1日単回, 400mg, 点滴静注で投与した時の血中濃度測定と複雑性尿路感染症 (Chronic complicated urinary tract infection, CC-UTI) に対する治療成績を検討した。
    1.血中濃度ISPによる治療を行った患者のうち, 6例に対して腎機能別に群別化して血中濃度を測定した。その結果1群 (Ccr130.8ml/min), II群 (Ccr70.8ml/min), III群 (Ccr45.9ml/min) で最高血中濃度と次回投与直前トラフ値に差を認めなかった。この値は投与を開始した1-2日と投与後5-6日の間の値を比較しても差を認めなかった。
    2.有効性CC-UTIの23例に対してISP400mgを1日単回30分又は60分かけて点滴静注で4-10日間投与した。全症例のうち61歳以上の患者は18例, 78%を占め, 高齢者を主な対象とした。効果は, UTI薬効評価基準で有効以上が71%であった。主治医判定では77%の有効率であった。
    3.安全性全症例で本剤に基づくと思われる自他覚的副作用, 検査値の変動を認めなかった。
    4.結語ISP, 1日400mg単回投与での有効性は, 200mgを2回投与した場合と同等である。潜在的腎機能低下が多いとされている高齢者でも, 全例で安全性に特筆すべきものがなかった。従って, 単回投与による治療法は, メディカルスタッフと患者のいずれにもメリットのあることと評価できた。
feedback
Top