The Japanese Journal of Antibiotics
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Isepamicin1日単回投与時の血中動態と複雑性尿路感染症に対する有用性の検討
鈴木 恵三堀場 優樹長田 恵弘
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1990 年 43 巻 9 号 p. 1649-1659

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抄録

Isepamicin (ISP) を1日単回, 400mg, 点滴静注で投与した時の血中濃度測定と複雑性尿路感染症 (Chronic complicated urinary tract infection, CC-UTI) に対する治療成績を検討した。
1.血中濃度ISPによる治療を行った患者のうち, 6例に対して腎機能別に群別化して血中濃度を測定した。その結果1群 (Ccr130.8ml/min), II群 (Ccr70.8ml/min), III群 (Ccr45.9ml/min) で最高血中濃度と次回投与直前トラフ値に差を認めなかった。この値は投与を開始した1-2日と投与後5-6日の間の値を比較しても差を認めなかった。
2.有効性CC-UTIの23例に対してISP400mgを1日単回30分又は60分かけて点滴静注で4-10日間投与した。全症例のうち61歳以上の患者は18例, 78%を占め, 高齢者を主な対象とした。効果は, UTI薬効評価基準で有効以上が71%であった。主治医判定では77%の有効率であった。
3.安全性全症例で本剤に基づくと思われる自他覚的副作用, 検査値の変動を認めなかった。
4.結語ISP, 1日400mg単回投与での有効性は, 200mgを2回投与した場合と同等である。潜在的腎機能低下が多いとされている高齢者でも, 全例で安全性に特筆すべきものがなかった。従って, 単回投与による治療法は, メディカルスタッフと患者のいずれにもメリットのあることと評価できた。

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