The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるNorfloxacinの基礎的,臨床的検討
岩井 直一中村 はるひ宮津 光伸片山 道弘笠井 啓子
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1990 年 43 巻 9 号 p. 1629-1648

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抄録

キノロンカルボン酸系キノロンカルボン酸系抗菌剤であるNorfloxacin (NFLX) についての小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行った。
1.小児13例 (6-11歳) にNFLX2.2-5.6mg/kg (平均4.4±1.2mg/kg) を投与した際の血清中濃度推移と尿中排泄について検討した。平均血清中濃度推移は服用後2時間にピークがあり, その値は0.37±0.20μg/mlで, その後は2.8±0.4時間の半減期をもつて推移し, 8時間値は0.11±0.06μg/mlであった。又, 平均尿中濃度推移については0-2時間尿の125.2±166.2μg/mlがピークで, 8時間までの尿中回収率は平均22.1±6.0%であつた。なお, 体重kg当りの投与量と最高血清中濃度との間には明らかなDose responseが認められた。
2.小児期感染症65例 (2歳10ヵ月-15歳7ヵ月) にNFLXを投与した際の臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
臨床効果の判定対象となった急性化膿性偏桃腺炎9例, 急性肺炎3例, 慢性鼻炎1例, 尿路感染症15例, 急性腸炎34例, 計62例に対する臨床効果は著効48例, 有効13例, 無効1例で, 著効と有効をあわせた有効率は98.4%であった。又, これらの症例の原因菌と推定されたStaphylococcusaureus 1 株, Staphylococcus epidermidis 1 株, Escherichia coli 10 株, Salmonella sp. 5 株, Morganella morganii 1 株, Pseudomonas aeruginosa 3株, Haemophilus parainfluenzae 1 株, Campylobacter jejuni 12 株に対する細菌学的効果はC.jejuni3株が減少であつた以外は消失であった。副作用については, ふらっきと悪心が各々1例ずつ認あられたが, いずれも継続投与が可能な軽度なものであった。又, 臨床検査値異常は認められなかった。
以上の成績から, NFLXは小児期においても有用であり, しかも慎重に投与されるなら安全に使用できる薬剤であると考えられた。

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