The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
Flucytosineによる尿路真菌症の治療経験臨床効果と背景因子について
藤広 茂江原 英俊斉藤 昭弘伊藤 康久兼松 稔坂 義人河田 幸道
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 44 巻 1 号 p. 14-21

詳細
抄録

経口抗真菌剤の一つであるFlucytosine (5-FC) を37例の尿路真菌症患者に投与した。患者条件は毎視野5コ以上の膿尿, 103コ/ml 以上の真菌尿及び7日間の間隔をおいて繰返し真菌が認あられること (定常性) とし, 1日2~8gを7~14日間投与した。投与した37例中31例が評価可能であつたが, 14日間投与を行った27例について臨床効果を検討すると, 総合臨床効果は77.8%であり, カテーテル留置例の方が不良であつた。分離された真菌30株のうち22株 (73, 3%) が治療後に消失した。5-FCのMICは5株を除いて0.78μg/ml以下であった。無効の6例では治療後早期に5-FCに対する二次耐性が認められた。副作用として, 37例中食欲不振, 軽度の白血球減少が各1例に認められた。5-FCは尿路真菌症の治療において有用な経口剤と考えられた。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top