The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefepimeの胆汁中移行及び外科領域感染症に対する臨床使用経験
森本 健木下 博明中谷 守一酒井 克治上田 隆美藤本 幹夫大野 耕一森本 譲大森 国雄
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1991 年 44 巻 7 号 p. 736-747

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抄録

1988年3月から1990年6月までに大阪市立大学医学部第2外科及びその関連施設で取り扱つた外科的感染症23例にCefepimeを使用すると共に総胆管結石術後あるいはPercutaneous transhepatic cholangiodrainage中の5例における本剤の胆汁移行を検索し, 以下の結果を得た。
1.本剤1gを30分間点滴静注された5例の血漿中濃度は点滴静注終了時で59.9~118μg/mlのピークレベルとなり, 6時間後では6.4~29.0μg/mlにまで低下したのに対し, 胆汁中濃度は点滴静注開始後1~5時間で7.1~28.2μg/mlのピークレベルに達し, 5~6時間の分画では3.7~12.3μg/mlのレベルを維持していた。
2.本剤の臨床効果判定は評価可能22例では著効12例, 有効5例, やや有効1例, 無効4例で, 有効率は77.3%であつた。
3.細菌学的効果は16例で評価され, 消失10例, 減少3例, 不変3例であり, 消失率は62.5%, 分離菌別に細菌学的効果をみると, 分離菌31株中, 消失23株, 不変8株で, 消失率74.2%であつた。
4.今回検討された症例中, 治療開始時, Escherichia coliの検出された5例ではそのMICは0.05μg/ml以下, Pseudomonas aeruginosaを認めた2例ではMICは1.56μg/ml以下で, 本剤の有効性が期待された。黄色ブドウ球菌は3例に検出され, 1例はMethicillin-resistant Staphylococcus aureusで除菌されなかつた。

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