The Japanese Journal of Antibiotics
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臨床分離株に対するCefodizimeと他の抗菌性物質との抗菌併用効果
II. Sisomicinとの併用効果
出口 浩一横田 のぞみ古口 昌美中根 豊鈴木 由美子深山 成美石原 理加
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1992 年 45 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

Cefodizime (CDZM) は広い抗菌スペクトルと比較的長い血中半減期を有するほか, 各種動物感染症実験モデルにおいては, 免疫抑制下における優れた治療効果が認められるなどの報告があるたあ, 易感染宿主に発症する感染症に対する期待が持てる。
一方, Sisomicin (SISO) はグラム陰性桿菌に対する強い抗菌力を有するほか, 腎毒性や聴器毒性が軽度であるとされているため, 臨床分離株に対するCDZMとSISOのin vitroにおける抗菌併用効果を検討した。
1. Escherichia coli, Citrobacter freundii, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter clocae, Serratiamarcecens, Proteus vulgaris, Morganella morganii, そしてPseudomonas aeruginosaのSISO感性株を対象としたCDZM+SISOの抗菌併用効果は, 大部分の供試株に対してはSISOの1MICもしくはsub MIC濃度存在下においてFIC index 05~≤1を示すことから, グラム陰性桿菌のSISO感性株には両薬剤の強い抗菌併用効果が示唆された。
2. 供試株のC.freundii10.0%, E.cloacae6.7%, S.marcescens63.3%, P.vulgaris23.3%, そしてP.aeruginosa18.0%はSISO耐性株だつたが, これらのSISO耐性株に対する両薬剤の抗菌併用効果は, ほとんど認あられなかった。
3. グラム陰性桿菌に対する両薬剤の抗菌併用効果は, SISO感性株においてはCDZM耐性株でも発揮されるが, SISO耐性株では下分に発揮されないことから, 両薬剤の抗菌併用効果はSISOの抗菌活性に依存することが示唆された。
Cefodizime (CDZM) は抗菌スペクトルが広く, 比較的長い血中半減期と良好な組織移行性を示すほか, 各種動物感染症実験モデルにおいては, 最小発育阻止濃度 (MIC) から予測される以上の治療効果が認められており, なかでも免疫抑制下で感染防御能が低下した場合においても, 優れた実験的治療効果が認あられると報告されていることから1~3), 易感染宿主に発症する感染症に対する期待が持てる。
そこでグラム陰性桿菌に対する抗菌力が強く, 加えて腎毒性や聴器毒性が軽度であるとされているSisomicin (SISO) を選び4, 5), グラム陰性桿菌に対するCDZMとSISOのin vitroにおける抗菌併用効果を検討した。

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