The Japanese Journal of Antibiotics
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白血球減少症マウスを用いた全身感染症に対するKW-2228とセフェム系抗菌剤の併用効果
芳野 達也佐藤 清
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1992 年 45 巻 1 号 p. 106-111

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抄録

今回著者らは, 抗ガン剤投与中にみられるKlebsiella pneumoniae感染症をモデル化し, 易感染化の一つとしてCyclophosphamide (CPA) 投与によつて好中球減少症としたマウスを用いて, KW-2228と代表的なセフェム系抗菌剤との併用効果を検討した。すなわち, マウスにCPA 200mg/kgを投与して好中球減少症マウスを作製した。その翌日からKW-2228 (1μg/mouse/日) を4連投したのち, 最終投与4時間後にK. pneumoniae8045 を感染させ, 更に感染2時間後にセフェム系抗菌剤を投与して治療を行つた。主な成績は下記のとおりである。
1. Cefazolin (CEZ) 単独群のED50100mg/kgであつたのに対し, KW-2228+CEZ併用群のED50値は39.6mg/kgであった。
2. Cefmetazole (CMZ) 単独群のED知値は100mg/kgであったのに対し, KW-2228+CMZ併用群のED50鉛値は46.9mg/kgであった。
3. Ceftazidime (CAZ) 単独群のED50値は8.8mg/kgであったのに対し, KW-2228+CAZ併用群のED50値は4.4mg/kgであった。
4. Cefaclor (CCL) 単独群のED50値は10.3mg/Kgであったのに対し, KW-2228+CCL併用群のED50値は7.1mg/kgであった。
以上の結果から, 感染症の化学療法においてKW-2228を併用することにより, CPAによつて抑制された白血球数の回復が促進され, 好中球減少症マウスの実験的肺炎桿菌感染症に対する各種セフェム系抗菌剤の治療効果が大幅に向上することが証明された。

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