The Japanese Journal of Antibiotics
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担ガンマウスを用いた全身感染症に対するKW-2228とアミノ配糖体系抗生物質の併用効果
芳野 達也佐藤 清
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1992 年 45 巻 1 号 p. 98-105

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抄録

臨床の担ガン患者において, 日和見感染として緑膿菌感染症が多く認められる。これは, 担ガン状態及びそれに対する化学療法の結果引起される免疫不全状態により起きるものである。著者らは今回, これをマウスによるモデル化を行い, 緑膿菌感染症に対するKW-2228とアミノ配糖体系抗生物質による併用効果を検討した。すなわち, マウスに腫瘍移植して担ガンマウスを作製し, 腫瘍移植3日後に抗ガン治療としてCyclophosphamide (CPA) を投与した。更に, その翌日からKW-2228 (1μg/mouse/日) を4連投したのち, 最終投与4時間後に緑膿菌を感染させ, 更に感染2時間後にアミノ配糖体系抗生物質 (Gentamicin (GM), Astromicin (ASTM)) を用いて治療を行った。
主な結果,
1. 腫瘍移植3日後にCPA処理した担ガンマウスにおいて, GM単独治療群のED幻値は40.7mg/kgであったのに対し, KW-2228+GM併用治療群のED幻値は3.6mg/kgであった。
2. 腫瘍移植3日後にCPA処理した担ガンマウスにおいて, ASTM単独治療群のED50値は386mg/kgであったのに対し, KW-2228+ASTM併用治療群のED幻値は17.8mg/kgであった。
3. 抗ガン治療を施した担ガンマウスにおける実験的緑膿菌感染症に対するアミノ配糖体系抗生物質のED蜀値は, KW-2228を併用した場合, 正常マウスにおけるED50値と同レベルであった。
以上の結果から, KW-2228を予防的に併用使用することによつて, CPAによつて抑制された白血球数の回復が促進され, これによって抗ガン治療を施した担ガンマウスの実験的緑膿菌感染症に対するアミノ配糖体系抗生物質の治療効果が著しく向上することが示された。

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