1992 年 45 巻 11 号 p. 1469-1473
幼若犬と成犬, 各々4頭にCefprozil (CFPZ) を絶食下25mg/kg経口投与し, 体内動態を比較検討した。
CFPZは幼若犬に投与した場合, 成犬より遅く (幼若犬1.4時間, 成犬1.1時間) 最高血中濃度(Cmax)21-2μg/mlに達し, その値は成犬27.8μg/mlより有意 (P<0.01) に低かった。しかし, 血中濃度曲線下面積 (AUC) は幼若犬121μg・hr/ml, 成犬130μg・hr/mlで有意差を認めず, 生物学的半減期 (T 1/2) は共に, 4.7時間であつた。
幼若犬, 成犬の24時間までの尿中回収率及び腎クリアランス (CLR)は, それぞれ36.3%, 34.7%, 及び1.3ml/min/kg, 1.1ml/min/kgといずれも有意差を認めなかった。
以Lから, 幼若犬では成犬より分布容積が大きく, 又, 吸収量は変わらないものの吸収速度が遅くなるものと考えられたが, AUCは同等であり, 排泄過程における差も認められなかったことから, 体内動態上, 大きな差違は生じないものと考えられた。