The Japanese Journal of Antibiotics
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45 巻, 11 号
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  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 鈴木 香苗, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1421-1450
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1989年及び1991年に全国の医療機関から送付されてきた臨床分離株, 更に各種感染症患者採取材料から分離・同定した臨床分離多数株を対象にして, Ceftazidime (CAZ) の抗菌活性を他のセフェム系薬剤などを加えて検討し, 以下の結論を得た。
    1. 1980年代前半における臨床分離株を対象とした報告に比較して, 1991年分離株に対するCAZのMIC90が大幅に上昇した菌種は, Staphylococcus spp., Streptococcus pneumoniae, Escherichia coli, Enterobacter spp., Serratia marcescens, Proteus vulgaris, Morganella morganii, そしてPseudomonas aeruginosaであることが示唆された。そしてProvidencia rettgeri, Providencia stuartii, Xanthomonas maltophilia, Bacteroides fragilis groupにもCAZ耐性株が高い割合に認められた。
    しかしStreptococcus pyogenes, Klebsiella spp., Citrobacter spp., Proteus mirabilis, Pseudomonas cepacia, Acinetobacter calcoaceticus, Haemophilus influenzae, 更にAnaerobic GPC (Gram-positivecocci) に対するCAZの抗菌活性には大きな経年的変動が認められなかった。
    2. 供試株にはMethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA), Benzylpenicillin (PCG)-insensitive S. pneumoniae (PISP), オキシム型セフェム及びセファマイシン耐性の腸内細菌科グラム陰性桿菌, 更にニューキノロン系薬剤耐性菌が高い割合に認められたことから,「CAZ耐性菌」にはこれらの耐性機作が重なつていて, そうした耐性菌にはCAZの抗菌力が十分に発揮し得ない状況にあることも考えられた。
    3. 近年に検出された臨床分離株に対するCAZの抗菌活性には, 上述したような問題点を含む。しかし, 日常診療で対象となる感染症の起炎菌となり得る大部分の臨床分離株には, CAZが有効な抗菌活性を維持していることも示唆された。そして, CAZは数少ない抗緑膿菌作用, 更に外膜透過性に優れた特徴を加味するなら, CAZは1990年代を迎えた今日においても, 臨床的に有用なセフェム系薬剤の一つであるとの結論を得た。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 鈴木 香苗, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 田中 節子, 中根 豊
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1451-1459
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1992年1月~3月に, 市中の気道系感染症患者から分離した臨床分離株を対象に, Cefetamet (CFMT) の抗菌活性を他の屯な3ラクタム系経口抗菌薬剤を加えて検討し, 以下の結論を得た。
    1. Streptococcus pyogenes, Streptcoccus pneumoniac, そしてHaemophilus lnfiuenzae, すなわち市中の気道系感染症におけるこれら「三大起炎菌」に対するCFMTの強い抗菌活性が認あられたが, そこにおけるMIC値は既存の一部のオキシム型経口セフェム系薬剤には, やや劣っていた。
    2. CFMTはセフェム系薬剤の抗菌活性を低下させるMoraxella subgenus Branhamella catarrhalisが産生するβ-ラクタマーゼに対しては, Cefixime (CFIX) とほぼ同等に安定である。
    3. CFMTの経口薬剤であるCcfetametpivoxil (CFMT-PI) 250mg, 及び500mg単回投与時の血中濃度は, 上記の「三大起炎菌」及びM.(B) catarrhalis, Klebsiella pneumoniaeに対するCFMTのMIC8。を, 250mg投与時は約9時間, 500mg投与時は約11時間越えていたことから, CFMTはAbove the MIC, Time above MICを, 常用量1日2回の投与で十分にカバーすることが示唆された。
    4. 上記によりCFMT-PIは, 市中の気道系感染症に対する有用性が期待できるとの結論を得た。
  • 阪神造血器疾患感染症研究グループ
    長谷川 廣文, 堀内 篤, 陰山 克, 木谷 照夫, 巽 典之, 赤坂 清司, 米沢 毅, 正岡 徹, 安永 幸二郎, 川越 裕也, 永井 ...
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1460-1468
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器疾患に合併した重症感染症151例に対し, Cefuzonam (CZON) を投与し, その有効性と安全性について検討した。CZONの投与量, 投与方法は1日2.0~6.0gを2~3回に分割し, 静注又は点滴静注により投与した。
    その結果, CZONの臨床効果は著効34例, 有効40例, やや有効5例, 無効57例であり, 有効率は54.4%であつた。投与後の好中球数が500/μl以下の症例で43.8%, 100/μl以下の症例で35.9%の有効率が得られた。起炎菌が同定された例での有効率は, 70.6% (グラム陰性菌66.7%, グラム陽性菌80.0%) であつた。これに対して, 起炎菌の同定されなかつた例での有効率は52.1%であった。他剤先行投与抗生物質無効例に対する有効率は41.5%であつたが, この中で先行抗生物質が1剤の場合の有効率は50.0%であった。
    安全性評価では副作用2例, 検査値異常4例の合計6例, 3.9%であった。
  • 中名生 宏, 城殿 正博, 白谷 真弓, 清水 憲次
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1469-1473
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    幼若犬と成犬, 各々4頭にCefprozil (CFPZ) を絶食下25mg/kg経口投与し, 体内動態を比較検討した。
    CFPZは幼若犬に投与した場合, 成犬より遅く (幼若犬1.4時間, 成犬1.1時間) 最高血中濃度(Cmax)21-2μg/mlに達し, その値は成犬27.8μg/mlより有意 (P<0.01) に低かった。しかし, 血中濃度曲線下面積 (AUC) は幼若犬121μg・hr/ml, 成犬130μg・hr/mlで有意差を認めず, 生物学的半減期 (T 1/2) は共に, 4.7時間であつた。
    幼若犬, 成犬の24時間までの尿中回収率及び腎クリアランス (CLR)は, それぞれ36.3%, 34.7%, 及び1.3ml/min/kg, 1.1ml/min/kgといずれも有意差を認めなかった。
    以Lから, 幼若犬では成犬より分布容積が大きく, 又, 吸収量は変わらないものの吸収速度が遅くなるものと考えられたが, AUCは同等であり, 排泄過程における差も認められなかったことから, 体内動態上, 大きな差違は生じないものと考えられた。
  • 岩田 敏, 池田 昌弘, 山田 健一朗, 磯畑 栄一, 金 慶彰, 楠本 裕, 佐藤 吉壮, 秋田 博伸, 南里 清一郎, 老川 忠雄, 横 ...
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1474-1488
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口用非エステル型セフェム系抗生剤であるCefprozil (CFPZ, BMY-28100) について, 小児臨床例の腸内細菌叢に及ぼす影響を検討した。対象は感染症の小児4例 (男児2例, 女児2例, 年齢9カ月~6歳3ヵ月, 体重4.3~19.0kg) で, これらの小児に対してCFPZ細粒1回10.0~11.6mg/kgを1日3回, 4~14日間経口投与し, 原則として投与前, 投与開始後3~7日目, 投与中止後3~7日目の糞便1g中に含まれる各種細菌の同定及び菌数計算を行った。同時に糞便中のCFPZ濃度, β-Lactamase活性も測定した。CFPZ投与中の糞便内細菌叢の変動は症例により若干のばらつきが認められたが, いずれの症例においても主要な好気性菌及び嫌気性菌にあまり大きな変動は認あられず, ブドウ糖非醗酵性グラム陰性桿菌や真菌が優勢菌種となる症例も認められなかった。又, 糞便中のβ-Lactamase活性は全例で陽性を示し, 糞便中CFPZ濃度はいずれの症例においても投与前, 中, 後を通じて検出限界以下であつた。
    以上から, CFPZは小児の腸内細菌叢に及ぼす影響の少ない薬剤であると考えられる。
  • 小児期におけるCefprozilについての薬動力学的検討
    中村 はるひ, 岩井 直一
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1489-1504
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児期におけるCefprozil (CFPZ, BMY-28100) についての吸収, 排泄を検討すると共に, 薬動力学的解析を加えた。
    1. 食事の影響をみた学童6例の同一症例における75mg/kg食前30分及び食後30分服用後の検討では, 前者のTmaxは1.11±0.08時間, Cmaxは5.08±0.27μg/ml, T 1/2は0.77±0.09時間, 尿中回収率 (0~8時間) は55.2±4.7%で, 後者はそれぞれ1.31±0.04時間, 3.98±0.38μg/ml, 0.72±0.03時間, 46.3±9.0%であった。食前投与の方が明らかに早くTmaxが得られると共に, 高いCmaxを示し, 更に尿中回収率については若干高い傾向がみられた。
    2. 用量依存性をみた学童6例の同一症例における75mg/kg及び15.0mg/kg食前30分服用後の検討では, 前者のCmaxは6.19±0.36μg/ml, AUCは14.90±1.02μg・hr/mlで, 後者ではそれぞれ12.38±1.29μg/ml, 2856±1.79μg・hr/mlであり, 両者には明らかなDose responseが認められた。又, 尿中回収率は各々82.1±6.4%, 51.1±7.1%であり, 理由ははつきりしないが, 7.5mg/kg投与においてかなり高い傾向がみられた。
    3. 年齢による差異をみた学童17例, 幼児19例, 乳児5例における75mg/kg食前30分服用後の検討では, 学童, 幼児, 乳児のTmaxは各々1.07±0.09時間, 1.06±0.07時間, 1.40±0.09時間であり, 乳児では若干遅れる傾向がみられた。又, Cmaxについては各々5.62±0.38μg/ml, 4.72±053μg/ml, 4.05±0.33μg/mlで, 学童, 幼児, 乳児の順に高い傾向がみられた。更にT 1/2は学童, 幼児, 乳児で各々0.73±0.04時間, 0.78±0.09時間, 0.98±0.12時間で, 乳児において明らかに長い傾向がみられた。又, AUCは各年齢層とも似た値を示したが, 尿中回収率はそれぞれ64.1±4.3%, 44.3±3.8%, 51.6±3.3%で, 学童において若干高い傾向がみられた。
  • 目黒 英典, 田島 剛, 白石 裕昭, 阿部 敏明
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1505-1513
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    46例の小児科領域感染症においてCefprozil (CFPZ, BMY-28100) の臨床的検討を行い, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Staphylococcus属, 及びEscherichia coliによる疾患では100%の効果が得られた。しかし, Haemophilus influenzaeによる疾患では有効率は80%, 除菌率は40.0%と効果はやや劣り, 本菌に対しては投与量を増す必要があると考えられた。副作用は1例もなく, 本剤は小児のCommunity-acquired infectionsの治療に適した薬剤であると思われる。
  • 中澤 進, 佐藤 肇, 成田 章, 中澤 進一, 鈴木 博之, 松本 貴美子, 新納 憲司
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1514-1525
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新経口セフェム系抗生物質Cefprozil (CFPZ, BMY-28100) 細粒にらいて7.5mg/kg 3例, 15.0mg/kg 3例に単回投与した際の本剤の体液中移行濃度の測定及び小児科領域感染症42症例に対して, 1回量42~300mg, 1日量9.0~45.0mg/kg, 分3を3~14日間投与した時の臨床効果を検討した。42症例中著効28例, 有効10例, やや有効2例, 無効1例で本剤の有効率は92.7%であり, 1例はマイコプラズマ肺炎であった。細菌学的効果の検討では各種疾患から8菌種28株が検出され, 消失率は79.2%であった。
  • 秋田 博伸, 佐藤 吉壮, 岩田 敏, 砂川 慶介
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1526-1536
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefprozil (CFPZ, BMY-28100) は1983年にブリストル・マイヤーズスクイブ研究所株式会社で新たに開発された薬剤である。本剤はβ-ラクタマーゼに対して安定で, 血清補体と協力的に働くため強い殺菌作用を示している。そのため広範囲な抗菌スペクトルと強い抗菌力を有し, 特にグラム陽性球菌に対して優れた抗菌力を示している。今回, CFPZの小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    基礎的検討は1例について本剤75mg/kg食後投与時の血中濃度推移, 尿中濃度, 尿中回収率について検討した。Cmaxは2時間で4.51μg/ml, 半減期は0.98時間でAUCは20.7μg・hr/mlであった。尿中濃度は投与後6時間まで200μg/ml以上の高濃度が得られ, 尿中回収率は27.6%であった。
    臨床的検討の有効率は上気道炎14例/14例 (100%), 気管支炎, 肺炎6例/6例 (100%), 中耳炎2例/2例 (100%), 皮膚軟部組織感染症3例/3例 (100%), 尿路感染症14例/16例 (87.5%) で, 有効率の合計は39例/41例 (95.1%) で, 特に著効率が22例/41例 (53.7%) と良好な結果であった。
    細菌学的検討では, Staphylococcus aureus2株/3株 (66.7%), Streptococcus pyogenes8株/9株 (88.9%), Streptococcus pneumoniae3株/3株 (100%), Enterococcus faecalis2株/2株 (100%) であった。グラム陰性桿菌ではHaemophilus influenzae2株/3株 (66.7%), Escherichia coki8株/9株 (88.9%), Klebsiella sp. 3株/3株 (100%), 消失率の合計は33株/39株 (84.6%) であった。
    副作用, 検査値異常は43例について検討し, 好酸球増多とGOT・GPT上昇が各1例に認められた。
    以上から, 本剤は1回投与量75mg/kgを1日3~4回投与すれば, 小児科領域における感染に対して有効で, 服薬しやすく, 安全な薬剤であると考えられる。
  • 岩井 直一, 宮津 光伸, 中村 はるひ, 笠井 啓子
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1537-1557
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCefprozil (CFPZ, BMY-28100) の小児期感染症における有効性並びに安全性について検討した。
    4ヵ月から11歳にわたる小児期感染症116例に対し, 本剤4.6~14.1mg/kgを1日3回, 3~10日間投与し, その際の臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
    臨床効果の判定対象となった112例に対する臨床効果は, 急性咽頭炎7例については著効1例, 有効6例, 急性化膿性扁桃腺炎50例は著効24例, 有効26例, 急性気管支炎12例は著効3例, 有効8例, やや有効1例, 急性肺炎30例は著効21例, 有効7例, やや有効1例, 無効1例, 急性化膿性耳下腺炎1例は著効, 急性尿路感染症9例は著効2例, 有効7例, 膿痂疹1例は有効, 肛門周囲膿瘍1例はやや有効, 急性腸炎1例は有効と判定され, 著効と有効を含めた有効率は96.4%と極めて優れていた。
    又, 原因菌と考えられた細菌に対する細菌学的効果については, Staphylococcus aureus4株 (すべてβ-Lactamase産生株), Staphylococcus epidermidis1株 (β-Lactalnase産生株), Streptococcus pneumoniae2株, Stretococcus agalactiae2株, β-Streptococcus4株, Klebsiella pneumoniae1株 (β-Lactamase産生株), Salmonella C21株はすべて消失, Streptococcus pyogenes22株は消失20株, 減少1株, 不明1株, Escherichia coli5株 (β-Lactamase産生株3株) は消失4株, 減少1株, Haemophilus influenzae29株 (β-Lactamase産生株14株) は消失14株, 減少11株, 存続3株, 不明1株, Haemophilus parainfluenzae2株 (β-Lactamase産生株1株) は消失1株, 存続1株であり, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対する消失率はそれぞれ97.1%, 56.8%で, 特にグラム陽性菌に対する効果が優れていた。
    副作用が認められた症例はなく, 又, 本剤に起因すると考えられた臨床検査値異常については, 好酸球増多が3例, 血小板増多が1例に認められただけであつた。なお, 服用拒否, 困難を訴えた症例は全く経験しなかった。
    以上の成績から, 本剤は小児期においても有効性並びに安全性の高い薬剤であると考えられた。
  • 早川 文雄, 久野 邦義, 小川 昭正, 中尾 吉邦, 安藤 嘉浩, 安藤 秀男
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1558-1570
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいセフェム系抗生物質であるCefprozil (CFPZ, BMY-28100) につき, 基礎的, 臨床的検討を行い以ドの結果を得た。
    1. CFPZ 4mg/kg (1例), 75mg/kg (2例) 及び15mg/kg (1例) を食後に経口投与時の血清中濃度尿中濃度の推移をみた。血清中濃度のピーク値は3例で1時間後, 1例で2時間後にみられ, 2.7-8.6μg/mlの範囲にあり, 血清中濃度の半減期は0.69~0.95時間であった。投与後6時間までの尿中排泄率は59.4~71.3%であつた。
    2. 分離菌36株(Staphylococcus aureus4株, Streptococcus pneumoniae5株, Streptococcus pyogenes5株, Escherichia coli5株, Haemophilus influenzae12株, Hzemophilus parainfluenzae4株及びBranhamella catarrhalis 1株) のMICをCefaclor (CCL), Ampicillin (ABPC) と比較した。CFPZの抗菌力はグラム陽性球菌に対してはCCLより優れ, E. coliに対してはABPCより優れ, H. influenzaeに対してはCCLと同等ABPCに劣つていた。
    3. 37例の小児細菌感染症 (咽頭炎及び扁桃炎17例, 気管支炎7例, 肺炎3例, 皮膚・軟部組織感染症2例, 尿路感染症8例) に, CFPZ 10~47mg/kg/日を1日3回に分けて投与し, 100%の有効率と56%の細菌学的効果を得た。
    4. 副作用, 臨床検査値の異常変動としては1例に血小板増加, 2例にGOT, GPTの上昇を認めただけであつた。
  • 荒井 祥二朗, 曽野 玲子, 伊藤 正寛, 桜井 實, 庵原 俊昭, 神谷 齊, 清水 信, 西 英明, 井上 正和, 小島 當三
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1571-1581
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セフェム系抗生物質Cefprozil (CFPZ, BMY-28100) を各種小児感染症に投与し, 基礎的, 臨床的検討を行った。
    臨床分離株6菌種11株につき感受性測定を行ったところ, Staphylococcus aureus, α-Hemolytic Streptococcusなどのグラム陽性菌に対してはCefaclor (CCL) に比べると同等かそれより良好なMICを示した。又, Escherichia coli, Haemophilus influenszaeなどのグラム陰性菌に対してもCCLと同等の抗菌活性を示した。
    1回量15mg/kgを経口投与した場合について, 血中濃度及び尿中回収率をみた。1~2時間に最高血中濃度を示し (2時間値5.32±1.85μg/ml), 以後漸減していつた。6時間目までの尿中回収率は33.8±17.6%であった。
    一般感染症21例, 尿路感染症6例, 合計27例の細菌感染症に対する臨床効果はマイコプラズマ感染症の2例を除いた25例に対して, 有効率100%の成績が得られた。一方, 細菌学的効果に関しては, グラム陽性菌は除菌率が100%, グラム陰性菌についても除菌率が100%であった。
    副作用に関しては, 1例に軟便がみられ, 臨床検査値異常として2例に好酸球増多, 1例にGOT, GPTの上昇が認められたが, いずれも重大なものではなかった。
    以上の成績から, 本剤は小児期において有効で且つ安全性の高い薬剤と考えられた。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 青木 繁幸, 高木 道生
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1582-1591
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    非エステル型の経口用Cephem系抗生物質Cefprozil (CFPZ, BMY-28100) の小児科領域における基礎的並びに臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
    基礎的検討として, CFPZの血中濃度及び尿中排泄率を2例について測定した。
    CFPZ 7.5mg/kgを空腹時に投与した場合, 各々の濃度ピークは投与後1時間と投与後2時間にあり, 各々6.45μg/mlと6.71μg/mlで, 半減期は各々0.92時間と1.28時間, 6時間までの尿中排泄率は各々59.4%と58.9%であった。
    臨床的検討は咽頭炎1例, 扁桃炎16例, 猩紅熱16例, 膿痂疹3例, 尿路感染症1例の計37例について行い, 臨床効果は著効24例, 有効13例で, 全例有効以上の成績であった。又, 細菌学的効果はStaphylococcus aureus3例, Streptococcus pneumoniae1例, S. pnaumoniaeHaemophilus influenzaeの混合感染2例, Streptococcus pyogenes19例, S. pyogenesH. influenzaeの混合感染2例, H. influenzae3例, Hzemophilus parainfluenzae1例の計31例につき検討し, S. aureusS. pyogenes, H. influenzaeの各1例が減少, H. influenzaeの3例が不変であったが, 他の症例においては本剤使用中に菌消失がみられた。
    臨床症状・所見及び臨床検査値の異常については, 軟便1例, 好酸球増多3例, GOT及びGPT上昇の1例を認めたが, いずれも重篤なものではなく, 臨床的にも問題はなかった。
  • Cefprozil細粒小児科研究会
    藤井 良知, 目黒 英典, 田島 剛, 白石 裕昭, 阿部 敏明, 中澤 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 松本 貴美子, 砂川 慶介, 秋田 ...
    1992 年 45 巻 11 号 p. 1592-1608
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児感染症に対するCefprozil (CFPZ, BMY-28100) 細粒の基礎的・臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 血中濃度, 尿中排泄
    CFPZの小児における体内動態を4.0mg/kg, 75mg/kg及び15.0mg/kgの3投与量で単回投与により検討した。いずれの投与量においても投与後1.00~1.30時間に最高血中濃度に達し, それぞれ3.06, 4.62μg/ml及び9.65μg/mlを示した。又, AUCもそれぞれ7.44, 12.50μg・hr/ml及び27.01μg・hr/mlを示し, 用量依存性が認められた。T 1/2 (β) は0.94~1.03時間と投与量による違いはほとんど認あられなかつた。投与後6時間までの尿中排泄率は51.5~57.1%であった。
    食事の影響について75mg/kgで検討した。空腹時投与では, 投与後1.17時間に最高血中濃度に達し, 4.88μg/mlであった。食後投与では, 投与後1.54時間に最高血中濃度4.30μg/mlを示し, Tmaxの遅れと, Cmaxの若干の低下が認められた。しかし, T 1/2は空腹時投与で0.93時間, 食後投与で0.91時間と差はなく, AUCについても各々12.82μg・hr/ml及び12.96μg・hr/mlと差が認められなかった。投与後6時間までの尿中排泄率は各々63.8%及び50.7%であつた。
    2. 臨床成績
    総症例804例のうち, 除外・脱落29例を除く775例について臨床効果の検討を行つた。
    起炎菌が検出された527例では著効315例, 有効197例, やや有効12例, 無効3例で有効率は97.2%であった。起炎菌が検出できなかった248例での有効率は96.0%であった。
    起炎菌別臨床効果は単独菌感染475例, 複数菌感染52例について有効率はそれぞれ97.3%, 96.2%と高かった。Haemophilus influenzaeはほとんどすべて急性呼吸器感染症からの分離菌であるが, 単独菌感染88例において, 95.5%の有効率が得られ, 複数菌感染においてもStaphylococcus zureus, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniaeなどとの組み合せで多くみられているが, 高い有効率であった。
    起炎菌別細菌学的効果は, 複数感染菌は分離し別々に計上すると起炎菌と判定された582株中460株が消失し, 菌消失率は83.3%であった。
    S. aureusは106株が起炎菌と判定され, 菌消失率96.1%, S. pyogenes5172株で98.2%, S. pneumoniae48株で86.4%, H. influenzae132株で50.4%, Escherichia62株で90.3%の菌消失率であった。
    3日以上使用したペニシリン系III群, セフェム系III群, マクロライドなどの経口抗菌剤が無効の64例については本剤の投与に変更し著効31例, 有効26例で反応し, 有効率は89.1%であつた。細菌学的効果は34株中27株が消失し, 菌消失率は79.4%であった。
    3. 副作用・臨床検査値異常変動
    副作用の検討は投与日数不足等の6例を除く798例について行つた。消化器症状は, 軟便3例, 下痢3例であり, その他では顔面蒼白・悪心が1例に認められ, 副作用の発現率は0.9%であった。
    臨床検査値の異常変動は, 好酸球増多が530例中25例に, 顆粒球減少が530例中1例に, 血小板増加が448例中6例に, S-GOT, S-GPTの上昇が447例中各々7例に認められ, 発現率は約7%であったが, いずれも一過性で軽度なものであり, 本剤投与中止又は, 終了により消失もしくは正常に復した。
    4. 服用性
    服用性の検討が可能であつた803例のうちわずか4例が苦味等を訴えたが, 服用は可能であり, 本剤は従来の小児用経口抗菌剤の中では服用性に甚だ優れている印象が得られた。
    5. 標準投与量
    1日の標準投与量は以上の成績から1回7.5mg (力価)/kgを食前食後いずれも3回投与が適当であり, 必要により倍量にまで増量できるが, 成人量を超えないことを原則とした。
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