The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefprozil細粒の腸内細菌叢に及ぼす影響
岩田 敏池田 昌弘山田 健一朗磯畑 栄一金 慶彰楠本 裕佐藤 吉壮秋田 博伸南里 清一郎老川 忠雄横田 隆夫砂川 慶介市橋 保雄
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1992 年 45 巻 11 号 p. 1474-1488

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抄録

新しい経口用非エステル型セフェム系抗生剤であるCefprozil (CFPZ, BMY-28100) について, 小児臨床例の腸内細菌叢に及ぼす影響を検討した。対象は感染症の小児4例 (男児2例, 女児2例, 年齢9カ月~6歳3ヵ月, 体重4.3~19.0kg) で, これらの小児に対してCFPZ細粒1回10.0~11.6mg/kgを1日3回, 4~14日間経口投与し, 原則として投与前, 投与開始後3~7日目, 投与中止後3~7日目の糞便1g中に含まれる各種細菌の同定及び菌数計算を行った。同時に糞便中のCFPZ濃度, β-Lactamase活性も測定した。CFPZ投与中の糞便内細菌叢の変動は症例により若干のばらつきが認められたが, いずれの症例においても主要な好気性菌及び嫌気性菌にあまり大きな変動は認あられず, ブドウ糖非醗酵性グラム陰性桿菌や真菌が優勢菌種となる症例も認められなかった。又, 糞便中のβ-Lactamase活性は全例で陽性を示し, 糞便中CFPZ濃度はいずれの症例においても投与前, 中, 後を通じて検出限界以下であつた。
以上から, CFPZは小児の腸内細菌叢に及ぼす影響の少ない薬剤であると考えられる。

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