The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefprozilの臨床的検討
秋田 博伸佐藤 吉壮岩田 敏砂川 慶介
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1992 年 45 巻 11 号 p. 1526-1536

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抄録

Cefprozil (CFPZ, BMY-28100) は1983年にブリストル・マイヤーズスクイブ研究所株式会社で新たに開発された薬剤である。本剤はβ-ラクタマーゼに対して安定で, 血清補体と協力的に働くため強い殺菌作用を示している。そのため広範囲な抗菌スペクトルと強い抗菌力を有し, 特にグラム陽性球菌に対して優れた抗菌力を示している。今回, CFPZの小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行い以下の結果を得た。
基礎的検討は1例について本剤75mg/kg食後投与時の血中濃度推移, 尿中濃度, 尿中回収率について検討した。Cmaxは2時間で4.51μg/ml, 半減期は0.98時間でAUCは20.7μg・hr/mlであった。尿中濃度は投与後6時間まで200μg/ml以上の高濃度が得られ, 尿中回収率は27.6%であった。
臨床的検討の有効率は上気道炎14例/14例 (100%), 気管支炎, 肺炎6例/6例 (100%), 中耳炎2例/2例 (100%), 皮膚軟部組織感染症3例/3例 (100%), 尿路感染症14例/16例 (87.5%) で, 有効率の合計は39例/41例 (95.1%) で, 特に著効率が22例/41例 (53.7%) と良好な結果であった。
細菌学的検討では, Staphylococcus aureus2株/3株 (66.7%), Streptococcus pyogenes8株/9株 (88.9%), Streptococcus pneumoniae3株/3株 (100%), Enterococcus faecalis2株/2株 (100%) であった。グラム陰性桿菌ではHaemophilus influenzae2株/3株 (66.7%), Escherichia coki8株/9株 (88.9%), Klebsiella sp. 3株/3株 (100%), 消失率の合計は33株/39株 (84.6%) であった。
副作用, 検査値異常は43例について検討し, 好酸球増多とGOT・GPT上昇が各1例に認められた。
以上から, 本剤は1回投与量75mg/kgを1日3~4回投与すれば, 小児科領域における感染に対して有効で, 服薬しやすく, 安全な薬剤であると考えられる。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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