The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefprozilの臨床評価
岩井 直一宮津 光伸中村 はるひ笠井 啓子
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1992 年 45 巻 11 号 p. 1537-1557

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抄録

新しく開発されたCefprozil (CFPZ, BMY-28100) の小児期感染症における有効性並びに安全性について検討した。
4ヵ月から11歳にわたる小児期感染症116例に対し, 本剤4.6~14.1mg/kgを1日3回, 3~10日間投与し, その際の臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
臨床効果の判定対象となった112例に対する臨床効果は, 急性咽頭炎7例については著効1例, 有効6例, 急性化膿性扁桃腺炎50例は著効24例, 有効26例, 急性気管支炎12例は著効3例, 有効8例, やや有効1例, 急性肺炎30例は著効21例, 有効7例, やや有効1例, 無効1例, 急性化膿性耳下腺炎1例は著効, 急性尿路感染症9例は著効2例, 有効7例, 膿痂疹1例は有効, 肛門周囲膿瘍1例はやや有効, 急性腸炎1例は有効と判定され, 著効と有効を含めた有効率は96.4%と極めて優れていた。
又, 原因菌と考えられた細菌に対する細菌学的効果については, Staphylococcus aureus4株 (すべてβ-Lactamase産生株), Staphylococcus epidermidis1株 (β-Lactalnase産生株), Streptococcus pneumoniae2株, Stretococcus agalactiae2株, β-Streptococcus4株, Klebsiella pneumoniae1株 (β-Lactamase産生株), Salmonella C21株はすべて消失, Streptococcus pyogenes22株は消失20株, 減少1株, 不明1株, Escherichia coli5株 (β-Lactamase産生株3株) は消失4株, 減少1株, Haemophilus influenzae29株 (β-Lactamase産生株14株) は消失14株, 減少11株, 存続3株, 不明1株, Haemophilus parainfluenzae2株 (β-Lactamase産生株1株) は消失1株, 存続1株であり, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対する消失率はそれぞれ97.1%, 56.8%で, 特にグラム陽性菌に対する効果が優れていた。
副作用が認められた症例はなく, 又, 本剤に起因すると考えられた臨床検査値異常については, 好酸球増多が3例, 血小板増多が1例に認められただけであつた。なお, 服用拒否, 困難を訴えた症例は全く経験しなかった。
以上の成績から, 本剤は小児期においても有効性並びに安全性の高い薬剤であると考えられた。

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