1992 年 45 巻 11 号 p. 1582-1591
非エステル型の経口用Cephem系抗生物質Cefprozil (CFPZ, BMY-28100) の小児科領域における基礎的並びに臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
基礎的検討として, CFPZの血中濃度及び尿中排泄率を2例について測定した。
CFPZ 7.5mg/kgを空腹時に投与した場合, 各々の濃度ピークは投与後1時間と投与後2時間にあり, 各々6.45μg/mlと6.71μg/mlで, 半減期は各々0.92時間と1.28時間, 6時間までの尿中排泄率は各々59.4%と58.9%であった。
臨床的検討は咽頭炎1例, 扁桃炎16例, 猩紅熱16例, 膿痂疹3例, 尿路感染症1例の計37例について行い, 臨床効果は著効24例, 有効13例で, 全例有効以上の成績であった。又, 細菌学的効果はStaphylococcus aureus3例, Streptococcus pneumoniae1例, S. pnaumoniaeとHaemophilus influenzaeの混合感染2例, Streptococcus pyogenes19例, S. pyogenesとH. influenzaeの混合感染2例, H. influenzae3例, Hzemophilus parainfluenzae1例の計31例につき検討し, S. aureusとS. pyogenes, H. influenzaeの各1例が減少, H. influenzaeの3例が不変であったが, 他の症例においては本剤使用中に菌消失がみられた。
臨床症状・所見及び臨床検査値の異常については, 軟便1例, 好酸球増多3例, GOT及びGPT上昇の1例を認めたが, いずれも重篤なものではなく, 臨床的にも問題はなかった。