The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
Levofloxacin の喀痰内移行及び慢性下気道感染症に対する臨床効果
中森 祥隆坪井 永保成井 浩司中谷 龍王中田 紘一郎杉 裕子
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 45 巻 5 号 p. 539-547

詳細
抄録

喀痰排出量の多い慢性下気道感染症患者4例に対して, 新しいニューキノロン剤のLevofloxacin (LVFX, DR-3355) を100mg又は200mg単同経口投与し, 血清中及び喀痰内濃度を経時的に測定した。その結果, 本剤100mg及び200mg投与後の喀痰内濃度は4時間後に最高値1.27μg/ml及び4.36μg/mlに到達し, 8時間後までそれぞれ0.32μg/ml及び168μg/ mlの濃度が持続した。喀痰内濃度と血清中濃度のAUC比は0.9~1.0であり, 本剤の良好な喀痰内移行性が確認された。
一方, 感染を伴った気管支拡張症, びまん性汎細気管支炎の増悪など慢性下気道感染症患者13 名に本剤100~200mgを1日1~3回, 7~28日間 (平均14.7日間) 投与した結果, 有効性評価可能であった11症例のうち1例で著効, 5例で有効 (有効以上の有効率54.5%), 3例でやや有効の成績を得た。細菌学的には, 起炎菌と推定された菌のうちHaemophilus influenzaeの3株はすべて消失, Pseudomonas aeruginosaの3株中1株が消失, 1株が減少, 及び1株が不変であり, Streptococcus pneumoniaeの1株は不変であった。副作用は1例も認められず, 又, 臨床検査値異常変動として軽度の好酸球増多が1例に認められたが, 投与終了後速やかに正常域に復した。
以上の成績から, LVFXは良好な喀痰内移行性を有しており, 慢性下気道感染症の治療に有用な薬剤であることが示唆された。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top