The Japanese Journal of Antibiotics
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呼吸器感染症に対する Levofloxacin の基礎的並びに臨床的検討
田中 研一岩本 雅典前崎 繁文古賀 宏延河野 茂原 耕平菅原 和行賀来 満夫草野 史朗崎戸 修福島 喜代康石黒 美矢子須山 尚史富田 弘志木谷 崇和神田 哲郎
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1992 年 45 巻 5 号 p. 548-556

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抄録

新キノロン系抗菌剤Levofloxacinについて, 基礎的並びに臨床的検討を行い, 次の結果を得た。
1. 抗菌力
臨床分離株16菌種480株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 他3薬剤 (Ciprofloxacin (CPFX), Ofloxacin, Norfloxacin) と比較検討した。その結果, 本剤はMethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) を含むグラム陽性菌に対しては, 4薬剤中最も優れた抗菌活性を示し, グラム陰性桿菌に対してもCPFXとほぼ同等で, 他の2剤より良好な成績を示した。
2. 体液中濃度
慢性気道感染症患者2例において, 本剤200mgを経口投与後の血中及び喀痰中濃度を Bioassay法にて測定した結果, 本剤の喀痰中への良好な移行性が認められた。
3. 臨床的検討
呼吸器感染症患者15例に対し本剤を投与し, 臨床効果及び副作用について検討した。15例中, 著効3例, 有効8例, やや有効3例, 無効0例, 判定不能1例で, 有効率は78.6%と良好な成績が示された。副作用は下痢及び食思不振が1例, 食思不振が1例, 手指振顫が1例にみられ, 臨床検査値異常は総ビリルビン上昇が1例に認められた。しかし, いずれも軽度の異常で, 本剤の安全性が確認された。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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