The Japanese Journal of Antibiotics
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45 巻, 5 号
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  • 金沢 裕, 関根 等, 倉又 利夫, 齊藤 齊, 村田 敦, 荻野 亜由美
    1992 年 45 巻 5 号 p. 459-467
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefodizime (CDZM) について, 34種, 289株の菌を用いて寒天平板2倍希釈法によるMIC値と, 30μg含有ディスクによる阻止円直径を測定した。その結果として, 普通法 (1夜16時間培養判定)についてMIC値と, 阻止円直径との関係を示す1次回帰曲線を求めることができ, Single-disc法の成立することが確かめられた。その際, ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌, Staphylococcus 及びEnterococcus属の1次回帰式は普通法でDiameter (mm)=32.3-13.5 logMIC(μg/ml), その他の細菌の1次回帰式はDiameter (mm)=24.1-8.4 logMIC(μg/ml)であった。
    次いで感受性ディスク法として阻止円の直径からMIC値を推定した場合のMlC値の変動幅と, 寒天平板2倍希釈法によるMIC値の変動幅を求めて, 本感受性ディスク法に対する実験誤差推定の参考とした。
  • III.Gentamicinとの併用効果
    出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 中根 豊, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加
    1992 年 45 巻 5 号 p. 468-477
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床分離グラム陰性桿菌に対するCefodizime (CDZM) とGentamicin (GM) との抗菌併用効果の検討を行い, 以下の結論を得た。
    1.両薬剤の抗菌併用効果は, CDZM+Sisomicin (SISO) の場合と同様にGMの抗菌活性に依存していること, 更にそこにおける濃度依存性はCDZMには弱くGMには強い結果だった。これにより, CDZM+SISOとほぼ同等の成績, すなわち両薬剤の抗菌併用効果はCDZM感性・耐性には無関係に, 臨床的に期待し得るGMの血中持続濃度としての1 MICもしくはsub MIC濃度存在下においては, 相乗又は相加効果が期待できることが示唆された。
    2.β-ラクタム系抗生物質とアミノ配糖体系抗生物質 (AGs) による抗菌併用効果は「AGsの抗菌活性依存的」であること, 更にそこにおける濃度依存性は, 前者には弱く後者には強いことが普遍的に生じる可能性が示唆された。
  • IV.Dibekacinとの併用効果
    出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 中根 豊, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加
    1992 年 45 巻 5 号 p. 478-488
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床分離グラム陰性桿菌に対するCefodizime (CDZM) とDibekacin (DKB) との抗菌併用効果の検討を行い, 以下の結論を得た。
    1.両薬剤の抗菌併用効果は, CDZM+Sisomicin及びCDZM+Gentamicin (GM) の場合と同様にDKEの抗菌活性に依存していること, 更にそこにおける濃度依存性はCDZMには弱くDKBには強い結果だった。これによりCDZM+GMとほぼ同等の成績, すなわち両薬剤の抗菌併用効果はCDZM感性・耐性には無関係に, 臨床的に期待し得るDKBの血中持続濃度としての1MICもしくはSub MIC濃度存在下においては, 相乗又は相加効果が期待できることが示唆された。
    2.β-ラクタム系抗生物質とアミノ配糖体系抗生物質 (AGs) による抗菌併用効果は「AGsの抗菌活性依存的」であること, 更にそこにおける濃度依存性は, 前者には弱く後者には強いことが普遍的に生じる可能性が第3報と同様に示唆された。
  • アミカシンディスク (10, 30μg) テストにおける各種MIC break pointsの再評価
    植手 玄洋, 松尾 清光, 植手 鉄男
    1992 年 45 巻 5 号 p. 489-501
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー

    1. アミカシン (AMK) に対する各種臨床分離菌のin vitroディスク感受性結果の信頼性について30μg (昭和, 自家製), 10μg (自家製) ディスク阻止円直径をMIC実測値と比較し考察した。特にNCCLS 3分類評価法, 昭和ディスク4分類評価法, British Society for Antimicrobial Chemotherapyのin vitro MIC break pointについて吟味, 検討を行った。
    2. 北野病院 (大阪市) において, 昭和63年に無作為に分離された269株について究明した。AMKのMICは, Staphylococcus aureusの分離株の53%が≤3.13μg/ml, 90%が≤12.5μg/ mlにあった。Staphylecoccus epidermidisは45%がMIC≤156μg/ml, 69%が≤125μg/mlにあった。Enterococcus faecalisすべてがMIC≥50μg/mlにあった。Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeすべての菌株がMIC≤3.13μg/mlに, Proteus mirabilis及びProteus vulgarisの MICも大半が≤3.13μg/mlにあつた。Pseudomonas aeruginosa, Serratia marcescensの大半も MIC≤12.5μg/mlにあった。Citrobacter spp., Enterobacter aerogenesのMICは≤1.56μg/ml であった。
    3. 30μg, 10μg AMKディスク阻止円直径とMIC実測値とはよい負の相関関係を示した (T=-0.807~-0.897)。昭和ディスクテスト4分類評価法は (+++) MIC≤3μg/ml,(++) MIC >3~15μg/ml,(+) MIC15~60μg/mlにBreak pointsが, NCCLSの3分類法は (S) MIC ≤16μg/ml,(R) MIC≥32μg/mlに, 又British Society for Antimicrobial Chemotherapyは MIC4μg/mlと16μg/mlにBreak pointsが設定されている。昭和, 自家製30μg AMKディスクにおいて, 4分類評価法ではFalse positiveが10.8~13%, False negativeが1.5~3.3%認められた。3分類法評価ではFalsne positiveが5.2~6.3%, False negativeが1.1~1.9%みられた。10 μg AMKディスクに3分類法を適応するとFalse positive 1.9%, False negative 5.6%であった。British Society for Antimicrobial ChemotheTapyの分類を30μg AMKディスクに適応すると False positive 10.8~13.4%, False negative 0.4~2.2%, 10μgディスクではFalse positive 2.2%, False negative 5.6%がみられた。
    4. MRSA (Methicillin-resistant S. aureus) のアミノ配糖体系抗生物質に対する昭和ディスク感受性テストではゲンタマイシン, トブラマイシン, シソマイシン, ミクロノマイシンなどは (卅) と (-) のBimodal分布を示し耐性株が多かつたが, AMK, ネチルマイシン, アルベカシン, イセパマイシンなどはほとんどすべての菌株が (+++)(++) のMonomodal分布を示した。
    5. 本邦において推奨されているAMKの成人に対する常用投与量は, 1回に100~200mg (筋注又は静注) である。この場合, 血中のAMKレベルは6~19μg/mlとなる。このような薬動力学的知見, 加えてAMKの血中濃度がin vitro MICの8倍以上の時, 臨床効果が最大となる事実を考慮し, in vitro MICのBreak pointを評価した場合, 昭和ディスク4分類評価法と British Society for Antimicrobial Chemotherapyの2点分類評価法は妥当であり, NCCLSの3分類評価法より優れていると思われる。
  • 岡田 淳, 加悦 みわ子, 相島 博
    1992 年 45 巻 5 号 p. 502-506
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系抗菌剤であるNorfloxacin (NFLX) の整形外科領域感染症に対する治療効果について, 家兎骨髄炎モデルを用いて検討した。今回の実験に用いた感染菌Staphylococcus aureusに対する本剤のMICは, 0.78μg/mlであった。菌接種6時間後からNFLXの100mg/kgを1日1回, あるいは50mg/kgを1日2回, それぞれ7日間連続して経口投与した。未治療の対照群に比較して, 薬剤を投与した各治療群では血清シアル酸値に正常化傾向がみられ, 骨髄炎病変は軽減し, 病変の出現頻度に減少が認められた。
    以上から, 本剤の細菌性骨髄炎に対する有用性が期待された。
  • 寺本 信嗣, 福地 義之助, 長瀬 隆英, 折茂 肇
    1992 年 45 巻 5 号 p. 507-511
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    平均年齢78.8歳の老年者慢性呼吸器感染症患者に対して, シプロフロキサシンを経口投与し, その体内動態, 有用性を検討した。最高血中濃度は, 健常成人とほぼ同等であったが, 喀痰中移行は良好で, 最高喀痰中濃度は従来の成人での報告に比べ高く, 主要感染症起因菌のMIC8Dを上回る濃度を観察した。
    今回使用した6例全例で臨床的に効果を認め, 副作用を認めなかったことから, 本剤は老年者慢性呼吸器感染症に対して有用性が高いと考えられた。
  • 阪神造血器疾患感染症研究グループ
    巽 典之, 任 太性, 古川 佳央, 三宮 祐一, 井上 健, 陰山 克, 大藪 博, 赤坂 清司, 那須 芳, 米沢 毅, 烏野 隆博, ...
    1992 年 45 巻 5 号 p. 512-522
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器疾患に合併した重症感染症138例を対象とし, セファロスポリン系抗生物質Cefclidin (CFCL, El040) による臨床試験を試み, 有効性と安全性の検討を行った。
    1.有効性の評価は126例で検討し,55.6%の有効率を認めた。
    2.感染症の内訳で最も多かった敗血症疑い症例の有効率は61.2%と高い有効率を示した。
    3.投与後好中球数100/mm3以下の群の有効率は33.3% (11例/33例), 501/mm3以上の群の有効率は65.3% (49例/75例) と両者の間に有意差が認められた (P<0.01)。投与前, 後共に100/mm3以下の著明な好中球低下を呈した症例では35.0% (7例/20例) の有効率であった。
    4.安全性の評価は138例で検討し, 副作用5例 (3.6%), 臨床検査値異常9例 (6.5%) に認められたが, いずれも重篤なものではなかった。
  • 葛山 由布子, 津田 昌一郎, 芹生 卓, 中井 浩之, 村上 剛, 高島 輝行, 高橋 由加利, 田中 新司, 中川 均, 西垣 光, 横 ...
    1992 年 45 巻 5 号 p. 523-529
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器疾患に合併した感染症50例に対するCeftazidime (CAZ) の有効性及び安全性を検討した。
    1.評価対象症例は44例で, その有効率は68.2%であった。
    2.最も症例数の多い敗血症疑い症例での有効率は65.6% (21例/32例) であった。
    3.CAZ投与前後共に末梢血好中球数が500/mm3以下の群での有効率は70.0% (7例/10例) であった。
    4.副作用として好酸球増多, GOTの上昇, GPTの上昇をそれぞれ1例ずつに認めたがいずれも軽度であった。
    これらの結果から, CAZは造血器疾患に合併した感染症に対し有用で, 且つ安全性の高い薬剤の一つと考えられた。
  • 青木 信樹, 薄田 芳丸, 甲田 豊, 高沢 哲也, 若林 伸人, 林 静一, 新田 功, 本間 千鶴子, 渡辺 京子
    1992 年 45 巻 5 号 p. 530-538
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系抗菌剤 Levofloxacin (LVFX, DR-3355) について, 高齢者における基礎的・臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 体内動態
    種々の腎機能障害を有する高齢者にLVFX 100mgを朝食後30分に経口投与した際の血中・尿中濃度を測定した。腎機能障害の程度により軽度 (I), 中等度 (II), 高度 (III) の3群に分類した。血中濃度のピーク値は3群間に特に差がみられなかったが血中濃度の低下は腎機能障害が高度になうに伴い遅延し, 高度障害例で極めて緩徐となった。血中濃度半減期がそれを裏付けており, 腎機能軽度障害群で4.54時間, 中等度障害群で4.83時間, 高度障害群で9.86時間であった。尿中回収率も腎機能障害に伴い低下する傾向を示し, 高度障害群で顕著であった。
    2. 臨床的検討
    高齢者 (平均715歳) の呼吸器感染症13例に使用し, 全例有効, 有効率100%の結果を得た。副作用は臨床的には特にみられず, 検査成績上1例で好酸球増多を認めたが, 軽度のものであった。
  • 中森 祥隆, 坪井 永保, 成井 浩司, 中谷 龍王, 中田 紘一郎, 杉 裕子
    1992 年 45 巻 5 号 p. 539-547
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    喀痰排出量の多い慢性下気道感染症患者4例に対して, 新しいニューキノロン剤のLevofloxacin (LVFX, DR-3355) を100mg又は200mg単同経口投与し, 血清中及び喀痰内濃度を経時的に測定した。その結果, 本剤100mg及び200mg投与後の喀痰内濃度は4時間後に最高値1.27μg/ml及び4.36μg/mlに到達し, 8時間後までそれぞれ0.32μg/ml及び168μg/ mlの濃度が持続した。喀痰内濃度と血清中濃度のAUC比は0.9~1.0であり, 本剤の良好な喀痰内移行性が確認された。
    一方, 感染を伴った気管支拡張症, びまん性汎細気管支炎の増悪など慢性下気道感染症患者13 名に本剤100~200mgを1日1~3回, 7~28日間 (平均14.7日間) 投与した結果, 有効性評価可能であった11症例のうち1例で著効, 5例で有効 (有効以上の有効率54.5%), 3例でやや有効の成績を得た。細菌学的には, 起炎菌と推定された菌のうちHaemophilus influenzaeの3株はすべて消失, Pseudomonas aeruginosaの3株中1株が消失, 1株が減少, 及び1株が不変であり, Streptococcus pneumoniaeの1株は不変であった。副作用は1例も認められず, 又, 臨床検査値異常変動として軽度の好酸球増多が1例に認められたが, 投与終了後速やかに正常域に復した。
    以上の成績から, LVFXは良好な喀痰内移行性を有しており, 慢性下気道感染症の治療に有用な薬剤であることが示唆された。
  • 田中 研一, 岩本 雅典, 前崎 繁文, 古賀 宏延, 河野 茂, 原 耕平, 菅原 和行, 賀来 満夫, 草野 史朗, 崎戸 修, 福島 ...
    1992 年 45 巻 5 号 p. 548-556
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新キノロン系抗菌剤Levofloxacinについて, 基礎的並びに臨床的検討を行い, 次の結果を得た。
    1. 抗菌力
    臨床分離株16菌種480株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 他3薬剤 (Ciprofloxacin (CPFX), Ofloxacin, Norfloxacin) と比較検討した。その結果, 本剤はMethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) を含むグラム陽性菌に対しては, 4薬剤中最も優れた抗菌活性を示し, グラム陰性桿菌に対してもCPFXとほぼ同等で, 他の2剤より良好な成績を示した。
    2. 体液中濃度
    慢性気道感染症患者2例において, 本剤200mgを経口投与後の血中及び喀痰中濃度を Bioassay法にて測定した結果, 本剤の喀痰中への良好な移行性が認められた。
    3. 臨床的検討
    呼吸器感染症患者15例に対し本剤を投与し, 臨床効果及び副作用について検討した。15例中, 著効3例, 有効8例, やや有効3例, 無効0例, 判定不能1例で, 有効率は78.6%と良好な成績が示された。副作用は下痢及び食思不振が1例, 食思不振が1例, 手指振顫が1例にみられ, 臨床検査値異常は総ビリルビン上昇が1例に認められた。しかし, いずれも軽度の異常で, 本剤の安全性が確認された。
  • Levofloxacinの胆汁中移行,胆嚢組織内濃度及び臨床効果
    谷村 弘, 大西 博信, 岡村 光雄, 上西 幹洋, 一宮 源太, 小林 康人, 青木 洋三, 岡 統三, 山本 真二, 嶋田 浩介, 樫谷 ...
    1992 年 45 巻 5 号 p. 557-568
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系抗菌剤Levofioxacin (LVFX, DR-3355) の胆汁中移行及び胆嚢組織内並びに胆道感染症に対する臨床効果を検討した。
    1. LVFX 100mg経口投与後2~6時間の胆嚢組織内濃度は0.58~1.99μg/g, 胆嚢胆汁中濃度は0.49~5.63μg/mlであり, その際の血清中濃度0.55~1.63μg/mlに比べてほぼ同等かそれ以上の濃度移行を認あた。
    2. LVFX 100mgとOfioxacin (OFLX) 100~200mgを単独又は併用投与した場合, 血清中, 胆嚢組織内, 胆嚢胆汁中, 胆管胆汁中のLVFX及びその異性体であるDR-3354の未変化体濃度の比率は投与量比にほぼ一致した。
    3. LVFX 100mg投与時の胆管胆汁中のグルクロン酸抱合体の割合は0.9~36.0%の低率であった。
    4. 胆嚢炎6例, 胆管炎3例, 胆嚢胆管炎及び肝膿瘍各1例の胆道感染症11例にLVFX1回 100~200mgを1日3回, 3~14日間経口投与した結果, その臨床効果は, 著効又は有効8例, やや有効3例であり, 有効率は72.7%であった。
    5. 副作用及び臨床検査値異常の変動を各1例に認めたが, いずれも重篤なものはなかった。以上の成績から, LVFXはOFLXと同様に胆道系に良好な移行を示し, 臨床的にも胆道感染症に対して十分臨床効果が期待できろ薬剤と言える。
  • 水野 章, 鈴木 達也, 谷口 正哲, 由良 二郎, 品川 長夫, 石川 周, 真下 啓二, 鈴井 勝也, 石川 雅一, 石原 博
    1992 年 45 巻 5 号 p. 569-575
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤である Levofloxacin (LVFX) の胆汁中移行性につき6例の術後T-チューブ留置症例を対象にクロスオーバー法でOfloxacin (OFLX) と比較検討した。平均胆汁中濃度においてLVFXの最高胆汁中濃度はOFLXよりやや低いものの最高濃度到達時間, 濃度曲線下面積は同等であつた。LVFXはヒト胆汁中における安定性を検査した結果, 精製水中におけると同様に室温24時間まで95.4%以上の残存率を示し, 安定であることが確認された。従って, 本剤はニューキノロンとしてOFLXと同様に良好な胆汁中移行を示し, OFLXの約2倍の抗菌力を有することを考慮すると胆道感染に対して有用であると考えられた。
  • 神崎 寛子, 鳥越 利加子, 山田 琢, 阿部 能子, 下江 敬生, 秋山 尚範, 荒田 次郎, 梅村 茂夫, 片山 治子, 西原 修美, ...
    1992 年 45 巻 5 号 p. 576-584
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ofloxacin (OFLX) の光学活性S-(-)-体であるLevofioxacin (LVFX, DR-3355) の皮膚科領域における基礎的・臨床的検討を行った。
    1. 皮膚感染病巣から分離したStaphyloceccus aureus 122株に対するMICを106 cfu/mlで測定した。対照としてOFLX, Tosufloxacin (TFLX), Norfloxacin (NFLX) を用いた。そのピークはLVFXで0.20μg/ml, OFLXでは0.39μg/ml, TFLXでは≤0.05μg/ml, NFLXでは0.78 μg/mlであった。
    2. 雄ラットにLVFX 10mg/kg胃内投与 (空腹時) した時の30分, 1, 2, 4, 8時間後の血清中, 皮膚内濃度は各々1.79, 1.29, 0.60, 0.43, 0.18μg/ml, 1.63, 1.77, 1.04, 0.87, 0.64μg/g (湿重量)(n=5) であった。
    3. 皮膚感染症患者43例にLVFX1日200~300mgを食後2~3分服で使用し, 41例にっき臨床効果を判定した。治癒又は略治21例, 著明改善13例, 改善4例, 不変1例, 増悪1例, 著しく増悪1例であった。副作用は下痢2例, 軽度の呼吸困難1例, びまん性紅斑1例であった。臨床検査値異常は好酸球増多, A1-P上昇, 白血球減少,貧血がそれぞれ1例ずつ認められた。
  • 千村 哲朗, 森崎 伸之, 舟山 達, 小田 隆晴
    1992 年 45 巻 5 号 p. 585-591
    発行日: 1992/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域の各種感染症に対するLevofioxacin (LVFX) の有効性と安全性について臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 投与対象は子宮内感染 (n=7), 附属器炎 (n=1), 子宮内感染+附属器炎 (n=1), 頸管炎 (n=2) の計11例である。LVFXの投与方法は, 100mg×3/日を食後経口投与 (7~8日間), 総投与量は2, 100~2, 400mgであった。
    2. 臨床効果は著効2例/11例 (18.2%), 有効9例/11例 (81.8%) で有効率は100%であった。細菌学的効果では, 菌消失率は16株/17株 (94.1%) を示した。Chlamydia trachomatis (2 株) にも有効であった。
    3. 本剤投与による自他覚的副作用は認あられず, 臨床検査値の異常も認められなかった。以上の結果から, LVFXの産婦人科感染症に対する有用性が示唆された。
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