1992 年 45 巻 6 号 p. 687-696
造血器疾患に併発した重症感染症150例を対象にMeropenem (MEPM) を投与し, 臨床効果と安全性について検討した。
1. 有効性評価症例132例での臨床効果は著効33例, 有効45例, やや有効10例, 無効44例で, 有効率59.1%であった。
2. 先行抗菌剤治療を受けていない症例での有効率は62.9%であったのに対し, 受けていた症例での有効率は51.2%であった。
3. MEPM投与前後の末梢好中球数と臨床効果の検討において, 投与後の好中球数が増加する症例では有効率が高い傾向がみられた。投与後の好中球数が100/mm3以下の症例での有効率は48.1% (13例/27例) であった。
4. 安全性評価症例150例中, 副作用は発疹3例, 黄疸1例の合計4例 (2.7%) にみられたが, いずれも投与中止後消失した。臨床検査値異常例は8例 (5.3%) にみられたが, いずれも重篤なものではなかった。
以上から, MEPMは造血器疾患に合併する重症感染症に対し優れた有用性を有することが確認された。