The Japanese Journal of Antibiotics
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小児におけるMeropenemの臨床投与成績と薬物動態及び糞便内菌叢への影響
藤田 晃三室野 晃一西條 政幸吉岡 一丸山 静男坂田 宏印鎗 史衛
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1992 年 45 巻 6 号 p. 718-726

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抄録

小児感染症患者にMeropenemを投与し, その臨床効果と副作用, 薬物動態及び糞便内菌叢に与える影響を検討した。
臨床投与成績と副作用の検討は生後1ヵ月から9歳の45症例について行つた。薬剤は3例に1回量27.6~45.5mg/kgを1日3, 4回投与した以外は, 1回量20mg/kg前後を1日3回, 30分かけて点滴静注した。投与期間は2~24.5日間, 総投与量は0.9~48gであった。本剤の適応と考えられた肺炎15例, 猩紅熱2例, 咽頭炎5例, 頸部リンパ腺炎3例, 蜂窩織炎3例, 尿路感染症10例, その他4例の合計42例に対する投与成績は, 著効29, 有効12, やや有効1であった。3例は本剤の適応がなかったと判断されたが, これらの例を含めた副作用は検査成績で肝機能検査異常5例, 好酸球増多2例, 好中球減少1例であり, 臨床的に明らかな副作用は認めなかった。
薬物動態では, 血漿中濃度は6例, 尿中濃度は4例で検討した。1回20mg/kg投与した4例の30分点滴静注終了時の血漿中濃度は平均29.28±10.29μg/ml, 点滴静注終了後3時間のそれは0.49±0.26μg/mlであり, 半減期は0.66±0.12時間であつた。2例での投与開始後6時間までの尿中回収率は53%と40%であった。1回35mg/kg, 44mg/kg投与した2例では, 20mg/kg投与例より高い血漿中濃度が得られ, 半減期は0.5時間と0.62時間であった。又, 6時間後までの尿中回収率は共に約70%であった。1回量435mg/kg, 1日3, 4回投与したPartiallytreated meningitis例と, 1回量45.5mg/kg, 1日4回投与したウイルス性髄膜脳炎例の2例では髄液中濃度を測定した。治療開始後5日目投与後2.8時間, 投与開始後11日目投与後2時間に採取された髄液で, 共に0.37μg/mlであった。
本剤投与中の糞便内菌叢では, 生後1ヵ月の1例では腸内グラム陰性桿菌やビフィズス菌が検出限界以下であったが, ほかの生後2ヵ月から3歳の6例では腸内グラム陰性桿菌は減少したもののビフィズス菌数は比較的保たれていた。

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