The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるMeropenemの基礎的, 臨床的検討
秋田 博伸佐藤 吉壮岩田 敏新田 靖子横田 隆夫砂川 慶介
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1992 年 45 巻 6 号 p. 744-755

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抄録

新たに開発されたMeropenem (MEPM, SM-7338) の小児科領域における臨床的検討を行い以ドの結果を得た。
臨床分離株24株では, Staphylococcus aureusを含むグラム陽性球菌, グラム陰性桿菌であるEscherichia coli, Klebsiela pneumoniae, Entnbacter cloacaeに対する抗菌力は優れていた。中でもE.coli, Bnanhamella catarrhalisに対する抗菌力は優れていた。又, Haemophlus influenzaeはPiperacillin, Cefoperazoneより劣つていたがImipenem, Flomoxefより優れていた。細菌学的検討でもS.aureus1例を除いて検出された24例中23例が消失し, 消失率の合計は95.8%で優秀な結果であった。
臨床的検討では蜂窩織炎1例が無効であつたが, 扁桃腺炎1例, 肺炎17例/17例 (100%), 尿路感染症12例/12例 (100%), ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群1例も有効で合計31例/32例, 有効率は96.9%であった。
副作用は35例について検討し1例も認めなかった。臨床検査値異常はGOT値上昇4例/35例 (11.4%), GPT値上昇4例/35例 (11.4%), 好酸球増多4例/35例 (11.4%), 好中球減少2例/35例 (5.7%) とやや高率であつたが, 本剤中止後速やかに正常化した。
止血機構に及ぼす影響について検討したが, 本剤投与前後でPIVKA IIが1.昇する例を認めたが, APTT, TT, HPT, Fbgなどの凝固系検査への影響は認めなかった。
以Lから, 本剤は1回投与量, 10~20mg/kgを1日3同点滴静注すれば, 小児科領域における感染に対して有効であり, 安全な薬剤であると考えられた。

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