The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるMeropenemの基礎的・臨床的検討
豊永 義清矢守 和子畠山 和男石原 俊秀河村 研一瀬尾 究中村 弘典岡部 信彦豊田 茂片山 章加藤 陽子
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1992 年 45 巻 7 号 p. 850-865

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抄録

カルバペネム系抗生物質として, Imipenem/Cilastatin (IPM/CS) sodium, Panipenem/Betamipron (PAPM/BA) に次いで, 小児科領域において検討を行ったMeropenem (MEPM, SM-7338) について, 吸収・排泄及び臨床成績について以下の成績を得た。
1.吸収・排泄
MEPM10mg/kg, 20mg/kgの30分点滴静注時の血漿中濃度は, 点滴静注終了時にピークを示し, それぞれ28.4μg/ml, 43.0μg/mlであり, 半減期はそれぞれ0.70時間, 0.80時間をもって緩徐に減少し, 投与開始後5.5時間 (点滴静注終了後5時間) ではそれぞれ0.14μg/ml, 0.28μg/mlであった。尿中には10mg/kg投与では42.5~67.6%, 20mg/kg投与では29.9~62.6%が6時間後までに回収された。
髄液中濃度は1歳2ヵ月男児のHaemophilus influenzae性髄膜炎において検討し, 第10病日までに5回髄液及び血漿中濃度の測定を行つたところ, 髄液中濃度は0.66~4.01μg/mlであり, 髄液・血漿比は1.6~12.2%であつた。
2.臨床成績
本剤を化膿性髄膜炎1例, 骨髄炎1例, 肺炎20例, 気管支炎5例, 尿路感染症10例, 扁桃腺炎2例, リンパ節炎3例, 蜂窩織炎2例, 喉頭蓋炎, 硬膜下膿瘍, 爪周囲膿瘍, 腹膜炎, 外閉鎖菌膿瘍各1例の計49例に使用し, 硬膜下膿瘍を除き有効以上の成績を得た。
投与量は27~160mg/kg/日にわたっているが, 100mg/kg以上を使用した例は化膿性髄膜炎の1例だけであり, いわゆる呼吸器, 尿路感染症などの中等度感染症では1回投与量は10mg/kg, 20mg/kgで1日3回投与, すなわち30~60mg/kg/日が大部分を占めていた。
臨床的に特記すべき重篤な副作用は認められず, 1例に下痢, 1例に発疹を認めたが, 本剤を中止せずに軽快した。又, 本剤投与中に検討した検査値の異常は5例 (10.2%) に認あられ, その内訳は好酸球増多1例, GOT上昇, GOT/GPT上昇が各々2例であったが, いずれも投与中止した症例はなかった。

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