The Japanese Journal of Antibiotics
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複雑性尿路感染症に対するCefditoren pivoxilの長期投与試験
2週間投与の有用性と休薬後の再発について
荒川 創一高木 伸介守殿 貞夫片岡 頒雄富岡 収羽間 稔広瀬 崇興山崎 清仁熊本 悦明林 謙治清田 浩後藤 博一小野寺 昭一町田 豊平三谷 比呂志斎藤 賢一岸本 幸一斎藤 功藤原 政治碓井 亜白石 恒雄三田 耕司小深田 義勝
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1993 年 46 巻 1 号 p. 75-94

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抄録

カテーテル非留置の複雑性尿路感染症患者72例を対象として, Cefditoren pivoxil (ME1207, CDTR-PI)の2週間連続投与による有効性, 安全性並びに休薬後の再発の有無について検討した。CDTR-PIの投与は1日300mg分3とし, 14日間投与した。臨床効果は投与開始7日目及び14日目にUTI薬効評価基準(第3版)に準拠して判定し, 更に14日目の細菌尿が菌陰性となり, 休薬が可能と考えられた症例については休薬後1-2週目及び3-7週目に細菌尿を指標とする再発の有無を検討した。
有効性評価の対象55例の総合臨床効果は, 7日目68. 3%(28例/41例), 14日目76. 9% (40例/52例) の有効率であった。7日目, 14日目の両時点で評価可能であった38例では, 7日目68. 4% (26例/38例), 14日目81. 6% (31例/38例) の有効率で, 7日目から14日目に総合臨床効果が上昇していた。又, 細菌学的効果 (菌消失率) は, 7日目75. 5% (37例/49例), 14日目79. 6% (39例/49例) であった。投与後出現菌 (出現率) は7B目21. 1% (8例/38例), 14日目15. 8% (6例/38例) に認あられた。副作用は解析対象64例中1例(1. 6%)に軽度の胃部不快感が認められただけであった。臨床検査値においてはトランスアミナーゼの上昇を中心とする異常変動を10. 4% (5例/48例) に認めたが, いずれも軽度且つ一過性であった。
休薬後の再発検討は, 14日間投与終了時に細菌尿が陰性化し, 所定の検査が実施された31症例を対象に実施し, 休薬後1-2週目及び3-7週目とも「治癒」60. 0%, 「再発」40. 0%であった。出現菌でみた再発の内訳は再感染より再燃 (投与前菌の再分離) が多かった。以上の結果から, カテーテル非留置の複雑性尿路感染症においてCDTR-PIは, 臨床効果, 安全性の面で長期投与が可能で, 有用性の高い薬剤と考えられた。

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