The Japanese Journal of Antibiotics
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産婦人科領域におけるDQ-2556の基礎的,臨床的検討
保田 仁介山元 貴雄岡田 弘二
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1993 年 46 巻 1 号 p. 67-74

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抄録

新規合成されたセフェム系抗生物質DQ-2556の産婦人科領域における組織移行性及び臨床効果を検討し, 以下の成績を得た。
DQ-25561. 0gを単回静注した結果, 本剤の末梢静脈血清中濃度は投与後約1時間で約30μg/ml, 3時間30分で約14μg/mlであり, この時の女性性器(卵管, 卵巣, 子宮内膜, 筋層, 頸部, 腔部) 組織内濃度は, 血清中濃度の約50%ないし70%であった。同じ投与量を点滴静注した時の平均骨盤死腔液中濃度(n=6)は, 投与後1時間, 2時聞30分, 4時聞30分, 6時間30分でそれぞれ約20μg/ml, 約23μg/ml, 約14μg/ml, 約8μg/mlであった。
臨床効果は卵管炎1例, 骨盤腹膜炎1例, 骨盤死腔炎2例, 予宮溜膿腫1例, 計5例の産婦人科性器感染症患者に本剤1日2g(分2)を3-8日間点滴静注した結果, 有効が3例で, Pseudomonas aeruginosa, Enterobacter, cloacae感染卵管炎1例及びMeticillin-resistant Staphylococcus aureus感染骨盤腹膜炎1例は無効であった。除菌率は11株中6株消失の54, 5%であった。本剤投与による自他覚的副作用及び臨床検査値異常変動は認められなかった。以上, DQ-2556の女性性器組織及び骨盤死腔液中移行性は良好で, 臨床的にも有効性が確認された。

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