The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるS-1108の臨床的検討
西村 忠史杉田 久美子青木 繁幸高木 道生
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1993 年 46 巻 11 号 p. 1035-1039

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抄録

エステル型経口セフェム剤31108小児細菌感染症に対する臨床検討を行ない, 下記の成績を得た。
対象は4ヵ月から6歳9カ月の小児で疾患別には化膿性扁桃炎5例, 伝染性膿痂疹3例, 尿路感染症1例の計9例である。
S-1108投与量は, 10倍散小児用細粒で1回体重kg当り4mg (8例), 4.17mg (1例) 1日3回食後に経口投与し4~8日間治療した。
治療効果は, 著効7例, 有効2例で全例有効以上, 100%の有効率であった。細菌学的効果は, 化膿性扁桃炎のStreptococcus pyogenes, Staphylococcus aureusとHaemophilus parainfluenzae, S. pyogenesとH. parainfluenzaeの夫々1例は菌消失, 伝染性膿痂疹のS. aureus 3例, 腎盂腎炎のEscherichia coliすべて陰性化した。
なお, 分離された8株に対するS-1006の抗菌力は, S. aureusにはCefteram (CFTM) より1~2管優れ, S. pyogenesには同等でCefaclor (CCL) より優れ, E. coliにはCFTMより2管劣ったがCCLより優れていた。副作用に関しては臨床異常症状, 所見はみられなかったが, 異常検査値として好酸球増多1例, 血清クレアチニン (CK) 上昇を2例に認めた。

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