The Japanese Journal of Antibiotics
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β-LactamsとVancomycinの抗菌併用効果
II. グラム陰性桿菌を対象とした成績
出口 浩一横田 のぞみ古口 昌美鈴木 由美子深山 成美石原 理加小田 清次
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1993 年 46 巻 11 号 p. 946-952

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抄録

臨床分離Family Enterobacteriaceaeを対象にしたFlomoxef (FMOX)+Vancomycin (VCM), 同じくPseudomonas aeruginosaを対象にしたLatamoxef (LMOX)+VCM, Cefpirome (CPR)+VCM, 及びImipenem (IPM)+VCMとの抗菌併用効果に関する検討を行い, 以下の結果を得た。
1. Family Enterobactedaceaeを対象としたFMOX+VCMの抗菌併用効果はほぼ不関の成績, すなわち両者の併用による増強と拮抗は認められなかった。
2. P. aeruginosaに対するLMOX+VCM, 及びCPR+VCMの抗菌併用効果は, 大部分の株に併用によるMIC値がLMOXとCPR単独に比較して1管差 (2倍) 程度に上昇していたが, それらは拮抗とは考えられなかった。
3. P. aeruginosaに対するIPM+VCMの結果には, 拮抗が示唆された。そこにおいて示唆された拮抗は, VCMの濃度に逆相関していた。すなわち, 両者の併用によるVCM 128~4μg/ml存在下におけるMIC値は, IPM単独に比較して2~4管差 (4~16倍) に上昇するのに反して, VCM 2~1μg/ml存在下においては, 両者の併用によるMIC値がIPM単独のそれに接近していた。更にこうした傾向は, 部分的であるがFamily Enterobacteriaceaeを対象としたFMOX+VCMにも認められた。
4. MRSA単独, 及びMRSAに重なったグラム陰性桿菌感染症に対するβ-Lactams+VCMの併用療法においては, 両方のケースに共通してVCMの用法用量を, 低用量を基軸にして設定することが重要であることが示唆された。

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