The Japanese Journal of Antibiotics
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白癬菌感染モルモットにおけるTerbinafine経口投与による発症予防効果
内田 勝久山口 英世
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1994 年 47 巻 1 号 p. 50-56

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抄録

新規経口抗真菌剤Terbinafine (TBF) の皮膚組織内貯留性を明らかにするために, モルモットにTBF 6.25mg/kgおよび12.5mg/kgを1回経口投与した後, 一定時間を置いてTrichophyton mentagrophytesを背部皮膚に接種し, 発症予防効果を検討した。得られた成績は下記の通りである。
1. TEF 12.5mg/kgを24時間前に経口投与した場合, 感染14日後までの実験期間を通して全例発症しなかった。
2. TBF 6.25mg/kgおよび12.5mg/kg投与による発症予防効果はともに, 24時間前投与の場合が最も強く, 次に8時間前投与, 48時間前投与の順であつた。推計学的解析の結果, 各TBF投与群と基剤対照群との間で有意差がみとめられたのは, 12.5mg/kgの24時間前投与群 (P<0.01), 6.25mg/kgの24時間前投群と12.5mg/kgの8時間前投与群 (P<0.05) であつた。
3. 発症例における発症までの平均日数は, 基剤対照群が52日であつたのに対して, TBF投与群では7. 4~13.0日と著しい遅延が見られた。
4. 発症の初期徴候である小丘疹の局所当りの平均数は, 基剤対照群の8.8に対してTBF投与群では, 1.0~4.4と著しく少なかった。
5. 感染14日後に行つた感染局所皮膚の培養試験による菌の陰性化率が基剤対照群にくらべ有意に低かったのは, TBF 6.25mg/kgまたは12.5mg/kg24時間前投与群 (P<0.001) およびTBF 12.5mg/kg8時間前投与群 (P<0.05) であつた。
6. 以上の実験成績から, 局所の肉眼的所見および菌陰性化率のいずれを指標とした場合も, 経口投与によるTBFの良好な感染予防効果が示され, 本剤の良好な皮膚移行性と貯留性が示唆された。

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