The Japanese Journal of Antibiotics
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造血器腫瘍の化学療法中の顆粒球減少時に併発する感染症に対するSulbactam/Cefoperazoneと他剤との併用効果
河合 泰一上田 孝典岩崎 博通中村 徹
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1994 年 47 巻 9 号 p. 1196-1201

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抄録

造血器腫瘍患者28名の化学療法に伴う顆粒球減少期に併発した感染症45エピソードに対してSulbactam/Cefoperazoneを投与しその臨床的有用性と安全性の検討を行った。
本剤の有効率は他剤との併用で62%であり, 感染症別にみた有効率は敗血症67%, 敗血症疑い94%であったが肺炎では38%であった。
本剤の投与期間中の顆粒球数が300/μl未満であった群での有効率は53%で, 投与期間中に300/μl以上に回復した群では73%であった。また先行抗生剤の有無にかかわらず同一の有効性が得られた。
投与前の培養から高頻度に分離されたAcinetobacter calcoaceticus, Pseudomonas aeruginosa, cloacae, staphylococcus aureusなどはいずれも本剤の抗菌スペクトルに含まれていた。
投与による副作用は4エピソード(8.8%)に認められたが, いずれも軽微で投与の継続には支障を認めなかった。
以上より本剤は, 顆粒球減少期のEmpiric therapyに用いるべき有用な薬剤と考えられた。

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