1995 年 48 巻 11 号 p. 1671-1756
1992年6月から翌年5月までの間に全国11施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株 (Enterococcus faecalis, Staphylococcusaureus, citrobacterspp., Enterobacter spp., Escherichiacoli, Klebsiellaspp., Pmteusmirabilis, Pseudomonasaeruginosa, Serratiaspp.) を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定し, 1989年度-1991年度までの感受性と比較した。比較は菌種を単純性尿路感染症, カテーテル非留置複雑性尿路感染症, カテーテル留置複雑性尿路感染症の3群に分類し行った。E.faecalisでは, 単純性尿路感染症において, キノロン系薬剤に対する感受性が低下した。Saureus, Citrobacterspp.,Entembacterspp., P.mirabilis, Serratiaspp.については1989年-1992年の各年度とも分離菌株数が少ないため比較は難しいが, 感受性に大きな違いはみられなかった。E.coliではLatamoxef, Cefozopranに対しては低感受性株がほとんど認められず, 大部分が感受性株であつた。また単純性尿路感染症, カテーテル非留置複雑性尿路感染症において感受性が低下傾向にあったMinocyclineに対しては回復傾向が認められた。Klebsiella spp.ではMinocyclineに対してみられていた各感染症群の感受性の違いがみられなくなった。またカテーテル非留置複雑性尿路感染症において, キノロン系薬剤に対する感受性の低下が認められた。Paemginosaでは複雑性尿路感染症 (カテーテル非留置, カテーテル留置) においてキノロン系薬剤に対する感受性に回復傾向が認められた。