1995 年 48 巻 3 号 p. 402-408
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) に対してイミペネムとセファロスポリンの併用はこれら薬剤のin vitro抗菌力をお互いに相乗的に増強することが報じられている。しかし, イミペネムと何れのセファロスポリンとの併用が最も強力にMRSAへの抗菌力を増強するかは不明である。ゆえに, 本研究において, イミペネムとセファゾリン, セファロチン, セフォチアム, セファマンドール, またはセフォペラゾンの併用のメチシリン感受性黄色ブドウ球菌 (MSSA) およびMRSAへの抗菌力増強を比較した。
MSSA (9株) およびMRSA (30株) へのin vitro抗菌力 (MIC) をMueller-Hinton寒天培地およびBroth培地希釈法を用いて測定した。併用効果はCheckerboard法により評価した。
イミペネムと上記セファロスポリンの併用におけるMSSAに対する抗菌力の相乗的増強はセファロスポリンにより差があり, 増強作用の認められる場合とそうでない場合があった。しかし, 拮抗作用は認められなかった。MRSAに対しては, これらのセファロスポリンはセフォペラゾンを除いて大半の菌株 (97%~100%) へのイミペネムの抗菌力を相乗的に増強した。
吟味したセファロスポリンの中, セファマンドールはイミペネムのMRSAへの抗菌力を最も強力に増強した。次いでセフォチアム, セファロチン, セファゾリンの順に増強効果を示した。イミペネムとセファマンドールまたはセフォチアム併用によるMRSAに対する相乗的抗菌力増強は培地中のNaClの濃度によって有為な影響を受けなかった。