1995 年 48 巻 5 号 p. 621-625
T-3761の高速液体クロマトグラフィーによる血清および尿中濃度測定法について検討した。血清はカラムスイッチング法, 尿は直接注入法で行い, 紫外部吸収検出で測定可能であった。血清では0.01-30μg/ml, 尿では0.5-900μg/mlの範囲で良好な直線性が得られ, 変動係数は7%以下であった。日内および日間の変動係数は4%以下であった。
(-)-(S)-10-(1-Aminocyclopropyl)-9-fluoro-3-methyl-7-oxo-2, 3-dihydro-7H-pyrido [1, 2, 3-de] [1, 4] benzoxazine-6-carboxylic acid (T-3761, Fig.1) は富山化学工業 (株) で合成されたニューキノロン系合成抗菌剤であり, 幅広い抗菌スペクトルと強い抗菌活性を示す1)。動物では経口投与により高い血中濃度および尿中濃度を示すが, 血中半減期は短く2), また, 痙攣誘発作用および光毒性等の副作用は弱い3, 4)ことが報告されている。
今回, T-3761の高速液体クロマトグラフィー (HPLC) による測定法について検討したので報告する。