T-3761のマウス, ラット, ウサギ, イヌおよびサルにおける代謝について検討した。
未変化のT-3761以外に, 4種の代謝物すなわちグルクロン酸抱合体, グルコース付加体であるT-3761M1およびT-3761の10位の1-アミノシクロプロピル基が代謝を受けたT-3761M2およびT-3761M3が認められた。
マウスではグルクロン酸抱合体が尿中に多く排泄されたが, 他の動物では大部分が未変化のT-3761として排泄された。
(-)-(S)-10-(1-Aminocyclopropyl)-9-fluoro-3-methyl-7-oxo-2, 3-dihydro-7H-pyrido [1, 2, 3-de] [1, 4] benzoxazine-6-carboxylic acid (T-3761) は富山化学工業 (株) で合成されたニューキノロン系合成抗菌剤であり, 幅広い抗菌スペクトルと強い抗菌活性を示す1)。動物では経口投与により高い血中濃度および尿中濃度を示すが, 血中半減期は短く2), また痙攣誘発作用および光毒性等の副作用は弱い3, 4) ことが報告されている。今回, T-3761を各種動物に投与し, 代謝について検討したので報告する。