The Japanese Journal of Antibiotics
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T-3761のメラニン親和性と眼組織内移行性
早川 大善林 清範石倉 礼美中福 恭子高野 容子中島 良文大石 正夫
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1995 年 48 巻 5 号 p. 665-670

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抄録

T-3761と合成メラニンとの結合率を他のニューキノロン系合成抗菌剤と比較した結果, Tosufioxacin, Sparfloxacin, Ciprofloxacin, Norfioxacinでは約37~48%, Ofloxacinでは28%であり, T-3761では22%と最も低かった。有色ウサギにT-3761およびOfloxacinを経口投与し, 眼内動態を調べた結果, T-3761, Ofloxacinともにメラニン含有組織ではメラニン非含有組織よりも薬物濃度は高く, 持続的に推移した。T-3761のメラニン含有組織内濃度は, Ofloxacinより低かった。またin vitroでのT-3761およびOfloxacinのメラニン含有組織への取り込み量を比較した結果, T-3761ではOfloxacinより低かった。
薬剤の中にはメラニンと強い親和性を示すものがあるが1, 2), 最近, ニューキノロン系合成抗菌剤が眼のメラニン含有組織である虹彩・毛様体, 脈絡膜・網膜に多量に移行し, 長時間にわたって蓄積, 滞留する事が報告されている3, 4)。そのため使用に際してはメラニン含有組織への蓄積性を十分考慮する必要があり, ニューキノロン系合成抗菌剤のメラニン親和性およびメラニン含有組織における動態を明らかにすることは重要と思われる。
今回, T-3761と合成メラニンとの結合および有色ウサギを用い, T-3761およびOfloxacin経口投与時の眼内動態を検討し, 若干の知見を得たので報告する。

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