The Japanese Journal of Antibiotics
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T-3761のマウス, ラット, イヌにおける単回投与毒性試験
中川 重仁岩井 信治小前 憲久長沢 峰子河村 泰仁児玉 卓也
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1995 年 48 巻 6 号 p. 754-768

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抄録

T-3761の単回投与毒性試験をマウス, ラット, イヌを用いて行い, 次の結果を得た。
1. T-3761の経口投与での概略の致死量は, マウス, ラットで5,000mg/kg以上, イヌで2,000mg/kg以上であった。皮下投与での概略の致死量は, マウス, ラットとも5,000mg/kg以上であった。静脈内投与でのLD50は, マウスでは雄783mg/kg, 雌832mg/kg, ラットでは雄341mg/kg, 雌403mg/kgであった。イヌでは200mg/kg群で死亡例はみられず, 400mg/kg群で2例中1例が死亡したことから概略の致死量は400mg/kgであった。
2. マウス, ラットでの経口投与では, 症状観察および剖検で明らかな異常はみられず, 死亡例もなかった。皮下への大量投与では投与部位皮下にT-3761を容れた肉芽嚢がみられたが, 他に異常所見はなく, 死亡例もなかった。イヌでの経口投与では, 血液学的検査で白血球数の一過性軽度増加が, 血液化学的検査ではGOT, クレアチンホスフォキナーゼ, 尿素窒素の一過性軽度増加がみられた。しかし, 症状および剖検には異常はみられず, 死亡例もなかった。
3. マウス, ラット静脈内投与では, 投与直後に自発運動減少および呼吸不整がみられた。死亡例では他に強直性痙攣または間代性痙攣がみられた。イヌでは静脈内投与後, 嘔吐, 可視粘膜の充血, 顔面浮腫, 自発運動減少, 流涎, 体温低下がみられ, 高用量群ではさらに注射中の悲鳴, 呼吸促迫がみられた。血液学的検査では赤血球数, 白血球数, ヘマトクリット値, ヘモグロビン濃度の一過性増加が, 血液化学的検査ではGOT, クレアチンホスフォキナーゼ, 尿素窒素, クレアチニンの一過性増加がみられた。また, 400mg/kg群1例は上記症状の他に数回の強直性痙攣を起こして死亡した。

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