The Japanese Journal of Antibiotics
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Aztreonam妊婦投与における臍帯組織内移行に関する検討
板倉 敦夫倉内 修水谷 栄彦友田 豊松澤 克治
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1995 年 48 巻 6 号 p. 749-753

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抄録

モノバクタム系抗生物質であるAztreonam (以下AZT) を子宮内感染妊婦に6時間毎に点滴静注投与を行い, 分娩時の母体血, 臍帯血, 膀帯組織内濃度を調べ, AZTの移行及び蓄積について検討した。さらに臍帯組織培養と組織学的検査を施行し, 臍帯炎に対する有用性を検討した。
母体血中濃度および臍帯血中濃度は数次投与によっても蓄積されず, 最終投与からの経過時間と相関がみられた。臍帯組織内濃度は, 投与開始から12時間程度までは経過時間とともに増加する傾向がみられたが, それ以降増加する傾向はなかった。臍帯培養では, 初回投与から12時間以降の例では細菌は検出されなかった。臍帯の組織学的検査では1例を除き, 初回投与より12時間以上経過した例に臍帯炎は認められなかった。
本剤の妊娠時の子宮内感染における投与では胎児, 臍帯への移行は良好であり, 異常蓄積は認められず, 新生児感染症や副作用もみられなかったことから, 臍帯炎に対する臨床応用は有用と考えた。

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