The Japanese Journal of Antibiotics
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48 巻, 6 号
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  • 副島 林造, 山口 恵三
    1995 年 48 巻 6 号 p. 733-740
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 甲田 雅一, 宇田川 郁子, 福原 淳子, 田村 恵子, 松崎 廣子
    1995 年 48 巻 6 号 p. 741-748
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 病院内におけるMethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA) の分離率は減少し, 代わりにPseudomonas aeruginosaの分離率が増加する傾向がある。この要因としては, MRSA院内感染の防止を目的とした院内感染対策の徹底や, 第三世代セフェム系抗生物質の使用規制が考えられる。
    入院患者から分離されたP.aeruginosaに対する各種抗生物質のMICを測定した結果, P. aeraginosaに対する抗菌力は, β-ラクタム系抗生物質の中ではCefclidin (CFCL) が, アミノグリコシド系抗生物質のうちではTobramycin (TOB) が最も優れていた。CFCLの抗菌力はTOBと同等かそれ以上であった。
    P. aeruginosaに対する優れた抗菌力が, CFCLの特徴であると思われた。
  • 板倉 敦夫, 倉内 修, 水谷 栄彦, 友田 豊, 松澤 克治
    1995 年 48 巻 6 号 p. 749-753
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    モノバクタム系抗生物質であるAztreonam (以下AZT) を子宮内感染妊婦に6時間毎に点滴静注投与を行い, 分娩時の母体血, 臍帯血, 膀帯組織内濃度を調べ, AZTの移行及び蓄積について検討した。さらに臍帯組織培養と組織学的検査を施行し, 臍帯炎に対する有用性を検討した。
    母体血中濃度および臍帯血中濃度は数次投与によっても蓄積されず, 最終投与からの経過時間と相関がみられた。臍帯組織内濃度は, 投与開始から12時間程度までは経過時間とともに増加する傾向がみられたが, それ以降増加する傾向はなかった。臍帯培養では, 初回投与から12時間以降の例では細菌は検出されなかった。臍帯の組織学的検査では1例を除き, 初回投与より12時間以上経過した例に臍帯炎は認められなかった。
    本剤の妊娠時の子宮内感染における投与では胎児, 臍帯への移行は良好であり, 異常蓄積は認められず, 新生児感染症や副作用もみられなかったことから, 臍帯炎に対する臨床応用は有用と考えた。
  • 中川 重仁, 岩井 信治, 小前 憲久, 長沢 峰子, 河村 泰仁, 児玉 卓也
    1995 年 48 巻 6 号 p. 754-768
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-3761の単回投与毒性試験をマウス, ラット, イヌを用いて行い, 次の結果を得た。
    1. T-3761の経口投与での概略の致死量は, マウス, ラットで5,000mg/kg以上, イヌで2,000mg/kg以上であった。皮下投与での概略の致死量は, マウス, ラットとも5,000mg/kg以上であった。静脈内投与でのLD50は, マウスでは雄783mg/kg, 雌832mg/kg, ラットでは雄341mg/kg, 雌403mg/kgであった。イヌでは200mg/kg群で死亡例はみられず, 400mg/kg群で2例中1例が死亡したことから概略の致死量は400mg/kgであった。
    2. マウス, ラットでの経口投与では, 症状観察および剖検で明らかな異常はみられず, 死亡例もなかった。皮下への大量投与では投与部位皮下にT-3761を容れた肉芽嚢がみられたが, 他に異常所見はなく, 死亡例もなかった。イヌでの経口投与では, 血液学的検査で白血球数の一過性軽度増加が, 血液化学的検査ではGOT, クレアチンホスフォキナーゼ, 尿素窒素の一過性軽度増加がみられた。しかし, 症状および剖検には異常はみられず, 死亡例もなかった。
    3. マウス, ラット静脈内投与では, 投与直後に自発運動減少および呼吸不整がみられた。死亡例では他に強直性痙攣または間代性痙攣がみられた。イヌでは静脈内投与後, 嘔吐, 可視粘膜の充血, 顔面浮腫, 自発運動減少, 流涎, 体温低下がみられ, 高用量群ではさらに注射中の悲鳴, 呼吸促迫がみられた。血液学的検査では赤血球数, 白血球数, ヘマトクリット値, ヘモグロビン濃度の一過性増加が, 血液化学的検査ではGOT, クレアチンホスフォキナーゼ, 尿素窒素, クレアチニンの一過性増加がみられた。また, 400mg/kg群1例は上記症状の他に数回の強直性痙攣を起こして死亡した。
  • 河村 泰仁, 永井 章夫, 吉田 一晴, 長沢 峰子, 鬼頭 暢子, 児玉 卓也
    1995 年 48 巻 6 号 p. 769-789
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-3761の1,500,400,100, 25mg/kgをラットに3カ月間反復経口投与し, 以下の結果を得た。
    1. 投与期間中, 誤投与による死亡以外に途中死亡例はなかった。症状観察では軟便が1,500mg/kg群雌雄にみられた。体重の軽度増加抑制が1,500mg/kg群雄でみられた。
    2. 尿検査では, 尿沈渣中にT-3761由来と思われる結晶が400mg/kg以上の投与群雌雄にみられた。しかし, 腎臓と膀胱にはT-3761投与に起因する異常はみられなかった。
    3. 血液学的検査と眼科的検査ではT-3761投与に起因する異常はみられなかった。
    4. 血液化学的検査では, 総コレステロールの軽度増加が1,500mg/kg群雌雄と400mg/kg群雌に, リン脂質の軽度増加が1,500mg/kg群雄に, γグロブリン分画の減少によるA/G比の軽度増加が投与各群雌雄にみられた。以上の変化は休薬によって回復傾向を示した。
    5. 盲腸腔の拡張が400mg/kg以上の投与群雌雄と100mg/kg群雄にみられたが, 休薬により回復傾向を示した。なお, 盲腸には組織学的異常はみられなかった。
    6. 関節軟骨のびらんあるいは空洞形成が1,500mg/kg群2/19例, 回復試験の1,500mg/kg群1/9例と400mg/kg群3/10例にみられた。
    7. 本試験の無毒性量は関節軟骨に異常のみられなかった100mg/kgと推定された。
  • 中川 重仁, 永井 章夫, 長沢 峰子, 吉田 一晴, 岩井 信治, 三善 隆広, 河村 泰仁, 児玉 卓也
    1995 年 48 巻 6 号 p. 790-831
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-3761の300, 100, 30, 10mg/kgをイヌに3カ月間反復経口投与し, 以下の結果を得た。
    1. 投与期間中, 死亡例はなかった。症状では各投与群の少数例~全例に四肢を屈伸させた時に嫌がる反応がみられた。
    2. 300mg/kg群1/10例と100mg/kg群1/8例に軽度の体重減少がみられた。
    3. 尿検査で300mg/kg群5/10例, 100mg/kg群4/8例の沈渣中にT-3761由来と思われる結晶がみられた。しかし, 腎臓と膀胱にはT-3761投与に起因する異常はみられなかった。
    4. 血液化学的検査で300mg/kg群1/10例にGPTの軽度上昇, 30mg/kg以上の投与群雄と10mg/kg以上の投与群雌にA/G比の上昇がみられた。
    5. 関節軟骨のびらんあるいは空洞形成が, 100mg/kg以上の投与群全例, 30mg/kg群7/8例および10mg/kg群1/8例にみられた。
    6. 本試験における無毒性量は10mg/kg未満と推定された。
  • 小前 憲久, 三善 隆広, 小崎 司, 大場 英子, 河村 泰仁, 児玉 卓也
    1995 年 48 巻 6 号 p. 832-860
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたニューキノロン系合成抗菌剤のT-3761について, S. D. 系ラットを用いて生殖・発生毒性試験を行い, 親動物, 胎児および出生児におよぼす影響を検討した。各試験において, T-3761の60,300, 1,500mg/kg/dayを経口投与した。
    1. 妊娠前および妊娠初期投与試験
    雄は6週齢から交配前9週間, 雌は13週齢から交配前2週間および妊娠7日まで投与した。親動物については, 1,500mg/kg群の雌雄で軽度軟便, 体重増加抑制, 摂水量の増加がみられた。盲腸重量の増加が雄では300mg/kg以上の群で, 雌では1,500mg/kg群でみられた。親動物の生殖能力にはT-3761投与の影響はみられなかった。胎児については, 1,500mg/kg群で軽度の骨化遅延がみられた以外, 異常はみられなかった。親動物に対する一般毒性学的無影響量は300mg/kg, 生殖に関する無影響量は1,500mg/kg以上, 胎児に対する無影響量は300mg/kgと考えられた。
    2. 胎児の器官形成期投与試験
    妊娠7日から妊娠17日まで投与した。母体については, 1,500mg/kg群で軽度軟便, 摂餌量の一過性の減少, 摂水量の増加, 軽度の体重増加抑制, 盲腸重量の増加がみられた。胎児については, 1,500mg/kg群で心室中隔欠損の発現率の軽度上昇および軽度の骨化遅延がみられた。出生児にはT-3761投与の影響はみられなかった。母体に対する一般毒性学的無影響量は300mg/kg, 生殖に関する無影響量は1,500mg/kg以上, 次世代の発生に関する無影響量は300mg/kgと考えられた。
    3. 周産期および授乳期投与試験
    妊娠17日から分娩後21日まで投与した。母体については, 300mg/kg以上の群で盲腸重量の増加が, 1,500mg/kg群で軽度軟便, 摂餌量の一過性の減少, 摂水量の増加, 分娩後の一過性の体重増加抑制, 妊娠期間の軽度の延長がみられた。出生児にはT-3761投与の影響はみられなかった。母体に対する一般毒性学的無影響量および生殖に関する無影響量は300mg/kg, 次世代の発生に関する無影響量は1,500mg/kg以上と考えられた。
  • 柴田 哲夫, 長沢 峰子, 岩井 信治, 宮崎 美代乃, 河村 泰仁, 児玉 卓也
    1995 年 48 巻 6 号 p. 861-867
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-3761について, モルモットを使用して経口投与, 経皮投与による光毒性試験と光アレルギー性試験およびラットを使用して経口投与による光毒性試験を行い, 以下の結果を得た。
    1. モルモットを用いた経口投与による光毒性試験では, T-3761の作用はSparfloxacin, Lomefioxacin, Ofloxacin, Enoxacinより弱く, Nalidixic acidよりわずかに強く, Ciprofloxacinと同等であった。
    2. T-3761に対する光毒性の感受性はモルモットよりラットの方が低かった。
    3. T-3761 10%軟膏塗布によるモルモットの経皮投与では光毒性, 光アレルギー性ともにみられなかった。
    4. T-3761経口投与による光アレルギー性は弱いものと推測された。
  • 中村 昌三, 林 敏雄, 能島 康幸, 西田 亨子, 河村 泰仁, 児玉 卓也
    1995 年 48 巻 6 号 p. 868-877
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-3761の細胞毒性試験として, 哺乳類培養細胞を用いる増殖抑制試験を行った。また, 変異原性試験として, 微生物を用いる復帰突然変異試験, 哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験およびマウスを用いる小核試験を行い, 以下の結果を得た。
    1: 哺乳類培養細胞を用いる細胞毒性試験
    V79細胞に対するT-3761の50%細胞増殖抑制濃度は, 24時間処理で490μg/ml, 48時間処理で220μg/mlであった。T-3761の増殖抑制作用は, CiprofioxacinおよびNorfioxacinより2~4倍弱く, Cephalothinとほぼ同等であった。
    2. 微生物を用いる復帰突然変異試験
    Salmonella typhimurium TA100, TA98, TA1535, TA1537およびEscherichia coli WP2 uvrAを用いるプレインキュベーション法ならびにS.typhimurium TA100, TA98を用いる誘発突然変異頻度試験を行った。その結果, いずれの菌株においても代謝活性化の有無にかかわらず, 復帰変異コロニー数の増加はみられなかった。
    3. 哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験
    V79細胞を用い, 直接法では50~200μg/mlにて24, 48時間処理ならびに代謝活性化法では400~3,200μg/mlにて6時間処理を行った。その結果, いずれの処理群においても染色体異常の誘発はみられなかった。
    4. マウスを用いる小核試験
    ICR系の雄性マウスを用い, 500~5,000mg/kg 1回経口投与ならびに150~1,500mg/kg5回経口投与を行った。その結果, いずれの投与群においても, マウス骨髄細胞に小核の誘発はみられなかった。
    以上の結果から, T-3761は細胞毒性が弱く, 変異原性を有しないものと考えられた。
  • 柴田 哲夫, 岩井 信治, 宮崎 美代乃, 河村 泰仁, 児玉 卓也
    1995 年 48 巻 6 号 p. 878-885
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系合成抗菌剤であるT-3761の抗原性について検討し, 以下の結果を得た。
    1. モルモットの能動的全身性アナフィラキシー反応では, T-3761には免疫原性および誘発原性はみられなかった。
    2. モルモットの能動的全身性アナフィラキシー反応用動物から得た血清を用いて行ったモルモットの4時間受身皮膚アナフィラキシー反応では, T-3761には免疫原性および誘発原性はみられなかった。
    3. マウスでのIgE抗体産生能をラットの24時間受身皮膚アナフィラキシー反応で調べたが, T-3761には, IgE抗体産生能および誘発原性はみられなかった。
    4. ラットおよびイヌの3カ月間反復投与毒性試験 (経口, 静脈内投与) の動物の抗体測定を受身赤血球凝集反応で行ったが, いずれも凝集反応は陰性で抗体産生はみられなかった。
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