The Japanese Journal of Antibiotics
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T-3761の細胞毒性・変異原性試験
中村 昌三林 敏雄能島 康幸西田 亨子河村 泰仁児玉 卓也
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1995 年 48 巻 6 号 p. 868-877

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抄録

T-3761の細胞毒性試験として, 哺乳類培養細胞を用いる増殖抑制試験を行った。また, 変異原性試験として, 微生物を用いる復帰突然変異試験, 哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験およびマウスを用いる小核試験を行い, 以下の結果を得た。
1: 哺乳類培養細胞を用いる細胞毒性試験
V79細胞に対するT-3761の50%細胞増殖抑制濃度は, 24時間処理で490μg/ml, 48時間処理で220μg/mlであった。T-3761の増殖抑制作用は, CiprofioxacinおよびNorfioxacinより2~4倍弱く, Cephalothinとほぼ同等であった。
2. 微生物を用いる復帰突然変異試験
Salmonella typhimurium TA100, TA98, TA1535, TA1537およびEscherichia coli WP2 uvrAを用いるプレインキュベーション法ならびにS.typhimurium TA100, TA98を用いる誘発突然変異頻度試験を行った。その結果, いずれの菌株においても代謝活性化の有無にかかわらず, 復帰変異コロニー数の増加はみられなかった。
3. 哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験
V79細胞を用い, 直接法では50~200μg/mlにて24, 48時間処理ならびに代謝活性化法では400~3,200μg/mlにて6時間処理を行った。その結果, いずれの処理群においても染色体異常の誘発はみられなかった。
4. マウスを用いる小核試験
ICR系の雄性マウスを用い, 500~5,000mg/kg 1回経口投与ならびに150~1,500mg/kg5回経口投与を行った。その結果, いずれの投与群においても, マウス骨髄細胞に小核の誘発はみられなかった。
以上の結果から, T-3761は細胞毒性が弱く, 変異原性を有しないものと考えられた。

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