The Japanese Journal of Antibiotics
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高齢者の呼吸器感染症に対するSulbactam/Cefoperazoneの有用性について
高木 宏治梅野 守男田中 実原島 伸一武田 誉久岡田 薫澤江 義郎
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1995 年 48 巻 7 号 p. 942-948

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抄録

65歳以上の高齢者の呼吸器感染症20例にSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) を投与し, その臨床効果及び安全性について検討した。
早良病院内科に入院した, 65~84歳 (平均73.2歳) の高齢者の呼吸器感染症20例 (肺炎7例, 急性気管支炎7例, 慢性気管支炎の急性増悪5例, 肺気腫の感染1例) に, SBT/CPZをCPZとして0.5~1.09を1日朝, 夕2回, 4~14日間点滴静注した。基礎疾患として13例に糖尿病, 慢性関節リウマチ, 脳梗塞, 肺癌などを認めた。
臨床効果は有効以上が80%で, 細菌学的効果は起炎菌の判明した10例で, 消失6例, 減少2例, 不変2例と除菌率60%であった。不変の2例はMRSAと緑膿菌であった。
本剤による副作用はなんら認められず, 臨床検査値異常は, GOT, GPTの上昇を2例に認めたが, 特に処置せず正常化した。
以上のことから, 高齢者の呼吸器感染症に対して, 本剤は有用であると思われた。
β-lactamase inhibitorであるSulbactam (SBT) とセフェム系注射薬のCefoperazone (CPZ) の合剤であるスルペラゾン® (SBT/CPZ) は, CPZの有するグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して幅広い抗菌力を保持するとともに, 黄色ブドウ球菌をはじめとするβ-lactamase産生のCPZ耐性菌にも優れた抗菌力を有している1, 2)。しかも, 胆汁排泄型であり, 腎機能の低下した高齢者に対して比較的使用しやすい抗生物質と思われる3, 4)。今回我々は65歳以上の高齢者の呼吸器感染症20例に本剤を使用し, その臨床的効果を検討したので, その成績を報告する。

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