1996 年 49 巻 12 号 p. 1062-1072
今回我々は, 好中球数減少状態の血液疾患患者に合併した深在性真菌症に対しFluconazole (FLCZ) とヒト組み換え顆粒球コロニー刺激因子(rhG-CSF) の併用療法を試み, その臨床効果, 安全性を検討した。また対照として以前に同施設で実施したrhG-CSFの併用を行わずFLCZ単独投与した時の成績と比較した。
総合臨床効果は有効率73.5% (25/34) であり, FLCZ単独投与時の有効率48.1% (37/77) に比較して有意に高い有効率が認められた。rhG-CSFとFLCZと同時投与およびrhG-CSF先行投与のいずれの方法においても有効率に差はなかつた。
rhG-CSFの併用にもかかわらず好中球数の増加がみられなかった症例を除き高い臨床効果が得られた事からFLCZとrhG-CSFの併用投与は好中球数減少状態の血液疾患患者における深在性真菌症のEmpiric therapyとして有意義であると考えられた。