The Japanese Journal of Antibiotics
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49 巻, 12 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 澤江 義郎, 仁保 喜之, 岡村 孝, 権藤 久司, 小鶴 三男, 鵜池 直邦, 牟田 耕一郎, 後藤 達郎, 末広 陽子, 熊川 みどり, ...
    1996 年 49 巻 12 号 p. 1049-1061
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器疾患に併発した感染症109例に対し, Imipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS) の単独療法 (単独群) とIPM/CSと他剤との併用療法 (併用群) の比較検討を封筒法にて実施し, 以下の結果を得た。
    1. IPM/CS単独群および他抗菌薬併用群はそれぞれ53例, 56例で, うち評価可能な症例はそれぞれ47例, 48例であった。症例の年齢分布, 造血器疾患の種類などに両群間で差はなかった。
    2. 細菌感染症別の症例数および有効率は単独群で敗血症8例, 625%, 敗血症疑い23例75.0%, 肺炎10例, 50.0%で, 全体では, 47例68.3%であった。一方, 併用群はそれぞれ7例, 85.7%, 24例, 63.6%, および8例, 50.0%で, 全体では48例, 67.4%であり, 単独群と併用群の有効率に有意差は認められなかった。
    3. 併用薬剤のなかではペニシリン系, セフェム系, アミノ配糖体系以外の抗菌薬の使用例が12例, 有効率が91。7%と高かった。
    4. 細菌学的には単独群で19株, 併用群で17株の分離菌が得られ, 消失率はそれぞれ100%, 88.9%であった。
    5. 副作用は単独群2例, 併用群7例に嘔気・嘔吐, 食欲不振の消化器症状を認め, 臨床検査値異常は単独群2例, 併用群7例に肝機能異常を, 併用群の1例に好中球増多を認めたが, いずれも本剤投与中止または終了後に消失した。
    以上により造血器疾患に併発した重症細菌感染症に対するIPM/CSの単独療法と併用療法において有効率に有意差は認められなかった。
  • 北村 聖, 宮川 清, 浦部 晶夫, 佐藤 宏, 大林 由明, 青木 功, 高久 史麿, 戸川 敦, 新藤 英一, 若林 芳久, 大島 年照 ...
    1996 年 49 巻 12 号 p. 1062-1072
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 好中球数減少状態の血液疾患患者に合併した深在性真菌症に対しFluconazole (FLCZ) とヒト組み換え顆粒球コロニー刺激因子(rhG-CSF) の併用療法を試み, その臨床効果, 安全性を検討した。また対照として以前に同施設で実施したrhG-CSFの併用を行わずFLCZ単独投与した時の成績と比較した。
    総合臨床効果は有効率73.5% (25/34) であり, FLCZ単独投与時の有効率48.1% (37/77) に比較して有意に高い有効率が認められた。rhG-CSFとFLCZと同時投与およびrhG-CSF先行投与のいずれの方法においても有効率に差はなかつた。
    rhG-CSFの併用にもかかわらず好中球数の増加がみられなかった症例を除き高い臨床効果が得られた事からFLCZとrhG-CSFの併用投与は好中球数減少状態の血液疾患患者における深在性真菌症のEmpiric therapyとして有意義であると考えられた。
  • 石井 由紀子, 鈴木 由美子, 石原 理加, 中澤 ありさ, 出口 浩一
    1996 年 49 巻 12 号 p. 1073-1084
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1994年4月~9月に, 当所において検出した主に複雑性尿路感染症由来グラム陰性桿菌の主な菌種を対象とし, Cefetaiet(CEMT)の抗菌活性を知ることを目的に, CEMTと対照薬剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して以下の結果を得た。
    1. 供試株はCitrobacter diversus 20株, Citrobacter freundii 30株, Enterobacter aerogenes 20株, Enterobacter cloacae 30株, Serratia marcescens 30株, Proteus mirabilis 30株, Proteus vulgaris20株, 及びMorganella morganii 30株の計210株である。
    2. 今回の検討で得られたMIC分布からは, 一部の耐性株を除けばCEMTの強い抗菌活性が認められた。そして, 今回の結果から得られたCEMTのMIC80は, 1989年に発表された臨床分離株の同一菌種に対するMIC80とほぼ同等であり, 同じくMIC50においても, E. aerogenes, S.marcescens, P. mirabilis, P. vulgaris, 及び.M.morganiiは同等またはほぼ同等であったが, CfreundiiとE. cloacaeに対するCEMTのMIC50は, 今回の結果が得られた値の方が高かった。
    しかし, C. freundiiとE. cloacaeのCefteram及びCefixime高度耐性株の割合はCEMTとほぼ同様であり, これら両菌種の多剤耐性株の増加を示唆していた。
    3. CEMT-PIは, 既存のオキシム型セフェム系薬経口剤に比較して尿中排泄濃度のピーク値が高く, 加えて持続性が長いことから, 尿路感染症に対する有用性が期待できる。
  • 第1報 皮膚糸状菌臨床分離株のBifonazole感受性
    山口 英世, 内田 勝久, 渡辺 晋一, 高橋 久, 中村 遊香, 中村 絵美, 西山 雄一, 手塚 万由里, 富澤 尊儀, 下妻 道郎, ...
    1996 年 49 巻 12 号 p. 1085-1094
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    イミダゾール系外用抗真菌剤Bifonazoleに対する白癬の主要原因菌種Trichophyton mentagrophytesおよびT. rubrumの臨床分離株の感受性に経年的変化が生じているか否かを検討するために, 1995年足白癬を対象として行われたBifonazole196含有のマイコスポール®クリームの治療試験に際して患者検体から分離された両菌種菌株107株, ならびに1990年および本剤上市前に分離され保存されてきた菌株それぞれ42株, 39株について感受性測定を行った。得られた結果は次の通りである。
    1. T.mentagrophytesのBifonazole感受性については, 1986年以前分離株, 1990年分離株および1995年分離株の間で明らかな差は認められなかつた。
    2. T. rubrumのBifonazole感受性は, 1995年分離株にくらべて1986年以前分離株ではやや高く, 1990年分離株ではやや低い傾向がみられたが, 有意な差はなかつた。
    3. 1986年以前および1995年のいずれの時期の分離株についても, T. mentagrophytesおよびT. rubrumに対するBifonazoleの最高MICはそれぞれ2.5μg/mlおよび1.25μg/mlと比較的低かった。
    これらの成績から, 開発時と比べて現時点での皮膚糸状菌臨床分離株のBifonazole感受性の低下や耐性株の出現はみられないことが示された。
  • 第2報臨床的検討
    渡辺 晋一, 高橋 久, 中村 遊香, 中村 絵美, 西山 雄一, 手塚 万由里, 山口 英世, 内田 勝久, 富澤 尊儀, 下妻 道郎, ...
    1996 年 49 巻 12 号 p. 1095-1108
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    承認後10年目を迎えたイミダゾール系外用抗真菌剤Bifonazoleの足白癬に対する有用性を評価するために, 141例の足白癬患者に対してBifonazole 1%含有のマイコスポール®クリームを1日1回, 4週間投与し, その臨床効果と副作用, 分離真菌の薬剤感受性と真菌学的効果との関係および過去の成績との比較を検討し, 以下の成績が得られた。
    1. 真菌学的効果真菌陰性化率は, 小水疱型63.2% (36/57), 趾間型94.1% (32/34), 足白癬全例では, 74.7% (68/91) であった。
    2. MIC別真菌学的効果原因真菌に対するBifonazoleのMICと真菌消失率との間に相関性が認められなかった。
    3. 皮膚症状改善度皮膚症状の改善率は, 小水疱型82.5%, 趾間型85.7%, 足白癬全例では83.7%であった。
    4. 総合臨床効果有効率は, 小水疱型61.4%, 趾間型88.6%, 足白癬全例では71.7%であった。
    5. 安全性副作用は, 127例中5例 (3.9%) に接触皮膚炎と考えられるものがみられたが, いずれの症例も軽快または消失した。
    6. 有用性有用率は, 小水疱型64.9%, 趾間型88.6%, 足白癬全例では73.9%であった。
    7. 過去の成績との比較今回の臨床試験で得られた成績は, 新規外用抗真菌剤の開発段階で実施された二重盲検比較試験で本剤が投与された足白癬症例の成績とほぼ同等であった。
    以上の結果から, マイコスポール®クリームは, 承認後10年にわたり皮膚真菌症の局所療法として汎用されておりながら, 今日においても有用な薬剤であることが確認された。
  • 藤井 秀二, 吉澤 啓子, 丸山 佐起子, 安部 史紀
    1996 年 49 巻 12 号 p. 1109-1115
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ubenimex (Bestatin, Ubx) は抗腫瘍作用及び免疫調節作用を有し, 宿主介在性の抗腫瘍剤として成人急性非リンパ性白血病(AML)の完全寛解後に維持強化療法剤と併用して用いられている。AMLの一般的な治療はDaunomycin (DNR), Arabinosylcytosine (Ara-C), 6-Mercaptopurine (6-MP) などの化学療法剤を用いたDCMP療法である。臨床においてUbxはこれらの薬剤と併用しており, これらの化学療法剤の作用にUbxが直接的に影響を与える可能性がある。
    また, 残存白血病細胞が出現する原因の一つに化学療法剤に対する耐性化が関与していると考えられる。そこで, DNR, Ara-C, 6-MPなどの化学療法剤とUbxとの併用効果を骨髄性白血病株K562及び同化学療法剤耐性株を用いてUbxの直接効果及び化学療法剤とUbxとの併用効果を検討した。Ubxは親株及び3種類の化学療法剤耐性株いずれに対しても増殖抑制効果を示した。K562親株においてDNRとUbxの併用により相乗効果を認め, その作用はコロニー形成法によっても確認された。Ara-C又はEtoposideとのUbxの併用効果は, 親株及び各種耐性株で相加的であり, 相互作用はないものと考えられた。6-MPは, Ubxと併用してもいずれの耐性細胞株においても相加以上の効果は認められなかったものの, 単剤の効果よりも強い抑制効果がみられた。以上の結果より, Ubxはこれまで報告されてきた免疫調節作用に加えて直接的に白血病細胞に作用し, 更に化学療法剤と併用することにより相加的ないしはそれより強い増殖抑制効果を示すことが明らかになった。
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