The Japanese Journal of Antibiotics
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尿路感染症由来臨床分離株に対するCefetametの抗菌活性
石井 由紀子鈴木 由美子石原 理加中澤 ありさ出口 浩一
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1996 年 49 巻 12 号 p. 1073-1084

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抄録

1994年4月~9月に, 当所において検出した主に複雑性尿路感染症由来グラム陰性桿菌の主な菌種を対象とし, Cefetaiet(CEMT)の抗菌活性を知ることを目的に, CEMTと対照薬剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して以下の結果を得た。
1. 供試株はCitrobacter diversus 20株, Citrobacter freundii 30株, Enterobacter aerogenes 20株, Enterobacter cloacae 30株, Serratia marcescens 30株, Proteus mirabilis 30株, Proteus vulgaris20株, 及びMorganella morganii 30株の計210株である。
2. 今回の検討で得られたMIC分布からは, 一部の耐性株を除けばCEMTの強い抗菌活性が認められた。そして, 今回の結果から得られたCEMTのMIC80は, 1989年に発表された臨床分離株の同一菌種に対するMIC80とほぼ同等であり, 同じくMIC50においても, E. aerogenes, S.marcescens, P. mirabilis, P. vulgaris, 及び.M.morganiiは同等またはほぼ同等であったが, CfreundiiとE. cloacaeに対するCEMTのMIC50は, 今回の結果が得られた値の方が高かった。
しかし, C. freundiiとE. cloacaeのCefteram及びCefixime高度耐性株の割合はCEMTとほぼ同様であり, これら両菌種の多剤耐性株の増加を示唆していた。
3. CEMT-PIは, 既存のオキシム型セフェム系薬経口剤に比較して尿中排泄濃度のピーク値が高く, 加えて持続性が長いことから, 尿路感染症に対する有用性が期待できる。

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