The Japanese Journal of Antibiotics
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承認後10年目におけるBifonazoleの足白癬に対する基礎的・臨床的検討
第1報 皮膚糸状菌臨床分離株のBifonazole感受性
山口 英世内田 勝久渡辺 晋一高橋 久中村 遊香中村 絵美西山 雄一手塚 万由里富澤 尊儀下妻 道郎長田 厚河野 志穂美中内 洋一湧川 基史後藤 敦子上田 純嗣松川 中久保 正英皆見 春生有川 順子相馬 良直池 亨仁玉置 邦彦
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1996 年 49 巻 12 号 p. 1085-1094

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抄録

イミダゾール系外用抗真菌剤Bifonazoleに対する白癬の主要原因菌種Trichophyton mentagrophytesおよびT. rubrumの臨床分離株の感受性に経年的変化が生じているか否かを検討するために, 1995年足白癬を対象として行われたBifonazole196含有のマイコスポール®クリームの治療試験に際して患者検体から分離された両菌種菌株107株, ならびに1990年および本剤上市前に分離され保存されてきた菌株それぞれ42株, 39株について感受性測定を行った。得られた結果は次の通りである。
1. T.mentagrophytesのBifonazole感受性については, 1986年以前分離株, 1990年分離株および1995年分離株の間で明らかな差は認められなかつた。
2. T. rubrumのBifonazole感受性は, 1995年分離株にくらべて1986年以前分離株ではやや高く, 1990年分離株ではやや低い傾向がみられたが, 有意な差はなかつた。
3. 1986年以前および1995年のいずれの時期の分離株についても, T. mentagrophytesおよびT. rubrumに対するBifonazoleの最高MICはそれぞれ2.5μg/mlおよび1.25μg/mlと比較的低かった。
これらの成績から, 開発時と比べて現時点での皮膚糸状菌臨床分離株のBifonazole感受性の低下や耐性株の出現はみられないことが示された。

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