The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefozopranの小児科領域における臨床用量の検討
藤井 良知砂川 慶介佐藤 吉壮横田 隆夫吉村 公一近藤 康夫川生 泰子寺嶋 周目黒 英典新納 憲司豊永 義清石原 俊秀岩井 直一中村 はるひ久野 邦義宮島 雄二櫻井 實伊藤 正寛川崎 肇菅 秀神谷 齊藤原 卓乾 拓郎谷口 清州西村 忠史杉田 久美子青木 繁幸真砂 光宏小林 裕春田 恒和本廣 孝阪田 保隆松尾 勇作小野 栄一郎松行 真門辻 芳郎中山 雅彦
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1996 年 49 巻 7 号 p. 663-677

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抄録

小児感染症例においてCefozopran (SCE-2787, CZOP) を静注又は30分間点滴静注で, 1日3~4回投与し, 投与量, 体内動態起炎菌の消長及びMIC並びに臨床効果, 細菌学的効果の関連を個々の症例について検討し, 本剤の臨床用量について以下の結果を得た。
1.10mg (力価) /kg投与例
対象は, 肺炎4例等計7例で, その重症度は, 肺炎の1例が重症, その他は何れも中等症であった。
これらの症例から分離された起炎菌 (4株) に対するMIC rangeは0.2~156μg/mlであった。血中濃度は, 投与4時間後では1.4~7.6μg/mlと起炎菌に対するMICを僅かであるが下回る症例があった。
臨床効果は著効3例, 有効2例, やや有効1例, 判定不能1例で, 有効率は83.3% (5/6) で, 細菌学的効果は4株中3株が消失した。副作用・臨床検査値異常変動は, 認あられなかった。
2.20mg (力価) /kg投与例
対象は, 肺炎2例等計5例で, その重症度は, 肺炎1例が重症, その他は何れも中等症であった。これらの症例から分離された起炎菌 (3株) に対するMICrangeは0.1~1.56μg/mlであった。一方, 血中濃度は投与4時間後で3.0~7.7μg/mlと起炎菌に対するMICを十分上回る濃度であった。
臨床効果は, 著効1例, 有効4例で, 有効率は100% (5/5) で細菌学的効果も3株すべて消失した。副作用は認あられなかったが, 臨床検査値異常変動として好酸球増多が1例認められた。
3.40mg (力価) /kg投与例
対象は, 肺炎3例等計6例で, 肺炎の2例が中等症で, 4例が重症であった。これらの症例から分離された起炎菌 (4株) に対するMICrangeは0.1~0.78μg/mlであった。血中濃度は投与4時間後で6.5~21.9μg/mlと起炎菌に対するMICを十分に上回る濃度であった。
臨床効果は, 著効4例, 有効1例, 判定不能1例で, 有効率は100% (5/5) で細菌学的効果も10096であった。副作用として1例に赤色尿が認められ, 臨床検査値異常変動として好酸球増多が1例認められた。
以上, 小児感染症に対してCZOPの1回10mg (力価) /kg投与では, 投与4時間後の血中濃度が起炎菌に対するMICを下回る症例が1例認められ, 臨床効果の不十分な症例が認められた。一方, 20mg (力価) /kg投与では, 十分な血中濃度が得られ, 全症例が有効以上であったことから, 通常投与量は1回20mg (力価) /kgと考えられた。なお, 40mg (力価) /kg投与では, 重症例が過半数であったにもかかわらず全症例が有効以上で, かっ著効率が80% (4/5) であったこと, 重篤な副作用が認められなかったことから, 重症, 難治症例には1回40mg (力価) /kgが必要であることが確認された。

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