The Japanese Journal of Antibiotics
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未熟児・新生児に対するCefozopranの基礎的・臨床的検討
藤井 良知奥野 晃正藤田 晃三角谷 不二雄丸山 静男坂田 宏印鑰 史衛阿部 敏明柱 新太郎中里 豊杉浦 正俊田島 剛長井 志津佳舟本 規昭杉森 澄子西村 修一吉村 公一近藤 康夫川生 泰子寺嶋 周目黒 英典竹内 豊寒竹 正人砂川 慶介岩田 敏秋田 博伸横田 隆夫佐藤 吉壮楠本 裕豊永 義清石原 俊秀中村 弘典新納 憲司岩井 直一中村 はるひ櫻井 實伊藤 正寛西原 秀宏西村 忠史小林 裕春田 恒和大倉 完悦本廣 孝阪田 保隆長井 健祐森田 潤高岸 智也松尾 勇作橋本 武夫吉永 陽一郎林 眞夫豊田 温藤本 保和田 雅臣神園 慎太郎辻 芳郎冨増 邦夫吉永 宗義高柳 俊光中下 誠郎楠本 隆田中 博弥林 克敏宮野 武大谷 俊樹細田 弥太郎真辺 忠夫清水 保延音部 好宏橋本 俊八木澤 守正
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1996 年 49 巻 7 号 p. 678-702

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抄録

注射用セフェム系抗生物質Cefozopran (SCE-2787, CZOP) について, 新生児・未熟児における基礎的・臨床的検討を行い以下の成績を得た。
1. 体内動態
(1) 0日齢 (生後24時間未満) の新生児, 未熟児は共に1日齢以降の患児に比べ, 血中半減期 (T 1/2) の延長が認められた。さらに, 0日齢の新生児と未熟児とを比べると, 未熟児においてこの傾向が大きかった。
(2) 1日齢以降の新生児及び未熟児にCZOP20mg/kgを静注後30分以降の血中濃度並びにT 1/2は, 新生児と未熟児間で差がなかった。
(3) 10, 20, 40mg/kg投与時の血中濃度には用量依存性が認あられた。
(4) 1日齢以降の新生児・未熟児の尿中排泄率は, 投与後6時間までで約30~60%であった。0日齢の新生児・未熟児の尿中排泄率は投与後6時間までで約20%と低かった。
2. 臨床成績
(1) 総投与症例136例中臨床効果評価可能症例は96例で, 安全性評価可能症例は132例であった。
(2) 臨床効果は起炎菌検出例 (A群) 28例で有効率78.% (22/28), 起炎菌非検出例 (B群) 68例で97.% (66/68), A群B群併せて91.% (88/96) と優れた成績であった。
(3) 細菌学的効果はA群28例から分離された33株で検討し, 菌消失率はグラム陽性菌で88.2% (15/17), グラム陰性菌で92.% (12/13), 全体では90.% (27/30) であった。菌交代症はみられなかった。
(4) 副作用は下痢が1例 (0.%) 認められた。臨床検査値異常は15例 (12.3%) に認められ, その主なものは好酸球増多, GPT上昇, γ-GTP上昇などいずれも一過性で, 重篤なものはなかった。
以上の体内動態及び臨床成績から, CZOPは新生児・未熟児領域適応感染症に極めて有用性の高い薬剤であると考えられ, 新生児・未熟児への標準用法・用量は本剤1回20mg/kgを0日齢 (生後24時間未満) には1日1~2回, 1 (生後24時間以降) ~7日齢には1日2~3回, 8日齢以降には1日3~4回静脈内又は点滴で静脈内投与し, 重症又は難治性感染症には1回40mg/kgまで増量して投与することができると考えられた。

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