The Japanese Journal of Antibiotics
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49 巻, 7 号
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  • 藤井 良知, 砂川 慶介, 佐藤 吉壮, 横田 隆夫, 吉村 公一, 近藤 康夫, 川生 泰子, 寺嶋 周, 目黒 英典, 新納 憲司, 豊 ...
    1996 年 49 巻 7 号 p. 663-677
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児感染症例においてCefozopran (SCE-2787, CZOP) を静注又は30分間点滴静注で, 1日3~4回投与し, 投与量, 体内動態起炎菌の消長及びMIC並びに臨床効果, 細菌学的効果の関連を個々の症例について検討し, 本剤の臨床用量について以下の結果を得た。
    1.10mg (力価) /kg投与例
    対象は, 肺炎4例等計7例で, その重症度は, 肺炎の1例が重症, その他は何れも中等症であった。
    これらの症例から分離された起炎菌 (4株) に対するMIC rangeは0.2~156μg/mlであった。血中濃度は, 投与4時間後では1.4~7.6μg/mlと起炎菌に対するMICを僅かであるが下回る症例があった。
    臨床効果は著効3例, 有効2例, やや有効1例, 判定不能1例で, 有効率は83.3% (5/6) で, 細菌学的効果は4株中3株が消失した。副作用・臨床検査値異常変動は, 認あられなかった。
    2.20mg (力価) /kg投与例
    対象は, 肺炎2例等計5例で, その重症度は, 肺炎1例が重症, その他は何れも中等症であった。これらの症例から分離された起炎菌 (3株) に対するMICrangeは0.1~1.56μg/mlであった。一方, 血中濃度は投与4時間後で3.0~7.7μg/mlと起炎菌に対するMICを十分上回る濃度であった。
    臨床効果は, 著効1例, 有効4例で, 有効率は100% (5/5) で細菌学的効果も3株すべて消失した。副作用は認あられなかったが, 臨床検査値異常変動として好酸球増多が1例認められた。
    3.40mg (力価) /kg投与例
    対象は, 肺炎3例等計6例で, 肺炎の2例が中等症で, 4例が重症であった。これらの症例から分離された起炎菌 (4株) に対するMICrangeは0.1~0.78μg/mlであった。血中濃度は投与4時間後で6.5~21.9μg/mlと起炎菌に対するMICを十分に上回る濃度であった。
    臨床効果は, 著効4例, 有効1例, 判定不能1例で, 有効率は100% (5/5) で細菌学的効果も10096であった。副作用として1例に赤色尿が認められ, 臨床検査値異常変動として好酸球増多が1例認められた。
    以上, 小児感染症に対してCZOPの1回10mg (力価) /kg投与では, 投与4時間後の血中濃度が起炎菌に対するMICを下回る症例が1例認められ, 臨床効果の不十分な症例が認められた。一方, 20mg (力価) /kg投与では, 十分な血中濃度が得られ, 全症例が有効以上であったことから, 通常投与量は1回20mg (力価) /kgと考えられた。なお, 40mg (力価) /kg投与では, 重症例が過半数であったにもかかわらず全症例が有効以上で, かっ著効率が80% (4/5) であったこと, 重篤な副作用が認められなかったことから, 重症, 難治症例には1回40mg (力価) /kgが必要であることが確認された。
  • 藤井 良知, 奥野 晃正, 藤田 晃三, 角谷 不二雄, 丸山 静男, 坂田 宏, 印鑰 史衛, 阿部 敏明, 柱 新太郎, 中里 豊, 杉 ...
    1996 年 49 巻 7 号 p. 678-702
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    注射用セフェム系抗生物質Cefozopran (SCE-2787, CZOP) について, 新生児・未熟児における基礎的・臨床的検討を行い以下の成績を得た。
    1. 体内動態
    (1) 0日齢 (生後24時間未満) の新生児, 未熟児は共に1日齢以降の患児に比べ, 血中半減期 (T 1/2) の延長が認められた。さらに, 0日齢の新生児と未熟児とを比べると, 未熟児においてこの傾向が大きかった。
    (2) 1日齢以降の新生児及び未熟児にCZOP20mg/kgを静注後30分以降の血中濃度並びにT 1/2は, 新生児と未熟児間で差がなかった。
    (3) 10, 20, 40mg/kg投与時の血中濃度には用量依存性が認あられた。
    (4) 1日齢以降の新生児・未熟児の尿中排泄率は, 投与後6時間までで約30~60%であった。0日齢の新生児・未熟児の尿中排泄率は投与後6時間までで約20%と低かった。
    2. 臨床成績
    (1) 総投与症例136例中臨床効果評価可能症例は96例で, 安全性評価可能症例は132例であった。
    (2) 臨床効果は起炎菌検出例 (A群) 28例で有効率78.% (22/28), 起炎菌非検出例 (B群) 68例で97.% (66/68), A群B群併せて91.% (88/96) と優れた成績であった。
    (3) 細菌学的効果はA群28例から分離された33株で検討し, 菌消失率はグラム陽性菌で88.2% (15/17), グラム陰性菌で92.% (12/13), 全体では90.% (27/30) であった。菌交代症はみられなかった。
    (4) 副作用は下痢が1例 (0.%) 認められた。臨床検査値異常は15例 (12.3%) に認められ, その主なものは好酸球増多, GPT上昇, γ-GTP上昇などいずれも一過性で, 重篤なものはなかった。
    以上の体内動態及び臨床成績から, CZOPは新生児・未熟児領域適応感染症に極めて有用性の高い薬剤であると考えられ, 新生児・未熟児への標準用法・用量は本剤1回20mg/kgを0日齢 (生後24時間未満) には1日1~2回, 1 (生後24時間以降) ~7日齢には1日2~3回, 8日齢以降には1日3~4回静脈内又は点滴で静脈内投与し, 重症又は難治性感染症には1回40mg/kgまで増量して投与することができると考えられた。
  • 出口 浩一, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 田中 節子, 石原 理加, 深山 成美, 小田 清次
    1996 年 49 巻 7 号 p. 703-709
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1995年10月~1996年1月に検出した小児由来streptococcus pneumoniaeを対象として, Cefozopran (CZOP) の抗菌活性を知ることを目的に, 対照薬剤を加えた最小発育阻止濃度 (MIC) を測定すると共に, 加水分解産物などを利用した生物型 (群) におけるペニシリン低感受性又は耐性株の割合, 更に供試株の薬剤感受性とMacrolides (MLs) 耐性パターンとの相関なども検討して, 以下の結果を得た。
    1. Benzylpenicillin (PCG)-susceptible S. pneumoniae (PSSP) 50株に対するCZOPのMIC90は≤0.025μg/mlであり, CZOPのMIC分布はPCGとほぼ同等であり, Ceftazidime (CAZ), Flomoxef (FMOX), Erythromycin (EM) に勝っていた。
    2. PCG-insensitive S. pneumoniae (PISP) 又はPCG-resistant S. pneumoniae (PRSP) の計50株に対するCZOPのMICgoは0.39μg/mlであり, この値はCAZ, FMOX, PCG, EMのいずれに対しても勝っていた。
    3. 供試株のPISP又はPRSPには生物型 (群) のIII型は皆無であり, I型及びII型であったが, PSSPのIII型にはMLs構成型耐性株の割合が高く, PISP又はPRSPのI型とII型にはMLs誘導型耐性株の割合が高かった。
    4. ペニシリン耐性を含む多剤耐性S. pneumoniaeに対するCZOPの強い抗菌活性が示唆されたことから, CZOPはS. pneumoniaeが起炎菌になり得る割合が高い小児感染症に対して有用性が期待できる。
  • 吉田 勉, 大野 康, 豊田 美紀, 澤 祥幸, 横山 仁美
    1996 年 49 巻 7 号 p. 710-714
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    呼吸器系基礎疾患を有する高齢者の呼吸器二次感染症に対するSulbactam/Cefoperazoneの臨床効果を検討した。対象患者30例の内訳は男性25例, 女性5例で年齢は65歳から91歳 (平均70.8歳) であった。臨床効果は著効1例と有効18例で有効率63%であり, 年齢層により差は認あられなかった。副作用および臨床検査値異常は43%に認め, 年齢と共に増加の傾向が認あられた。また細菌学的効果では起炎菌が判明した12例14株で, 消長が不明であった2株を除いた起炎菌の消失率は50% (6株/12株) であった。以上より呼吸器系基礎疾患を有する高齢者の呼吸器二次感染症に対するSulbactam/Cefoperazoneは有効な治療法であるが, 高齢者では副作用等を十分注意する必要があると考えられた。
  • 石原 理加, 鈴木 由美子, 田中 節子, 深山 成美, 出口 浩一, 小田 清次, 中根 豊, 福本 寅雄
    1996 年 49 巻 7 号 p. 715-742
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1993年2月~1994年1月, 及び1995年2月~1996年1月に, 当所において収集又は検出した臨床分離株に対するTosufioxacin (TFLX) の経年的抗菌活性を検討することを目的に, 対照薬剤を加えた最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して, 以下の結果を得た。
    1. 1980年代に検討された諸家のMIC測定結果によるTFLXのMIC90と比較すると, β-streptococci, Streptococcus pneumoniae, Peptostreptococcus spp., Haemophilus influenzae, Salmonella spp. は同等であるが, 他の菌種のMIC90は上昇していた。
    2. 1993年2月~1994年1月検出株と, 1995年2月~1996年1月検出株の比較におけるTFLX耐性株の割合は, staphylococcus spp., Morganella morganii, Providencia spp., Pseudomonasaeruginosa, β-streptococci, S. pneumoniae, 及びPeptostreptococcus spp. のMIC90は低下していたが,. Propionibacterium acnes, Escherichia coli, Kleasiella spp., Proteus spp., Neisseriagonorrhoeae, Bacteroides fragilis groupのMIC90は上昇していた。そして, 双方の年次に検出したいずれにもTFLX低感受性又は耐性H. influenzaeがみとめられた。
    3. T肌x耐性グラム陰性菌の大部分は, 他のNQにも耐性を示すNQ耐性株であった。
    4. ペニシリン耐性肺炎球菌に対するTFLXの強い抗菌活性が示唆された。
  • 1996 年 49 巻 7 号 p. 743-753
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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