小児感染症例においてCefozopran (SCE-2787, CZOP) を静注又は30分間点滴静注で, 1日3~4回投与し, 投与量, 体内動態起炎菌の消長及びMIC並びに臨床効果, 細菌学的効果の関連を個々の症例について検討し, 本剤の臨床用量について以下の結果を得た。
1.10mg (力価) /kg投与例
対象は, 肺炎4例等計7例で, その重症度は, 肺炎の1例が重症, その他は何れも中等症であった。
これらの症例から分離された起炎菌 (4株) に対するMIC rangeは0.2~156μg/mlであった。血中濃度は, 投与4時間後では1.4~7.6μg/mlと起炎菌に対するMICを僅かであるが下回る症例があった。
臨床効果は著効3例, 有効2例, やや有効1例, 判定不能1例で, 有効率は83.3% (5/6) で, 細菌学的効果は4株中3株が消失した。副作用・臨床検査値異常変動は, 認あられなかった。
2.20mg (力価) /kg投与例
対象は, 肺炎2例等計5例で, その重症度は, 肺炎1例が重症, その他は何れも中等症であった。これらの症例から分離された起炎菌 (3株) に対するMICrangeは0.1~1.56μg/mlであった。一方, 血中濃度は投与4時間後で3.0~7.7μg/mlと起炎菌に対するMICを十分上回る濃度であった。
臨床効果は, 著効1例, 有効4例で, 有効率は100% (5/5) で細菌学的効果も3株すべて消失した。副作用は認あられなかったが, 臨床検査値異常変動として好酸球増多が1例認められた。
3.40mg (力価) /kg投与例
対象は, 肺炎3例等計6例で, 肺炎の2例が中等症で, 4例が重症であった。これらの症例から分離された起炎菌 (4株) に対するMICrangeは0.1~0.78μg/mlであった。血中濃度は投与4時間後で6.5~21.9μg/mlと起炎菌に対するMICを十分に上回る濃度であった。
臨床効果は, 著効4例, 有効1例, 判定不能1例で, 有効率は100% (5/5) で細菌学的効果も10096であった。副作用として1例に赤色尿が認められ, 臨床検査値異常変動として好酸球増多が1例認められた。
以上, 小児感染症に対してCZOPの1回10mg (力価) /kg投与では, 投与4時間後の血中濃度が起炎菌に対するMICを下回る症例が1例認められ, 臨床効果の不十分な症例が認められた。一方, 20mg (力価) /kg投与では, 十分な血中濃度が得られ, 全症例が有効以上であったことから, 通常投与量は1回20mg (力価) /kgと考えられた。なお, 40mg (力価) /kg投与では, 重症例が過半数であったにもかかわらず全症例が有効以上で, かっ著効率が80% (4/5) であったこと, 重篤な副作用が認められなかったことから, 重症, 難治症例には1回40mg (力価) /kgが必要であることが確認された。
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