The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
小児科領域におけるAzithromycin 10% 細粒剤及び 100mg カプセル剤の基礎的・臨床的検討
本廣 孝長井 健祐山田 秀二津村 直幹山田 孝織田 慶子阪田 保隆加藤 裕久今井 昌一佐々木 宏和森田 潤池澤 滋松尾 勇作山下 康博荒巻 雅史荒木 久昭安岡 盟林 真夫小野 栄一郎橋本 信男久保田 薫川上 晃豊田 温主計 武代衛藤 元寿樋口 恵美石井 正浩安藤 昭和平田 知滋富永 薫山村 純一堀川 瑞穂久田 直樹藤本 保岩元 二郎間 克麿小森 啓範大木 洋美寺師 基子和田 雅臣
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 50 巻 3 号 p. 272-297

詳細
抄録

新しい経口用マクロライド系抗菌薬Azithromycin(AZM)の10%細粒剤及び100mgカプセル剤を小児の種々の感染症患者に投与し, 臨床分離株に対する抗菌力, 体内動態, 有効性及び安全性について検討したところ, 次のような成績が得られた。
1.臨床分離株に対する抗菌力は, AZM投与症例から分離された8菌種57株に対し, AZMとClarithromycin (CAM), Erythromycin (EM)の3薬剤を共通して用い, 接種菌量106cfu/mlにおけるMICを測定した。AZMに対するMICはグラム陽性球菌で Staphylococcus aureus (20株) 0.78~100μg/ml, Streptococcus pyogenes (11株) 0.05~0.1μg/ml, Streptococcus pneumoniae (10株) 0.0125~3.13μg/mlであり, S. aureusとS. pneumoniaeのMICに幅がみられたが, 従来のマクロライド系抗菌薬とほぼ同等であった。グラム陰性桿菌ではMoraxella subgenus Branhamella catarrhalis (1株) 0.05μg/ml, Haemophilus influenzae (9株) 0.78~3.13μg/ml, Haemophilus parainfluenzae (1株) 0.78μg/ml, Salmonella sp.(1株) 6.25μg/mlであり, 従来のマクロライド系抗菌薬よりもグラム陰性菌に対する抗菌力が増強されていることが示唆された。Mycoplasma pneumoniae (4株) では3株が≤0.0008μg/mlで, 1株のみ25μg/mlであった。AZMのM. pneumoniaeに対するMICは同時に測定したCAM, EMよりも全株低いMIC値であった。
2.血漿中濃度を細粒剤5例, カプセル剤4例について検討した。AZM 10.0~16.3mg/kgを3~4日間経口投与した時の最終投与2時間後の血漿中濃度は細粒剤では0.02~0.19μg/ml, カプセル剤では 0.11~0.42μg/mlであった。
3.尿中濃度は細粒剤4例, カプセル剤4例で検討され, 細粒剤, カプセル剤ともに投与開始120時間後においても3μg/ml以上のAZMが検出された。累積尿中排泄率の算出が可能であったカプセル剤3例では, 投与開始から120時間後までに総投与量の4.69~10.17%が尿中から排泄された。
4.臨床効果は, 細粒剤では19疾患128例中, 著効51例, 有効63例, やや有効8例, 無効6例, カプセル剤では5疾患23例中, 著効13例, 有効10例であった。有効率は, 細粒剤が 89.1%, カプセル剤が100%であった。
5.細菌学的効果は細粒剤では8菌種54株中45株(83.3%)が消失, カプセル剤では6菌種10株中9株(90.0%)が消失した。
6.副作用は細粒剤において, 発疹1例, 嘔吐1例, 下痢5例, 軟便1例の計8例が認められた。カプセル剤では1例にじん麻疹と嘔吐が認められた。
7.臨床検査値の異常変動は, 細粒剤において白血球数の減少3例, 好酸球数の増多7例, GOT及びGPTの上昇2例, GPTの上昇1例の計13例, カプセル剤において白血球数の減少2例, 白血球数の減少及び好酸球数の増多1例, 好酸球数の増多3例の計6例に認められた。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事
feedback
Top