1997 年 50 巻 8 号 p. 683-703
カルバペネム耐性の傾向を検討する目的で, 全国20施設で研究グループを組織し, 臨床分離株を収集し, カルバペネム系抗菌薬を中心に抗菌力を検討した。1994年10月から12月までに, 各施設で分離された11菌種1326株について, 17種類の抗菌薬の最小発育阻止濃度 (MIC) を微量液体希釈法により測定した。
その結果, カルバペネム系抗菌薬は,
1. MSSA, Streptococcus pneumoniaeに対し強い抗菌力を示し, Enterococcus faecalisに対してもABPCと同程度の抗菌力を示したが, MRSAには抗菌力は弱かった。
2. Haemophilus infuluenzaeには, OFLXが最も強い抗菌力を示し, MEPMがこれに次ぐ抗菌力であった。他のカルバペネム系は, FMOX, CTM, ABPCと同程度の抗菌力であった。
3. Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacae, Bacteroides fragilis groupに対するカルバペネム薬は強い抗菌力を示し, 他のβ-ラクタム系抗菌薬よりその抗菌力は優れていた。同様に, Serratia marcescensに対するカルバペネム薬は, 他のβ-ラクタム系抗菌薬より強い抗菌力を発揮したが, 一部耐性株も検出された。
4. Pseudomonas aeruginosaに対してカルバペネム薬は, CAZ, AZT, AMKと同程度であった。