The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
小児急性化膿性中耳炎に対するclavulanic acid/amoxicillin投与症例の検討
ペニシリン耐性肺炎球菌が原因菌であった症例を含む臨床的解析
杉田 麟也出口 浩一内藤 雅夫野村 隆彦田中 幹男渡辺 洋原田 品子藤巻 豊小松 信行岡野 和洋清水 浩二木村 繁吉田 悌友仙波 哲雄内田 利男
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 52 巻 10 号 p. 595-612

詳細
抄録

市中の耳鼻咽喉科診療所14施設において1996年11月から1997年4月までの期間に, 小児急性化膿性中耳炎の検出菌の動向を調べるとともに, clavulanic acid/amoxicillin (CVA/AMPC;オーグメンチン®) 顆粒もしくは錠剤およびamoxicillin (AMPC) 顆粒もしくはカプセルを2群に分けて経口投与し, 有効性を比較検討し, 以下の結論を得た。
1.中耳分泌物からStreptococcus pneumoniae 31.8%, Haemopnilus influenzae 35.8%, Moraxella subgenus Branhamella catarrhalis 1.5%などを検出した。上咽頭ぬぐい液からStreptococcus pneumoniae 31.1%, Haemophilus influenzae 33.9%, Moraxella subgenusBranhamella catarrhalis 19.2%などを検出した。
2.中耳分泌物のS.pneumoniaeのうち42.2%は薬剤耐性肺炎球菌 (PISP, PRSP) であり, 年々増加している事が確認された。
3.上咽頭ぬぐい液のS.pneumoniaeのうち46.7%は薬剤耐性肺炎球菌 (PISP, PRSP) であり, 年々増加している事が確認された。また, 薬剤耐性肺炎球菌は全検出菌中の14.5%, 全症例の26.3%の症例から検出されいずれも増加が認められた。
4.S.pneumoniae, H. influenzaeおよびM.(B.) catarrhalis に対するMIC90値ではいずれの菌種においてもCVA/AMPCがSBTPCよりも優れた抗菌力を示した。
5.CVA/AMPCの臨床学的有効率, 細菌学的有効率および有用性はそれぞれ88.5%, 81.3%, 83.6%であり, いずれにおいてもAMPCよりも有意に優れた成績を示した。6.CVA/AMPC投与例において下痢・軟便の副作用が22%に見られた.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
次の記事
feedback
Top